『あなたのことはそれほど』佐藤Pが語る―第1回：東出昌大“怪演”の裏側「涼太の狂気はますますヒートアップする」

波瑠が主演を務め、2組の夫婦の結婚生活と予測不能な四者四様の恋愛模様を描く『あなたのことはそれほど』（TBS系）。既婚者たちによるいびつな四角関係が話題となり、なかでも妻・美都（波瑠）に異常なまでの執着を見せる涼太（東出昌大）は、まるで『ずっとあなたが好きだった』（1992年・TBS系）の冬彦さん（佐野史郎）のようだと喝采を浴びた。一方、夫に不倫がバレたにも関わらず、それでもなお、好きな男に会おうとする美都には、「自分勝手！」「ひどすぎる！」という声が噴出。そんな反響を、制作陣や出演者はどう受け止めているのか――。ドラマの指揮を執る佐藤敦司プロデューサーに話を聞いた。

――第7話では、美都と涼太の間についに“離婚”の2文字が！　物語は終盤に差し掛かり、2組の夫婦がどんな“決着”を迎えるのか気になるところですが、まずは、ここまでの手応えをお聞かせください。

佐藤：当初から、作品に対して賛否が分かれるであろうことは予想していました。特に、共感という感情が生まれにくい作品になるだろうなと。なので、放送が始まる前は「よその夫婦をチラッとのぞき見るような感覚で、気軽に見てもらえると楽しめると思います」とお伝えしていたんです。

そうしたら、その通りのぞき見感覚で興味を持って下さる方がどんどん増えて、反響が反響を呼び、1話・2話を見ていなかった人が3話を見てくださったりして。ドラマの内容には賛否両論ありましたが、今回徐々に視聴の輪が広がっていったのは、間違いなくドラマへの反響のおかげだと思います。

不倫を扱っているだけに、正直、最初はもっと毛嫌いされるんじゃないかと危惧していたんです。だから、物語の冒頭は初恋の要素とか、コミカルな部分とか、そういうものを多めにして、反響によってはそれ以降も、もう少しそういった部分を増やさなきゃいけないかなと思っていたんです。

でも今やみなさん、ドロドロした部分、コワイ部分を楽しみにして下さっているので、思う存分といいますか、当初の予定通りの流れで進めることができています。実はそういった反響にあわせて、番組の最後に流れる次週予告も、登場人物の狂気をチラッと見せるような展開に。あえてラストシーンを見せることで、興味を煽るような手法を試みています。

――反響のなかでも、美都に対するバッシングの声が際立っていますが、演じている波瑠さんは、そういった声をどう受け止めているのでしょう？

佐藤：とにかく美都という役に徹して演技をしています。この状況だったら美都はどう思うのか？　どう行動するのか？　キャスト、スタッフと一緒に試行錯誤しながら挑んでいると思います。

美都は、素直で愚か。不倫というイケナイ行為に身を投じながらも、いつまでも少女の心のまま恋をしています。見ている人が思わずツッコミをいれたり、バカだなぁと言いたくなるような、ちょっと可愛いキャラクターをイメージしています。特に、不倫相手の有島（鈴木伸之）とLINEでやり取りするシーンは、劇中音楽も少しコミカルにして、美都が舞い上がっている様子が伝わるようにしました。ただ、これはあくまで前半の話で、2人の関係がバレた後半は、もうそれどころじゃないですけどね（笑）

後半のLINEはむしろ“過激すぎる”内容にすることによって、美都が突っ走っている感じを全面に出しています。LINEって、リアルタイムのやり取りより前に交わされた文面もちらっと見えるじゃないですか。そこは画面上クローズアップされませんが、二人のウザいやりとりを細かく作っています。じっくり見てみてください。