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ゴーン氏、グループけん引 日産社長を退任

2017/2/24 1:14
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 日産自動車が17年ぶりの社長交代に踏み切った。カルロス・ゴーン氏(62)が社長と最高経営責任者(CEO)を退任し会長に専念。後任に副会長の西川(さいかわ)広人氏(63)が4月1日付で就く。電動化の波や「所有」から「利用」への消費者行動のシフトなど、車を取り巻く環境は激変している。米グーグルなどIT(情報技術)勢の参入に既存の車業界の経営者が立ちすくむなか、ゴーン氏は引き続き仏ルノー・日産連合をけん引することになる。

 ゴーン氏によって経営危機を脱した日産はルノーとのシナジー効果を追求し、世界販売台数では今やトヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)に並ぶ「1000万台」の規模まで成長を遂げた。そのゴーン氏ですら、グループ個社の隅々まで目を光らせるのは難しくなってきた。日産の成長は西川氏に任せつつ、自らはグループの「総帥」として、技術進歩や消費者ニーズの変化への対応を陣頭指揮する。

 グーグルなどIT各社の相次ぐ参入で車業界の勢力図はここ数年で大きく変わった。その要因の一つが、新興の米テスラに象徴される電気自動車(EV)の台頭だ。排ガス不正に揺れるVWはこれまで磨いてきたディーゼル技術に見切りをつけ、巨費を投じてEVにシフトする。ハイブリッド車(HV)でエコカー市場を席巻しようとしたトヨタも戦略転換を余儀なくされた。

 さらには「利用」への消費者の変化もある。独ダイムラーは米ウーバーテクノロジーズと組み、ウーバー向けの自動運転車の開発に取り組む。ホンダも人工知能(AI)の技術者は足りず、自動運転でグーグルとの提携に踏み切った。

 日本勢が大切にしてきた「もの作り」も、EVでは部品点数や工程が半分以下に減る。強みとしてきた「擦り合わせ」の技術は、熟練工の少ない新興国では逆に欠点になる。

 ゴーン氏はこの18年間、中国政府やロシアのプーチン大統領に近づき、経営不振に悩んでいた東風汽車やアフトワズの再建を指揮。実績を買われて両政府からの優遇を受け、日系メーカーではシェアトップだ。昨年には三菱自動車に出資し、規模拡大に生かす一方、三菱自も手掛けるEVなどで技術の深化を追求する。

 ネット社会の進展とともに車の利用形態も変わり、自動車メーカーがカバーしなければならない技術領域も広がる。提携の名手であるゴーン氏が次に担うのは、自動車産業を巡る競争軸の変化への対応だ。

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