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2016年12月18日 09時34分

改正ストーカー規制法成立、SNSも対象に…弁護士「これまでが規制されなさすぎた」

改正ストーカー規制法成立、SNSも対象に…弁護士「これまでが規制されなさすぎた」
写真はイメージです

ツイッターやLINEなどのSNS送ることも規制の対象に加えた改正ストーカー規制法が12月6日、衆議院本会議で全会一致で可決、成立した。

2016年5月、東京・小金井市で、音楽活動をしていた女子大学生がファンの男性から刺された事件で、女子大学生は、この男性からツイッターなどで執ような書き込みをされていたとして、警察に相談していたが、警察はストーカー被害として扱うことができなかった。改正法は、こうした事態を受けて検討された。

改正法ではこれまでとどんな点が変わったのか。ストーカーの問題に詳しい神尾尊礼弁護士に聞いた。

●対応の迅速化と罰則の強化

今回の改正の主な点は、(1)規制対象行為の拡大、(2)禁止命令等の手続に関する見直し、(3)罰則強化、(4)非親告罪化です。

2016年5月、音楽活動を行っていた女子大生が刺されて重傷を負った事件がありました。この事件では、SNSが規制の対象外であったことが大きな問題になりました。

そこで、(1)規制対象行為として、SNSを使ってのメッセージ送信やブログへの書き込みなども含まれることになりました。

また、誤解されがちなのですが、ストーカー規制法の第一の判断主体は、裁判所ではなく警察署長などです。そして、つきまとい禁止など、強い命令を出すためには段階を踏まなければならないという手続的な問題がありました。

そこで、(2)緊急の場合には手続を省略して進めることができるなどとされました。

さらに、ストーカー規制法違反の場合、この命令だけでなく刑事事件としても扱われますが、そこで出される判決が軽すぎるという批判もありました。そこで今回、(3)罰則が引き上げられました。

最後に、ストーカーは急激にエスカレートするケースがあることが分かってきました。被害者が届け出をためらっているうちに重大事件に発展しないよう、(4)被害者から告訴がない段階でも捜査し起訴することができるようになりました(被害者の「親告」が要らなくなったという意味で、非親告罪になったと表現します)。

私個人としては今回の改正には一定の評価をしています。

他方、規制対象が広くなりすぎ、誰でもストーカーと認定されてしまうのではないかなどという批判もあり、今後の運用を見ていきたいと思っています。

ただ、個人的な感覚としては、SNSも含め「規制されなさすぎ」と思っていましたので、改正の方向性については賛同しているところです。

この改正によってストーカー行為が減ることを期待しています。

(弁護士ドットコムニュース)

神尾 尊礼弁護士
東京大学法学部・法科大学院卒。2007年弁護士登録。埼玉弁護士会。刑事事件から家事事件、一般民事事件や企業法務まで幅広く担当し、「何かあったら何でもとりあえず相談できる」事務所を目指している。
所在エリア:
  1. 埼玉
  2. さいたま市
  3. 南区
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