何かと話題になったファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」のツケ払いの導入。
実際何が問題なの?とよく仕組みを理解していない人も多いと思うので、今回はゾゾタウンのツケ払いについてまとめてみたいと思います。
ツイッターやSNSなどでも“ツケ払いの支払いができなくて困っている”など様子が出回っていますが、一番の問題はツケ払いのシステムではなく無計画に洋服を買おうとする行動そのものだと個人的には感じます。
このページの目次
ゾゾタウンのツケ払いって何?
ゾゾタウンってただのファッション通販サイトでしょ?くらいのイメージの人が大半だと思いますが、実はけっこういろいろな試みをおこなっていて、最近では「ZOZOフリマ」なんていうメルカリみたいなフリマサイトもはじめましたし、「ZOZO買取」っていう買取サービスも行っています。(※ゾゾタウンで売っていないようなヴィトンやブランド品まで買取してくれます)
普通に古着屋さんのように古着の販売もやっていますし、とにかくファッションにまつわるビジネスをいろいろ展開しています。
今までゾゾタウンでの支払い方法は「代引き」「クレジットカード払い」「コンビニ決済」などがメインでしたが、昨年11月に新たに「ツケ払い」という支払い方法を導入しました。ツケ払いとは簡単にいうと支払いを最大2か月まで先延ばしにでき先に商品を届けてもらうことができるというサービスです。
ツケとは
従来ツケとは後払いの口約束のようなもの。「ツケにしといて」というのは「お代は今度払うね~」くらいの軽い感覚です。もちろん契約書などがあるわけでもなく、飲食店などが常連さんに善意でおこなっている文化のようなものです。(※今やツケができるお店もめっきり減ってしまいました)
ツケ払いの仕組みは
ゾゾタウンのツケ払いは従来のツケのように軽い口約束ではありません。インターネット上でおこなうため当然ですが。ゾゾタウンの支払い方法で「ツケ払い」を選択すると、お金を支払う前にまずは商品が先に届きます。
そして後日「GMOペイメント」という会社(※何かと問題も多いGMO・・・の話はここではしません)からツケ払いで購入した分の請求書が自宅に届きます。この請求書は二か月以内という期限が設けらているため「支払いは二か月後」というのはこの期間を言っています。
支払いはコンビニや銀行などでどこでもおこなうことができます。
実質的にGMOペイメントが立て替えているいるだけ
ツケ払いの本質はGMOペイメントが支払いを立て替えてくれているだけです。そのためツケ払い利用時にはGMOペイメントの審査がされています。個人情報をゾゾタウンから渡されているだけの審査だと思いますが、審査に通らなかった例も少なからずあるようです。
実際に「GMO後払い」とは目新しいものではなく、以前からGMOペイメントが展開している決済サービスのひとつです。ただ単にこれをゾゾタウンが導入したというだけですが、広告向けに「ツケ払い」というネーミングをつけたことで一躍世間に広まりました。(ゾゾタウン恐るべし)
ツケの手数料は324円
気になるツケ払い利用の手数料ですが、購入金額にプラスで324円です。これは代引きやコンビニ決済などを選択しても同じ手数料が発生します。
安いと思うかどうかは個人の自由ですが、従来のツケとは口約束なので手数料はかからないでしょう。(※心づけとして支払うことはあるかもしれませんが。
ツケ払いの限度額は54,000円までなので、それ以下の買い物であれば手数料324円で支払いを2か月先送りにすることができます。
ツケ払いのいったい何が問題なの?
いったいツケ払いがなぜこんなにも問題視されているか?という話ですが、個人的にはサービスとしてはこの程度は何も問題がないと思います。手数料が高いわけでもありませんし、リボ払いのように利息が知らぬ間に増えていくこともありません。
ただそもそもどこに需要があるのか?ということを考えると悪質な面が見えてきます。
利用する層を考える
まずツケ払いに関しては、324円払って二か月先に支払いを伸ばすだけといっても過言ではありません。普通にしていると利用価値がない人がほとんどです。住宅や車などは別にして、そもそも物を買うのに支払いを先延ばしにする必要性がありません。
そのためこのゾゾタウンのツケ払いを利用する層というのは、洋服欲しいけど今すぐ支払うお金がない人ということになります。
そう考えると普通のお店なら“お金ないなら売りません”と言うところに“GMO後払いを使えば買えますよ?”と一時的な借金を勧めているようなものです。
こうなると悪質な販促ということがわかります。
ゾゾタウンはツケ払いで代金を取りっぱぐれることはない
仮にツケ払いの2か月先の支払いが滞ることがあったとしても、ゾゾタウンは支払いをGMOペイメントから先に受けているため、ツケ払いによって購入代金を取りっぱぐれることはありません。
そもそもGMO後払いは未回収リスクのない決済サービスとして展開しているもので、ゾゾタウンはなんらかの決済手数料などを負担してこの決済サービスを利用しているだけですので、支払いが行われない場合には当然GMOが全額負担します。
もし二か月過ぎても支払われなかったら?
そもそも“ツケ払いで購入したけど支払うことができない”といったひとが続出しているのが今回の問題の一つです。一応ツケ払いには利息はかからないため、借金のように金額が膨れていくことはありませんが、当然そのままにしておくことは不可能でしょう。
ゾゾタウンには直接的に被害はありませんが、回収できなければGMOは負債になりますので、GMOペイメントが確実に取り立ててくるはずです。
信用がなくても利用できてしまう後払いサービス
そもそもクレジットカードで支払いをすれば同じような後払いサービスを受けているのと同等です。当然手数料などもかかりませんが、自動的に1か月-2か月後の支払いになります。その代わりクレジットカードを使用するには、料金を支払うことができるという信用が必要です。
ツケ払いの問題点は信用がない人でも後払いにできる。(言い換え:信用のない人くらいしか利用価値がない)という点に尽きます。
「未成年でも親にバレることなく商品を購入できてしまう」なんていう話もあるように、今まで洋服を購入できなかった層でも手軽に洋服を購入することができるのです。
未成年者の風俗の入り口になんていう話もあるくらいです・・・
ツケ払いの導入は単純に「利益を生み出す経営判断」とするならもしかしたら正しいかもしれません。ですが「お金がないのに商品が手元に届く」という間違った認識が若年層に広まっていくのであれば、それ相応の危険が伴うのは言うまでもありません。