「宇宙から地球を見る視線」になれる新刊『Overview』
宇宙からの視線で地球を見ることで、人間たちは進化できるのだろうか。そうした意図でまとめられた衛星写真集『Overview: A New Perspective of Earth』が出版された。
PHOTOGRAPHS BY BENJAMIN GRANT/© 2016 DigitalGlobe.
TEXT BY CHARLEY LOCKE
TRANSLATION BY MISAKO ASANO/GALILEO
WIRED (US)
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1/15ユタ州モアブ、ポタシュ(炭酸カリウム)鉱山の蒸発池(米国)
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2/1519世紀の都市計画で生まれた、バルセロナのアシャンプラ地区(スペイン)
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3/15ミシガン州ニガウニー市、鉄鉱石鉱山の尾鉱沈殿池(米国)
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4/15テキサス州ダラス・フォートワース国際空港(米国)
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5/15リオデジャネイロのイパネマ・ビーチ(ブラジル)
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6/15アーリットのウラン鉱山(ニジェール)
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7/15フロリダ州ジャクソンヴィルのインターチェンジ(米国)
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8/15河北省にある、世界最大の石炭中継港秦皇島港の石炭埠頭(中国)
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9/15アラビア半島南部の3分の1を占める世界最大級の砂砂漠ルブアルハリ砂漠(サウジアラビア)
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10/15小笠原諸島に属する西之島の火山(日本)
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11/15アンコール・ワット(カンボジア)
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12/15アブダビのマラベ・アル・ダフラの村(アラブ首長国連邦)
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13/15ニューヨーク、セントラル・パーク(米国)
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14/15ダダーブ難民キャンプ(ケニア北部)
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15/15コルドバのオリーブの木々(スペイン)
宇宙から見る地球は、息をのむほど美しい。「ザ・ブルー・マーブル」の写真のように、広漠とした宇宙を背景にしたはかない地球の姿を見れば、驚嘆せずにはいられない。そして人工衛星から撮った何千枚もの写真を前にすれば、地球の美しさに畏敬の念を覚えるはずだ。だが同時に、その美しさを変えてしまうほどの人類の力を知り、時に心が痛むのだ。
作家のフランク・ホワイトは1987年、宇宙から見た地球の姿が人類を覚醒させることについて、「概観効果(Overview Effect)」と呼んだ。同じような効果は、ベンジャミン・グラントのインスタグラム「Daily Overview」の心奪われる写真の数々を見て味わうことができる。ニューヨークに住むグラントは、毎日Google Earthから厳選した画像をインスタグラムにアップする。「スケールが桁違いです」とグラントは言う。「他では決して見られないものを見せてくれるのです」
グラントは2014年1月、Google Earthに載っている素晴らしい画像を探し始めた。「Earth」という言葉を検索したとき、テキサス州アース(Earth)周辺にある円形の灌漑農地(センターピボットと呼ばれる灌漑農法)の写真を見つけたのがきっかけだった。
それ以来グラントは、アルゼンチンのペリト・モレノ氷河から、コロラド州にある警備の厳重な「ADXフローレンス刑務所」まで、あらゆるものを検索してきた。グラントが載せた画像(日本語版記事)の中には、彼が25枚もの写真をつなぎ合わせて「Photoshop」で修正を施し合成したものもある。
その中の選りすぐりの画像を集めて10月25日に出版されたのが、『Overview: A New Perspective of Earth』だ。この本には、人間が造形してきた世界が様々な形で載っている。収穫が間近に迫った明るい緑のオリーブの木々。深い青と紫の洞窟が地面に刻まれたウラン鉱山。鉄の尾鉱(有用でない鉱石)によって明るいピンク色に変わってしまった池。
グラントは、見る人に訴えかけるように、例えば、伐採された熱帯雨林の写真と製紙工場を並べて載せている。「この本では、章の中で写真を比較することができます。これは、インスタグラムに1日1枚アップするやり方ではできないことです」とグラントは説明する。
画像の多くは表面的には美しい。しかしその背景を知れば、心を痛めずにはいられないものばかりだ。赤さび色の地表に格子模様を描く、ケニアのダダーブ難民キャンプ。黄色い縞と黒い畝が並んだ中国の秦皇島の石炭輸送ターミナル。グラントが見せたいのはその緊張感だ。
最後の章では、爬虫類の背中のような隆起を見せる、世界最大級のルブアルハリ砂漠など、人里離れた場所の画像を集めている。
「私たちが過去100年の間につくってきたものと比較すると、山が侵食されたり、隆起したりして、こうした驚異的な景色がつくられるには、気の遠くなるほどの時間が必要なのです」とグラントは語った。
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