日本三大桜・三春滝桜は必見!春の福島で桜の名所5つを巡る
ぽかぽか陽気が続き、お花見の季節ですね。せっかくなので、ちょっと遠出をして福島に桜を見に訪れませんか?福島県には日本三大桜のひとつである「三春滝桜」をはじめ、桜の名所が数多くあるので、ドライブがてら回ってみるのもいいですよ。今回はなかでもおすすめの5カ所を、北は福島市から南の白河市へと下りていく、スムーズな回り方でご紹介。例年の見ごろは4月中旬。福島でしか出合えない絶景の桜を堪能しに行きましょう。
1.多種多様な桜と花による桃源郷「花見山公園の桜」
花見山公園は渡利地区の花木生産農家の集落にある個人所有の公園です。花木生産農家の方が、昭和10(1935)年から長い年月をかけて雑木林を開墾し、花木を植えたのがはじまり。その美しい花々を多くの人に見てもらおうと、昭和34(1959)年に無償で一般開放されて以来、地元の人や多くの観光客に親しまれています。
約5ヘクタールの花木畑には、ヒガンザクラ、トウカイザクラ、ソメイヨシノといった桜のほかに、レンギョウ、ボケ、モクレン、ハナモモなどさまざまな花木が栽培されており、4月の最盛期にはいっせいに花を咲かせます。
日本を代表する写真家、故・秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と称えて全国に紹介したことから、花の名所として広く知られるようになりました。
花見山公園入口の前にある観光案内所近くからの眺めはまさに百花繚乱。桜、レンギョウ、ボケ、ハクモレンなどの色とりどりの花がいっせいに咲き誇る姿を見られます。
この観光案内所と園内の随所にはボランティアガイド「ふくしま花案内人」が駐在しており、花の説明やその日見頃を迎えている花のビュースポットを案内してくれます。
見学コースは歩く距離に応じて30分、45分、60分と3つあります。展望場がある花見山の山頂まで登って戻るには約60分かかります。散策に適したスニーカーで歩きましょう。
花見山のたくさんの桜と花木が織りなす風景に感激すること間違いなしです。
花見山公園
福島県福島市渡利
[開園時間・料金]見学自由(早朝・日没後はご遠慮下さい)
[定休日]なし
024-531-6428(福島市観光案内所)
2.菜の花とのコントラストが美しい「合戦場のしだれ桜」
駐車場から2分ほど歩くと「合戦場のしだれ桜」が目に飛び込んできます。この名前の由来は、平安時代の武将・八幡太郎義家が安倍貞任・宗任と戦った合戦場と伝わる地に咲くことからだといわれています。
樹齢は約180年で、「三春滝桜」の孫桜といわれるしだれ桜。1本の木のように見えますが、じつは2本。寄り添っているかのように見えるため、「大林の夫婦桜」とも呼ばれています。
「合戦場のしだれ桜」を堪能したら、「道の駅さくらの郷」の近くにある2つの桜も見に行きましょう。「合戦場のしだれ桜」から「道の駅さくらの郷」までは、約1.6kmにわたって「さくら回廊」という遊歩道があり、川沿いに咲く桜巡りを楽しめますよ。
このように複数の桜を見比べるのも楽しみ方のひとつ。「合戦場のしだれ桜」を訪れるなら、ぜひ2つの桜も併せて訪れてみてください。
合戦場のしだれ桜
福島県二本松市東新殿字大林145
[見学時間・料金]見学自由
0243-65-2803(岩代観光協会)
3.紅色の花が美しい「紅枝垂地蔵ザクラ」
なかでも「紅枝垂地蔵ザクラ」は圧倒的に多くの人が集まる人気の桜。先ほどの「道の駅さくらの郷」からは県道40号線経由で約40分です。
「紅枝垂地蔵ザクラ」は「三春滝桜の娘」といわれており、樹齢は約400年。濃い紅色の花びらと、鳥が羽を広げたような長く垂れた枝ぶりが「三春滝桜」とよく似ています。
木の下には小さな地蔵堂があります。昔から赤ん坊の短命や夭折の難(ようせつのなん・若死にの意味)を逃れるために、この地蔵に願懸けがされてきました。そのため「地蔵ザクラ」という名前は、この地蔵堂にちなんで命名されたといわれています。
紅枝垂地蔵ザクラ
福島県郡山市中田町木目沢字岡ノ内
[見学時間・料金]見学自由
024-924-2621(郡山市観光協会)
個性豊かな郡山市の桜たち、ゆっくり堪能しましょう。
4.圧倒的な存在感の「三春滝桜」
例年多くの人が「三春滝桜」を見に訪れるため、周辺の道路は大混雑してしまうので、時間に余裕をもって訪れるといいでしょう。
樹齢はなんと1000年以上といわれています。岐阜県本巣市の「根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら)」と山梨県北杜市の「山高神代桜(やまたかじんだいざくら)」とともに日本三大桜のひとつに数えられ、大正11(1922)年に国の天然記念物に指定されています。
四方に伸びた太い枝から紅色の花びらが地面に触れるほどにしだれています。満開のときには滝が流れ落ちるかのように見えるため、「滝桜」と呼ばれるようになったといわれています。
1本の木とは思えないほど迫力があります。遠くから見てみたり、根元から見上げてみたりするなど、さまざまな角度から眺めてみて、お気に入りのポイントを見つけましょう。
三春滝桜
福島県田村郡三春町大字滝字桜久保296
[見学時間・料金]見学自由
0247-62-3690(三春まちづくり公社/みはる観光協会)
5.桜と城の、絵になるショットが見られる「白河小峰城跡の桜」
白河小峰城は興国元年~正平年間(1340~1369年)、結城親朝が「小峰ヶ岡」に城を構えたのがはじまりで、寛永9(1632)年に江戸時代の初代白河藩主・丹羽長重が約4年の歳月を費やして完成させた梯郭式(ていかくしき)の平山城です。
1991年に三重櫓、1994年に前御門が江戸時代の絵図に基づき忠実に木造で復元され、市のシンボルとして親しまれています。2010年には、国指定史跡となっており、日本100名城のひとつに数えられています。
城のまわりに植えられた約180本ものソメイヨシノが白やピンクの花を咲かせると、桜と三重櫓、石垣の風景がとても絵になります。城内に広い城山公園があるので、シートを広げて、ゆっくりお花見を楽しみましょう。
併せて訪れたいのが、白河小峰城にある三重櫓の横の「おとめ桜」。この「おとめ桜」には悲しい伝説があります。
その昔、白河小峰城の石垣が何度となく崩れてしまうため、人柱を立てることになり、藩士の娘のおとめがその犠牲になりました。このおとめを悼んで城内に「おとめ桜」の名で桜が植えられたそうです。
この桜は戊辰戦争で焼失してしまいましたが、現在は二代目の「おとめ桜」が見事な花を咲かせています。
2017年は4月15(土)、16日(日)に「小峰城さくら祭り」が開催され、さまざまなイベントが行なわれる予定です。15日には白河市内に咲き誇るしだれ桜をスタッフと一緒に見てまわる「しらかわ桜ウォーク」(事前申し込みが必要)、16日には川越藩火縄銃鉄砲隊保存会による火縄銃の演武が行なわれるので、興味がある人は白河観光物産協会のホームページをチェックしてみて。
白河小峰城跡
福島県白河市郭内1
[見学時間・料金]見学自由 ※三重櫓は10:00~17:00(11~3月は~16:00)
[定休日]年末年始(三重櫓)
0248-22-1147(白河観光物産協会)
※写真はすべて2016年以前のものです。
桑沢香織
編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。雑誌、書籍、小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。編集を担当した本に『わたしらしさのメイク』『おとなのヘアケア読本』(ともに技術評論社)、『劇団四季ミュージカルCATSのすべて』(光文社)、『大相撲手帳』(東京書籍)などがある。デコ新刊:『新幹線を走らせた男 国鉄総裁 十河信二物語』『増補 健康半分』『顔望診をはじめよう』『サバイバル登山入門』など。
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