今回、私がベビー服ネットショップ『べびちゅ』のバイヤー業務を通じて編み出した『仕入れ先メーカーとの交渉術』について、ご紹介させていただきたいと思います。
仕入れの値引き交渉は、バイヤーの仕事のひとつです。
しかし、仕入れ先メーカーにとっては『粗利』が下がる話です。
ハードなネゴになることもありますので、バイヤーも神経をすり減らします。
私も、『これからもたくさん売っていきますので、仕入れ値を下げてもらえませんか?』というジャブを半年に1回くらいのペースで打っています。
しかしながら、『下げてください』の一点張りでは、なかなか交渉に応じていただけません。
そこで、今回は、普段の交渉とは違う『追加発注ができる仕入先メーカーに嫌われない仕入れ値の交渉術』をご紹介したいと思います。
目次
まずは実績作り
まずやることは『追加発注ができる仕入れ先メーカーとの関係性を強化すること』です。
関係性の強化というのは、具体的に言うと、販売実績を作っていくことです。
それも『御社は、卸し先のTOP10に入ってますよ。』と言われるレベルになることです。
この販売実績ですが、あっちもこっちもと手広くやるよりは、絞り込んで、販売実績を積んでいくことをオススメします。
ある程度売れるようになってきた時点で、『これからもたくさん売っていきますので、仕入れ値を下げてもらえませんか?』というジャブを半年に1回くらいは打っておきます。
この交渉術は、今シーズンではなく次シーズン入荷分の仕入れ値を下げる交渉術になります。
しかし、普段からジャブを打っておくことによって、大事な交渉の際に、話を切り出しやすくなるという効果もあります。
交渉に必要な3つの条件
今回ご紹介する交渉術を実施するにあたって、次の3つが必要です。
- 今シーズン売れた商品が次シーズンも入荷すること
- 次シーズンどれだけ売れるのかを予測できること
- まとまった発注が、仕入れ先メーカーにとってもメリットがあること
それぞれについて、説明します。
次シーズンも入荷予定があること
なぜ上記の3つの条件が必要かというと、今回紹介する交渉術は、
- 今シーズン売れたものを次シーズンまとめて発注する
- 販売期間を設定し、期間中はメーカー側で在庫を保管してもらう
- 販売期間内であれば、いつでも小ロットで発注できるようにしてもらう
- 販売期間内に売れなかったものは買い取る
という交渉をすることだからです。
この方法が、メーカーとネットショップのそれぞれについて、Win-Winの関係になる理由は、メーカーにとっては、『まとまったボリュームで、しかも不良在庫リスクなく、販売でき』、ネットショップにとっては、『まとまった納品によって倉庫の場所を取られたり、まとめての支払が発生することなく都度支払、しかも在庫は確保されているので、売れ逃すリスクがない』ことです。
この交渉は、販売実績のある商品を次シーズンも入荷できないと成立しません。
なので、シーズン限り、売り切り商品が主なメーカーとの交渉には使えません。
次シーズンどれだけ売れるのかを予測できること
今シーズン売れた商品が次シーズンどれだけ売れるかを予測できることが重要です。
どれだけ売れるかを予測できないと、まとめて発注してボリュームディスカウントを受けても、『売れ残りリスク』をネットショップ側が負ってしまうことになります。
私たちの場合、今シーズンの販売データに基づき、次シーズンに確実に売れる量を予測するシステムを開発しました(『FULL KAITEN』というシステムです。)ので、そのシステムを利用して予測しています。
まとまった発注が、仕入れ先メーカーにとってもメリットがあること
仕入れ先メーカーにとってのメリットは、さきほど記載のとおり、『ある程度まとまったボリュームの受注を売れ残りのリスクなく受けられる』ことにあります。
メーカーにとっての『売れ残りリスク』は、買い取り保証をつけているので問題ありません。
ですので、ある程度まとまったボリュームを発注することが重要になってきます。
ここで活きてくるのが、仕入れ先メーカーとの販売実績です。
ちなみに、私たちの場合、仕入れ先メーカーにとって『卸し先のTOP10』に入ることを一つの基準にしています。
これくらいの販売実績があるとまとめて発注した際に、仕入れ先メーカーにとっても、メリットがあるボリュームになると考えています。
まとめ
『メーカーに嫌われない仕入れ値の交渉術』のまとめ
- まずは、狙いを定めた仕入れ先メーカーとの販売実績を積み上げる
- 次シーズン確実に売れる量を予測して、まとめて発注
- 発注したものについては販売期間を設定し、その期間中は、メーカーに在庫をもってもらいながら、都度発注。
- 販売期間中に販売できなかった商品は、買い取り保証する
みなさんが難易度が高いと思うのは、『次シーズン確実に売れる量を予測』することではないでしょうか?
うまく予測できないと、販売期間中に販売できなかった商品の買い取り保証が大きなリスクになってしまいますよね。
さきほども申し上げましたが、弊社では『FULL KAITEN(2017年7月リリース予定)』の再入荷発注機能を応用して、『次シーズンにどれだけ売れるか』を予測しています。
こちらについては、別の機会にご紹介させていただければと思います。
以上、本記事の内容が貴社のネットショップの運営に役立てれば幸いです。