クーポンは、なんのために発行するのでしょう?
『売上を上げるため』
『粗利を増やすため』
『受注件数を伸ばすため』
などショップによって、様々な目的を掲げていることかと思います。
ベビー服ネットショップ『べびちゅ』の場合、クーポン施策を実施する目的を『粗利を増やす』ことにしています。
クーポン施策を実施する目的を『粗利を増やす』ことにしている理由ですが、
実は『クーポン施策は3つの大きな問題点』を抱えていて、そのことと密接に絡んでいるんです。
さらに、この3つの大きな問題点は、
『受注数は増えたけど、利益が出てない気がする』
『クーポンを配ってる時だけ、売上が上がる気がする』
『最近、クーポン施策をいくら打っても響かなくなってきた』
『クーポン施策を打つようになって、お客様の質が変わったような。。』
といった多くのネットショップが抱えている悩みの原因だったりします。
『クーポン施策が抱えている3つの問題点』の怖いところは、じわじわと悪化し、気付いてからでは、手遅れになってしまうところです。
なので、手遅れになる前に『3つの問題点』と『その対応策』を知っておくことが重要です。
そこで、べびちゅで実際に起きた『クーポン施策が抱えている3つの問題点』とその問題点をどうやって解決したかをこの記事でまとめました。
まとめた内容は、次の4つです。
- クーポン施策が抱えている3つの問題点
- 問題点が発生する理由
- なぜ『べびちゅ』のクーポン施策が『粗利を増やす』ことを目的にしているのか?
- 問題点に対する対応策(まとめ)
早速、説明します。
目次
クーポン施策が抱えている3つの問題点
『クーポン施策が抱えている3つの問題点』とは、次の3つのことです。
- 受注件数が伸びても、粗利が伸びないことがある
- クーポンを配っている間は粗利が伸びるが、クーポンを配っていないときに粗利が減少する傾向にある
- クーポンが当たり前になると安売りショップのイメージが出来上がり、上得意客が離れていく
これらの問題によって『月次の粗利が前年より下がっている』といったことがよく起きます。
3つの問題点の中で、早い段階で表面化してくるのが『受注件数が伸びても、粗利が伸びない』という状態です。
粗利の増減を調べる方法
クーポンを配布することで粗利がどの程度増減したかを知るために、次のように粗利を分解します。
粗利 = 粗利単価 × 受注件数
そして、クーポンを配らなかった人と配った人で粗利単価や受注件数がどう変わったかを見ていけば、配布したクーポンの効果が分かります。
ちなみに、粗利単価は、( 粗利 ÷ 受注件数 )で計算します。
クーポンを配布すれば、よほどのことがない限り、受注件数は増えます。
ですので、クーポン施策がうまくいったかどうかは、粗利単価の増減によって決まります。
粗利単価は、クーポンの種類によって、上がったり下がったりします。
詳しくは、次の記事なども参考にいただければ、幸いです。
粗利が増えたかどうかの確認
粗利を粗利単価と受注件数に分解すると次の3つに分類されます。
粗利単価↑、受注件数↑で粗利が増加
粗利単価と受注件数の両方が増加すれば、粗利は増加します。
クーポン施策としては、問題ない状態といえます。
粗利単価↓、受注件数↑で粗利が増加
粗利単価が減少しても、受注件数の増加でカバーできれば、粗利は増加します。
例)粗利単価15%減、受注件数20%増の場合
(1-0.15)×(1+0.2)=1.02なので、わずかですが増加します。
粗利単価↓、受注件数↑で粗利が減少
粗利単価が減少し、受注件数の増加でカバーできなければ、粗利は減少します。
例)粗利単価20%減、受注件数20%増の場合
(1-0.2)×(1+0.2)=0.96となり、わずかですが減少します。
売上増加のわな
『売上が増加して、粗利は減少した』という現象は、わりと簡単におきます。
たとえば、定価100円、仕入れ値60円の商品を10%値引きして、受注数が100件から120件に増加したとします。
定価販売の場合
客単価 = 100円
売上 = 100円 × 100件 = 10,000円
粗利単価= 100円 - 60円 = 40円
粗利 = 40円 × 100件 = 4,000円
値引き販売の場合
客単価 = 100円 - 10円 = 90円
売上 =90円 × 120件 = 10,800円
粗利単価 = 90円 - 60円 = 30円
粗利 = 30円 × 120件 = 3,600円
このように、売上が増加しても粗利が減少するという現象が起こるので、次のような流れで、じわじわと粗利が減少していきます。
- クーポンで売上が増える
- 安心してクーポンを大量に配布する
- クーポン以外での買い控えがじわじわ起きる
- 粗利が下がっていく
- クーポンが効かなくなり、割引率を上げたり、クーポンを乱発したりする
- 粗利が下がっていく
- クーポンが常態化し、安売りショップのイメージが出来ていく
- 上得意客がじわじわ離れていく
- 粗利が下がっていく
なぜ『べびちゅ』のクーポン施策が『粗利を増やす』ことを目的にしているのか?
受注件数が伸びないと、ついついクーポンやセールに頼ってしまいがちです。
べびちゅも同じでした。
クーポンやセールに頼ったせいで粗利をじわじわ下げてしまい、利益が出ない事業構造になるという痛い目にあいました。
べびちゅでは二度とこのような失敗を犯さないように、クーポン施策については粗利を上げる施策かどうかをテストしてから導入するようにしています。
また、粗利を上げることを目的に、クーポン施策を行う対象者や頻度についても最適化しています。
まとめ
クーポン施策は、次の3つの問題を抱えています。
- 受注件数が伸びても、粗利が伸びないことがある
- クーポンを配っている間は粗利が伸びるが、クーポンを配っていないときに粗利が減少する傾向にある
- クーポンが当たり前になると安売りショップのイメージが出来上がり、上得意客が離れていく
3つの問題は、次のように発生していきます。
- クーポンで売上が増える
- 安心してクーポンを大量に配布する
- クーポン以外での買い控えがじわじわ起きる
- 粗利が下がっていく
- クーポンが効かなくなり、割引率を上げたり、クーポンを乱発したりする
- 粗利が下がっていく
- クーポンが常態化し、安売りショップのイメージが出来ていく
- 上得意客がじわじわ離れていく
- 粗利が下がっていく
これら問題が起きないようにするには、
- 粗利単価が下がらないクーポン施策を見極める
- クーポンの割引率を大きくしすぎない
- クーポン施策を常態化させない
ことが重要です。
以上、本記事が貴社のネットショップ経営に役立ちましたら、幸いです。