2017年6月11日(日)13時から、大阪市にある「ロフトプラスワン WEST」で「野原ひろし みんなと食べる昼メシの流儀」が行われ、参加したのでレポを書きます。
『野原ひろし 昼メシの流儀』』の第1巻の感想記事はこちらになります。
今回参加されたのは
『野原ひろし 昼メシの流儀』(キャラクター原作は臼井儀人先生)の塚原洋一先生と担当編集の二人でした。
今回のイベントの司会・進行を行ったのは、「ロフトプラスワン WEST」の方でした。
※担当編集と司会・進行の方の名前は割愛します
参加条件
前売は1,500円で、当日であれば2,000円の参加料が必要。
飲食代別で1オーダー以上頼む必要があります。
最初の雰囲気
小学生並みの感想ですが、最初はヤバかったです。
参加料があるとは言え、それなりに話題になっている作品だけに「(20人ぐらいは来るかな)」って思っていたのですが、最終的に結果として7名(仮)の参加という状態に。
前に座っている三人も
「「コミック・ナタリー」さんで850以上のリツイートあったんですけどね」
「コミック・ナタリーさんから直接電話かかってきたぐらい注目されたんですけどね」
「800人以上はどこにいるんでしょうね」
などと自虐トークをし出す始末。
いたたまれねぇ………
とてつもなく帰りたい衝動に駆られました………が、結果として参加して良かったと思えました。
内容
人数多かったら盛り上がったんだろうなという企画(出演者への質問など)を基本的にすっ飛ばして、人数が少ないからこその内輪話がメインになりました。
「野原ひろし」別人説に対して
私がこの作品の感想を書いた去年の時には、正直なところあまり話題になっていない印象でした。
しかし年明けぐらいからこの作品が「自分のことを野原ひろしだと思い込んでいる人間」が主人公の作品である、というネタが広まったため、ちょっとした話題になった。
それに付随して、色々と有り体に言えば叩かれるようになった………とのこと。
ちなみにこの言い回しの初出は確定できていないものの、某画像掲示板の「自分が野原ひろしだと思ってる精〇病患者のおっさん」(一部伏字にさせて貰いました)というレスから来ているのではないのか、という考察をしているサイトがあったので、今回のトークショーでもスライドで紹介されてました。
なお「「野原ひろし」を知っている人や名前だけ知っている人、全く知らない人にも楽しめるように作っています。『クレヨンしんちゃん』のスピンオフではあるけど、全く別の作品として楽しんで欲しいと思って作っています」という話に対して
司会・進行の方がすかさずに「じゃあこの「野原ひろし」は、『クレヨンしんちゃん』の「野原ひろし」とは別人の可能性もあるわけですね?」と振ったので
「それはないです。同じ「野原ひろし」です」と即答したので、別人ではありません。
このやり取りは非常に面白かったです。
違和感を解消してくれた
炎上、とまでは行かないにしても「こんなのは「ひろし」じゃない」や「「ひろし」である必然性を感じられない」というコメントなどを見たことがあるのですが、私自身、この言い方には漠然とした違和感を持っていました。
しかし編集部の方から「「野原ひろし」は特別なキャラクターとして作られたわけではない」という話からしっくりきました。
トークショー中にも似た感じの話が出ていましたが、原作である『クレヨンしんちゃん』は90年から連載開始、92年にアニメ、93年には映画が開始という流れで今現在に至ります。
野原ひろしですが、商社の係長という役職を持ち、専業主婦の妻を持ち、子どもも二人いて、家はローンという、今で言えば超勝ち組ですが、連載開始の90年当時ではごくごく一般的なパパ(父親)だった訳です。
アニメは放送開始からひまわり(しんのすけの妹)が生まれてしばらくする(恐らく98年ぐらい)まで見ており、ほぼ同時期まで親戚が持っていた原作を読んでいました。
私にとっての「野原ひろし」は未だにその時の印象が強く残っており、「間が悪くおっちょこちょいで調子に乗り易い、だけど時々カッコいい」というものでした。
ですが、今のネット上の「野原ひろし」ってカッコいい理想のパパなんですよね………。
これはアニメや最近の映画の印象が強い為かも知れません。
多分「時々カッコいい」か「基本カッコいい」かの、どっちが「野原ひろし」に対するベースがあるのかによって、この作品を読んだ時の感じ方が大きく変わるような気がします。
「「ひろし」である必然性」に関しては、もはやスピンオフ作品全般に言える宿命ですかね。
まとめ的な
あまり編集サイドの話を書き連ねると、単純に弁明を代弁する記事になっちゃうので軽く羅列しておきます(書かれるとマズい話と言っていたところは除いています)。
塚原洋一先生では
- ネットで「原作を一度も読んだことがない、と公言している」と言われているが、それはウソ
- 「漫画アクション(『クレヨンしんちゃん』が掲載されていた雑誌)の愛読者」で、双葉社の編集者さんから「僕よりも詳しい」って言われたことがある
- 炎上させたりするつもりは露ほどにも思ってない
編集からは
- この作品は双葉社は今までスピンオフ作品が他社に比べてあまり上手くいっているとは言えない状況の中、会社のプロジェクトではなく、担当が企画して通った作品
- 会社からは最初「迷惑さえかからなければやっていいよ」的な感じだったが、今では協力的になっている
- 双葉社にとって『クレヨンしんちゃん』は非常に重要な存在であり、チェックは厳しく行っている
- 関係者の方にはきっちりと許諾は取っているし、取材もしっかりしている
- 「野原ひろし」というキャラクターに対して不名誉になるようなことは絶対にやってない
- 炎上させる意図はないが、話題になって売れて欲しいという気持ちはもちろんある
- 怒りや批判の矛先が著者に向かっているのは非常に申し訳なく思っている
とのことです。
改めて羅列したら全部当たり前なことばかりですね。
自社のキャラクターを自社が貶める必要なんて皆無ですし。
なお塚原洋一先生ですが、以前はパチンコなどのちょっと不良的な漫画を描かれていたのでチョイ悪親父みないな人を勝手に想像していましたが、かなり優しそうな、人の好さそうな人でした。
受け答えも非常に真面目で、気を使っている雰囲気がありました。
あと、編集的には今回のイベントで炎上させている人やアンチが来ると想像していたようですが、実際に私を含めた7人(仮)全員、好意的にこの作品を読んでいる人でした。
サイン本
単行本を持参するか、当日購入すればサインを描いて貰えました。
私は自分用に2冊購入し、2冊ともサインして貰いました。
食べる角度と食べる意気込みが違ってます。
※友人用にも描いて貰いましたが、名前を入れたので割愛させて貰います
結びに
最初、まさに前日のイベントが賑やかな雰囲気の中で行われたこともあり、今回のイベント会場に足踏み入れた瞬間に「参加しなかったら良かったかも知れん………」、とまで思ってしまいました。
そんな参加人数の少なさから「ヤバいイベントに参加してしまった」と思ってしまった今回の企画ですが、結果としては、個人的には前日のイベントに負けず劣らずなぐらい楽しいイベントになりました。
特に良かったなって思った点としては
- 私が参加したこの手のイベントは比較的若手の漫画家が多かったが、塚原洋一先生のような長くやられている漫画家の話が少しだけでも聞けたこと
(昔は一人でやっていた表紙や総扉絵などを、最近ではデザインの人と話し合う必要があること) - 著作権などが絡む話、ましてや国民的漫画とまで言われる作品のスピンオフであれば非常に気を使っているのを実感できたこと
でした。
個人的には塚原洋一先生から今と昔の違いなども聞きたかったなって思いましたが、次の機会ですかね。
何はともあれ、ライブ会場で行われたので前日のイベントとは違った雰囲気があり、結果として非常に楽しいイベントになりました。
塚原洋一先生、編集部の方ら、そして司会・進行やレジ・調理を行っておられた「ロフトプラスワン WEST」の方々、お疲れさまでした。
また機会がありましたら参加させていただきたいと思います。
なお『ロフトプラスワン WEST』ではイラストレーターや漫画家のサインが多数飾られていました。
『放課後さいころ倶楽部』(真ん中上)のイベントは2年ぐらい前でしょうか?
行きたかったけど行けなかった思い出が………。
俺からは以上です。
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