高血圧でも運動していい人とよくない人
血圧は運動をすると一時的に上がりますが、適切な運動を続けていると筋肉がたくさんの酸素や栄養を必要とし、血液が酸素や栄養素を筋肉に運ぶために血管が広がったり、血圧を上げようとする交感神経の緊張がほぐれ、血圧が下がっていくようになります。
したがって持続的な適切な運動は高血圧に有効ですが、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによれば、運動をしていいのはガイドラインで定めるⅡ度以下の血圧値の方であり、それ以上であったり心血管に異常がある方はしてはいけないとされています。
したがって、高血圧の人が運動していいのかいけないのかを分けるポイントを分けると
<運動をしていい人>
・血圧が 160-179/100-109 mmHg 以下
・心血管に異常がない
<運動してはいけない人>
・血圧が ≧180/≧110 mmHg
となります。
高血圧の治療には有酸素運動が有効
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによればⅡ度以下の血圧値、つまり血圧が 160-179/100-109 mmHg 以下の人は、高血圧の治療として有酸素運動が有効であることが確立されています。
また運動療法が高血圧治療の予後改善に寄与するかもしれないとされており、高血圧治療における有酸素運動による運動療法は大きな存在となっています。
さらに、血圧を下げるだけでなく体重・体脂肪・ウエスト周囲長を減少させたり、インスリン感受性や血清脂質の改善も見られるため高血圧がもとで起こる合併症の予防としても有効な手段です。
有酸素運動のトレーニング例
有酸素運動のトレーニングは
・毎日合計30分以上
・ややきつい程度
の運動をすることが推奨されています。ウォーキング・水泳・サイクリング・体操など様々な有酸素運動の方法があり、それぞれ運動強度なども異なることから一概に「これを30分行えばいい」ということはできませんがそれを目安に行います。
運動強度と運動時間の関係については、『メッツ』という指標があります。詳しくは『運動不足解消への第一歩!まずは適切な運動量を知ることから始めよう!』をご覧ください。
ここではガイドラインでも紹介されている速歩つまり「歩く」ことに焦点を当ててポイントをご紹介します。
運動の前後には水分補給をしっかり行ってください。歩く際には以下のことに気をつけて行うとしっかりとしたウォーキングの効果が得られます。
・両腕を大きく振って歩く
・あごを引いて、背筋をしっかりピンと伸ばした状態で前を見て歩く
・かかとで着地する
・足に合ったシューズを選ぶ
また、運動する時間を取れない方は、駅を一つ前で降りて家まで歩いたりエスカレーターやエレベーターではなく階段を利用するなど少しの工夫で生活に運動を取り入れることができます。
強度の高い運動はしてはいけない
ご紹介したように、運動をすると一時的に血圧が上がってしまいます。そして運動の強度が上がるほどそれが強く現れます。
ウェイトトレーニングや、踏ん張ったり気張ったりするような強度の高い無酸素運動はとても大きな負荷をかけてしまうために血圧が高い方は基本的には行ってはいけません。筋肉量を上げるためにトレーニングしている方もいるかもしれませんが、無酸素運動は治療によって血圧が正常まで戻ってからおこないましょう。
有酸素運動に組み合わせて効果が!?
有酸素運動に加えて、筋肉に負荷をかける運動であるレジスタンス運動(無酸素運動)やストレッチ運動を行うことで、前者は除脂肪体重の増加や骨粗鬆症・腰痛の防止、後者は関節の可動域や機能の向上が期待でき有用であるという報告があります。
先ほど無酸素運動は行ってはいけないというこうとご紹介しましたが、医師と相談して無理のない程度に決められた中で取り組むのであればこれは大きく効果を発揮してくれるでしょう。
レジスタンス運動をおこないたい場合には医師やトレーナーとしっかり相談した上でトレーニングをおこなってください。
ストレッチ運動には動的ストレッチと静的ストレッチがありますが、動的ストレッチは文字どおりどうしても動きが多いため、人によっては負荷がかかりすぎて血圧に影響してしまう可能性があります。
こちらも医師やトレーナーと相談してどのようなストレッチをするのがいいのかを考えるのがいいでしょう。
体調維持のためにも運動は重要
いかがでしたか?高血圧と運動の関係についてお分りいただけたでしょうか?
高血圧改善のための運動の基本は、大きな負荷をかけずに有酸素運動を可能な限り高い頻度でおこなう、ということです。
運動の習慣は高血圧に対してだけではなく他の疾患や体の調子に影響します。運動をしていい方はこれを機に、予防や治療のために運動を取り入れてみましょう。
また、運動療法は高血圧改善のためだけではなく、生活習慣病の予防にも効果的です。詳しくは『生活習慣病の予防にも効果的!誰でもできる運動療法とは』をご覧ください。