出典:http://www.porsche.com/japan/jp/models/718/718-boxster/
ポルシェが次世代ミッドシップオープンスポーツ・718ボクスターを投入しました。
フラット4をターボ過給し300psを発揮する水平対向2.0エンジンは燃費とパワーを両立する理想的なスポーツエンジンの完成系ともいえます。
しかしそれまでエントリーポルシェとして製造され続けてきたフラット6エンジン搭載のボクスターがラインアップから外れ、ケイマンも718のクーペモデルに切り替えられることとなりました。
600万円台で乗れる由緒正しいポルシェ水平対向6エンジンが1,000万円オーバーの911でしか味わえなくなってしまうのは、どこか寂しさを感じてしまうのは私だけでしょうか。
水平対向エンジンの特徴
出典:http://www.porsche.com/japan/jp/models/718/718-boxster/
水平対向を採用している著名なメーカーはドイツ・ポルシェと、日本の富士重工(スバル)ですね。
どちらも数十年に渡り水平対向エンジンを作り続けるメーカーとしてクルマ好きから評価されています。
クルマに詳しい人にとっては今更な話ですが水平対向エンジンについて、簡単におさらいをしておきます。
水平対向エンジンの特徴は以下のとおりです。
- シリンダーを180度左右水平に取り付けたエンジン
- 向かい合うピストンの振動を打ち消す
- 振動を打ち消す部品が不要
- エンジンの全長が短く作れる
- エンジンが低重心になる
- 全幅が広い
- 給排気系の都合で採用車が低重心になるとは限らない
- メンテナンス性が悪い
- ピストンの片側が偏摩耗オイル漏れしやすい
この水平対向、エンジンとしては理想的かつ完璧なレイアウトなのですが、マテリアルの進化や昨今の環境性能に関する規制の厳格化によりデメリットが前面に出てしまうようになりました。
今回の718ボクスターのようにダウンサイジングすることでエコ性能を達成しなくてはいけなくなるほど、水平対向が超えなくてはいけない環境水準のハードルが高まっている時代になっているのです。
水平4気筒ターボによる300馬力の胸熱パッケージ
出典:http://www.porsche.com/japan/jp/models/718/718-boxster/
718ボクスターのエンジンスペックは、ボクスターより91kg増の車重を跳ね返す300ps。
先代ボクスター2.9の最高速264km/hを超え、最高速275km/hまで1400kgの車体を引っ張ります。※1
600万円台とポルシェにしてはお買い得感が高かった先代ボクスターは、最高速264km/hと高級スポーツカーと言うにはマイルドな味付けのクルマでした。
718は車重が増えて気筒数が4に減少し、2000ccになったことで廉価感が高まったものの、エンジンパワーは先代のボクスターS並に引き上げられたという、嬉しいのか悲しんで良いのか評価を下すのに困るモデルとなってしまいました。
最新のポルシェが最善のポルシェである哲学の通りとても魅力的な車両なのですが、排気量が大きい=高級スポーツカーという価値観で育ってしまったため、素直に水平4・2.0Lエンジンを褒めることができない自分がいるのです。
これで重量が1.2tくらいのライトウェイトカーなら狂喜乱舞してたのですが、1.4tの車重と先代より約100kgも重たいのでこれもまた素直に喜べません。
もし300馬力エンジンをミッドに積んだ1.2tの車重だとしたら限界域の制御が難しくなり非常に危険なので、1.4tの重量は正しい選択だと思います。
それに600万円台のスポーツカーになに贅沢いってるの?といわれたらそこまでです。
ポルシェのブランド力考えたら、ポルシェのターボ車両に600万円台で乗れる事を考えたら格安だと言えるでしょう。911ターボのプライス2,200万円を考えたら、3分の1以下の値段です。※2
少し話はそれましたが、ボクスター誕生以降ポルシェの水平対向6エンジンをボクスター、911のスポーツモデルに採用してきました。
これまではポルシェ伝家の宝刀フラット6を性能はどうであれ、全グレードで体験することができたのです。
今回の水平4気筒の登場で、廉価グレードのポルシェでは6気筒エンジンを味わえなくなってしまうのが少し残念なところでは有ります。
先代ボクスターやケイマンのフラット6は、アイドリングでは少しおぼつかない爆発音がウソのようになめらかにレッドゾーンにまで吹き上がるサウンドを響かせてくれます。
フラット6の完成されたサウンドは、911のような暴力的な加速が味わえない素ケイマンや素ボクスターでも、ポルシェに乗っているんだという実感を与えてくれる演出の一つでした。
まだ718には乗っていないので、水平6じゃないとポルシェじゃないなんて意見は見当違いの言いがかりの可能性が高いです。
ですがポルシェの水平6を現行718では体験することが出来無いのもまた事実なのです。
現実的な価格のフラット6に乗りたいなら今のうち?
フラット6はその特性上、完璧なエンジンの1つに数えられています。
取り付けると重心が高くなるだの、メンテナンス性が悪いだのいわれますが、ポルシェの水平6気筒の性能はレースを戦い抜いてきた世界最高峰のエンジンの一つです。
ポルシェも環境保護の観点から水平対向6から4気筒、2気筒へと舵切りをしつつあります。いずれ911もダウンサイジングの波に飲まれていくことでしょう。
1998年排ガス規制の高まりから最後の空冷ポルシェ993が販売終了し、ポルシェの一つの歴史に終止符が打たれました。そして今、911から守り続けてきた水平6に別れを告げる時代に来てるのかもしれないですね。
とは言え、水平対向4エンジンは911以前の356や兄弟車の912にも採用されていた過去を考えたら、ある種の原点回帰とも言えるのかもしれません。
718ボクスターは単純なダウンサイジングで先代と同性能というお茶濁しで終わらず、300馬力オーバー・パワーウェイトレシオ5kg台・最高速275km/h、とスポーツカーとして申し分ないですからね。
ですが機構としてポルシェの水平対向6が600万円台付近で新車同然で乗れるのは今のうちかもしれません。
まだ登録未使用車や新古車として6気筒ボクスター・ケイマンがギリギリ出回っています。※2017年2月カーセンサー調べ
ポルシェとしては格安の水平対向6に袖を通しておきたい!って奇特な人は契約の検討を!