『人は見た目が100パーセント』ブルゾンちえみ、初ドラマで好評価！ 彼女が持つ“鳥の目”とは？

ゴールデンウィークですね。無理して移動せず、ここぞとばかりに都内で普段は予約が取れない店を狙い撃ちします。スナイパー小林、このペンネームを体現するかのごとく…！今回は意外や意外（？）に演技力が高かった、桐谷美玲さん主演『人は見た目が100パーセント』（フジテレビ系）に出演中のブルゾンちえみさんについて。お笑いでの活躍ぶりはもう周知ですけど、女優としても力を発揮するとは…。何か持っているんだろうとしか思えません。そのシンデレラストーリーをドラマから考察してみたいと思います。

リケジョ（理系女子）道を突っ走りすぎてオシャレに無関心な城之内純（桐谷）、元ギャルで主婦の前田満子（水川あさみ）、モテたい願望が強いわりに美容や洋服に関心のない佐藤聖良（ブルゾン）。田舎で地味に研究員をしていた八王子製紙の同僚3人が急遽、丸の内勤務となり、高スペックな女子力を会社から求められてしまう。果たして3人は変わることができるのか？

この原稿の資料として公式ホームページを見ようと検索したら、『人は見た目が100％　つまらない』というワードが出てきた。放送当初、「桐谷美玲が“女子もどき”なら、私は“がんもどき”！」「いくら女子力が低いと言い張っても、見た目は100％可愛い人に何を言われても説得力がない」と、桐谷と水川の美しさが招いてしまったキャスティングミスとも思われる現象に、ネットでは批判が飛んでいた。その結果の「つまらない」だ。

ただ私としては今クールのドラマでは「面白い」ほうに一票を投じる。そこにはストーリーのテンポの良さや演出と色々あるけれど、その一端を担っているのがブルゾンの存在だ。そもそも彼女がこのドラマに出演すると聞いた時の方が、私には衝撃的だった。原作を読んでいないせいもあるけれど、流行りの芸人に大役を抜擢するとは、いかがなものかという危惧だ。

それがここまでの放送の視聴を終えて、意見は180度回転。

メインキャストでは唯一の（本人曰く）マシュマロボディで、女磨きに奮闘する姿がまあ楽しい。声の抑揚もタイミングがいいし、表情もクルクル変化する。いつものお笑いで見せていたキャリアウーマンのふてぶてしさはどこへやら。

「自分ひとりでできるでしょ、って完全放置。このままだと一生ほっとかれて、行き着く先は孤独死ですよ」

と、いかにもつまらなそうに言ったかと思えば、

「男子の狩猟本能に訴えかけるほうがよっぽど簡単」
「私は媚びてまでモテたいとは思わないけどね！」

と、ちょっと本業を思い出したのか高慢そうに。もちろん嫌味はない。

オフショルダーを着て男子にアピールするべきところが、胸元や下着ではなく鎖骨だと上司に諭された瞬間、

「鎖骨がありません！」

と焦って声を張る様子と、この世の終わりのような焦った表情には笑った。これは彼女が魅惑のマシュマロボディを唯一恨んだ瞬間かもしれない、とも。

お笑いと演技の両立は決して珍しくはないけれど、デビュー作でインパクトを見せられるパターンはあまりない。それも全てブルゾンが自分の“立ち位置”と“役割”をよく理解したうえで訴求したからこそ成立したもの。そう、ガラスの靴のサイズを計測して、お城に挑むシンデレラのように。

ふと以前「ブス、ブス」といじられることを苦にして、テレビから消えた女芸人を思い出した。それもブルゾンのようなバランス感覚があったら気にすることもなかっただろうに。そう思わせるのは、彼女が最近どんどんきれいになっていくのが目に見えて分かるから。“持っている”女は強いのだ。

基本的に、城之内が一番自分に自信がなく、それでも恋愛や美容、ファッションに興味を持とうと懸命に動く。それを見守るのが、前田と佐藤の2人だ。この2名のツッコミの成立はドラマには欠かせない。それが回を追うごとに水川とブルゾンの掛け合いのリズム感が阿吽の呼吸のように進化していて、クスクスと笑ってしまう。

実は彼女、芸人として仕事をするようになってまだ2年ほど。その前は女優も志して劇団に所属していた時期もあったそう。

と、彼女のここ数年のドラマティックな歴史をたどって考えてみると、とにかく立ち位置の見極め方が早い。高いところから全体像を把握する“鳥の目”に長けた女性なんだろうと推測。

この春、ドラマで多彩ぶりを見せたブルゾン。この3人のポジショニングは持ちネタのごとく、彼女がセンターでもおかしくないような気がしてならない。でも桐谷と水川の美貌があってこそ、華々しい女優デビューを飾ることができたのだとしたら…それも一理か。

『人は見た目が100パーセント』は毎週木曜22時～フジテレビ系にて放送。