ゆかたで町をそぞろ歩き。城崎温泉の外湯めぐり
平安時代から続く1300年以上の歴史をもつといわれる城崎温泉。ここで温泉を楽しむのに欠かせないのが、ゆかたを着ての外湯めぐりです。ゆかた姿で下駄の音をからんころんと響かせながらの外湯めぐりは、なんともいえない風情があります。
「外湯(そとゆ)」「内湯(うちゆ)」という言葉をご存知でしょうか?
「外湯が露天風呂のことで、内湯は室内にあるお風呂でしょ」
と思われた方、
残念!
「外湯」とは、温泉街にある公衆浴場のこと。それに対して「内湯」とは、旅館などが独自に保有するお風呂のことをいいます。現在では混同されて使われることも多いようですが、屋外の露天風呂のことは「外風呂」、室内にあるお風呂のことは「内風呂」というのが正解です。
掘ったり、汲み上げたり、さまざまな技術により、今でこそ全国津々浦々、旅館やホテルなどの「内湯」でも楽しめる温泉。しかし、もともとは温泉といえば「外湯」。自然に湧き出る源泉近くに湯船などを整備し、周辺旅館の宿泊客は、その公衆浴場に通っていたんです。
大正時代以降、技術の進歩により独自の「内湯」をもつ旅館が急増。温泉=旅館の内湯があたりまえになっていきました。
そんななか、関西の名湯として名高い城崎温泉は、今でも「外湯」が残る温泉地として有名。趣のある合計7つの「外湯」をめぐることができる「外湯めぐり」は、名物のひとつになっているんです。
外湯めぐりは、ゆかたに下駄が正装!?
訪れた観光客は、宿泊する旅館や、町内にあるお店でゆかたをレンタルして町に繰りだします。
ゆかたで町を散策しながらというこの外湯めぐりのスタイルは、日本文化に興味のある外国人はもちろん、すっかり洋服が浸透し、ゆかたを着るのは花火大会やお祭りの時くらい、という方も多いであろう現代の日本人にも近年再注目され、城崎温泉の魅力のひとつとなっています。
やってきたのは、ゆかたの販売・レンタルを手掛ける、ゆかた専門店「いろは」。
城崎温泉街の中心部、外湯「御所(ごしょ)の湯」のとなりにあるお店です。
試着・着付けスペースの襖絵には、コウノトリが描かれていて、その美しさに目を奪われてしまいます。
心配いりません!
「いろは」のゆかたレンタルは、帯・下駄・和装小物付き、そしてヘアスタイリングに、着付けサービス付きで税込2,160円~。スタッフの方が、コーディネートのアドバイスから親切に対応してくれるので、手ぶらで何もわからず訪れても大丈夫なんです。そしてゆかたは税込3,996円~で販売も行っています。この機会にマイ浴衣をゲットするのもおすすめです。
オリジナルの図柄を含め、200種類以上という豊富なラインナップのゆかた。古風な定番のものから和のテイストと現代っぽさが融合したハイセンスなものまで、見ているだけでも楽しくなってきます。
ゆかたが決まったら、次は帯。トータルコーディネートを完成させるまで、選ぶ楽しみは終わりません。あれやこれやと目移りしながら、自分好みのコーディネートを見つけたら、いよいよ着付けです。
外湯をめぐる際に、自分でまたゆかたを着ることができるように、着付けのレクチャーもしっかりしてくれます。
「服装が変わると気分が変わる」とか「まずは外見、形から…」などとよくいわれますが、ゆかたを着るだけでグッと気分が高まります。
「今日は暑いから、これ持っていって」
特別に女将の私物の日傘まで貸してもらっちゃいました。
ゆかた専門店「いろは」
兵庫県豊岡市城崎町湯島449
[営業時間]10:00~18:00、20:00~22:00
[定休日]木曜
[ゆかたレンタル料金]税込2,160円~(ゆかた・下駄・帯・和装小物付、ヘアスタイリング、着付けサービス込み)
[ゆかたレンタル可能時間]10:30~22:00
0796-32-0168
外湯めぐりにいざ出発
温泉情緒あふれるその町並みには、やっぱりゆかたがぴったりしっくり。
それぞれの湯に由来や言い伝えが残り、歴史の深さを今に伝えています。
それぞれ個別に入浴料金を支払って入ることもできますが、外湯めぐりには、一日中、どの「外湯」にも入り放題の城崎温泉外湯めぐり券(デジタル外湯券)「ゆめぱ」(大人1,200円、小人<3歳~小学生>600円 ※ともに税込)がおすすめ。
城崎のほとんどの旅館では、宿泊すると、外湯めぐり券もついてくるので、宿泊客はあらかじめ旅館でこの「ゆめぱ」をもらって「外湯」をめぐるという仕組みになっています。
素朴で自然たっぷりの外湯「鴻の湯」
賑わう町から少し離れたところにひっそりと立つ素朴な様式の建物からは、昔の山小屋のような雰囲気が漂っています。
野趣に富んだその温泉は、幸せを運ぶ鳥「コウノトリ」の名にふさわしく、入る人みんなを幸せにしてくれる、そんな素敵な温泉でした。
鴻の湯
兵庫県豊岡市城崎町湯島610
[営業時間]7:00~23:00
[定休日]火曜
[入浴料]大人600円、小人(3歳~小学生)300円※すべて税込
※「ゆめぱ」利用対象施設
0796-32-2195
食べ歩きに足湯。「外湯」のほかにも楽しみはいっぱい
「外湯」へ向かう道すがら、町歩きを楽しめるのも、外湯めぐりの醍醐味。
川沿いの柳の木やいくつもの太鼓橋が気分を一層盛り立てます。
「ほんのり塩味が…」
やや塩味のするまろやかな味。健康のためにもお試しあれ。
せっかく外湯めぐりをするのなら、ぜひ足湯もめぐってみては。
展望露天風呂からの眺めが秀逸!「さとの湯」
城崎温泉の7つの外湯では、毎日一番最初の入湯者だけに「一番札」を配っています。7つの外湯で男女それぞれ1人ずつ、合計14人しか手にすることができないレアアイテム。なかには7つの外湯の一番札コンプリートのため、たびたび城崎を訪れる強者リピーターもいるんだとか。外湯によって開湯時間やお休みの曜日がそれぞれ違うので、よくよくチェックして一番乗りをめざしましょう。
バラエティに富んだたくさんのお風呂が楽しめるのも「さとの湯」の魅力です。
青々とした空に、円山川(まるやまがわ)、遠くに見える山々…。
見晴らし最高の絶景を露天風呂に入りながら楽しめる、というなんとも贅沢なお風呂です。
「いろんな種類のお風呂をたくさん楽しみたい」
「とにかく大きいお風呂でのんびりしたい」
「さとの湯」はそんな人にぴったりの外湯。
気負わず気軽に楽しめる温泉でした。
さとの湯
兵庫県豊岡市城崎町今津290-36
[営業時間]13:00~21:00
[定休日]月曜
[入浴料]大人800円、小人(3歳~小学生)400円※すべて税込
※「ゆめぱ」利用対象施設
0796-32-0111
温泉情緒あふれる表通りも楽しいですが、静かに落ち着いた、形容しがたいひなびた風情を楽しむのも乙なもの。
表通りでお店散策を楽しんだら、裏通りにもぜひ足を延ばしてみてください。
外湯の聖地!?「まんだら湯」
ありがたいお湯に心は穏やか、体もすっきり。
しっぽり楽しみたい方は「まんだら湯」がオススメです。
まんだら湯
兵庫県豊岡市城崎町湯島565
[営業時間]15:00~23:00
[定休日]水曜
[入浴料]大人600円、小人(3歳~小学生)300円※すべて税込
※「ゆめぱ」利用対象施設
0796-32-2194
夜の町の賑わいもまた一興
旅館やお店、そして「外湯」にオレンジ色の暖かい明かりが灯ると、町は昼とは違ったロマンチックで味わいのある雰囲気に。
楽しみ方は十人十色。外湯めぐりの可能性は無限大です。
お気に入りのゆかたに袖を通して、あなた流の城崎温泉外湯めぐりに繰り出してみてはいかがでしょうか。
[モデル]引田 絵里華(関西美少女図鑑)
城崎温泉観光協会
兵庫県豊岡市城崎町湯島357-1(城崎文芸館内)
[営業時間]9:00~17:00
[休館日]毎月最終水曜(祝日の場合は営業、翌日休み)
0796-32-3663
James
イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。
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