十年ぶりとなる日本ハムの日本一を劇的な形で迎えた日本。
3年連続Bクラスに沈んだ球団のエース・孝之は悶々とした毎日を過ごしていた。
10年間過ごした球団への愛着に、新たな舞台への果てなき渇望。
短く辛い時間の中で、周囲の目が余計に気になる立場だけに、決断の瞬間への恐れを強くするばかり。
「来世は東北のドラフト1位にしてくださーい!!!」
そんなある日、自分が杜の都で投げる夢を見る。
見覚えのある先輩、見知らぬ後輩、目の前に広がるのは仙台の町並み。
念願だった舞台での野球を思いっきり満喫する孝之。
一方、東北で暮らすベテラン野手、稼頭央も、奇妙な夢を見た。
一緒にプレイしたこともない投手の後ろで、自分が守備についているのだ。
繰り返される不思議な夢。そして、刻一刻と近づいてくる、決断の時。
孝之は気づく。
「俺/金銭、入れ替わってる!!」
いく度も悩み下した決断と周囲の反応に戸惑いながらも、新たな球団の期待を少しずつ受け止める孝之。
残されたファンへの惜別を残して、時に苦しみ、
時に新たな野球人生を楽しみながら、シーズンを乗り切っていく。
しかし、成績が安定してきた矢先、突然連勝が途切れてしまう。
球団が変わってから、同時に自分の投球スタイルが特段に変わっていなかったことに気づいた孝之は、
もっと三振を取りにいこうと決心する。
「まだ投げたことのない球を、これから俺は探しに行く。」
辿り着いた先には、意外な捕手が待ち受けていた……。
夢にまで見た故郷の晴れ舞台。
再生の物語が、いま動き出す。