【前回コラム】「「Snapchatは消えるけど、やった方がいい?」という質問がすでに間違っているという話」はこちら
SNSの中でもInstagramを活用したマーケティングが盛んとなっています。それに伴い、インスタグラマーに協力してもらう、インフルエンサーマーケティングを手法として選択する企業が増えています。インスタグラマーに商品やサービスを紹介してもらうというスタンダードな手法について、気をつけたいポイントを7点紹介します。
1.最適な人選か
プロモーションとして、十分な効果を発揮できるか否かの大きなポイントの1つに「最適な人選なのか」があります。例えば、常日頃からジャンキーな生活をしているインスタグラマーが、急にオーガニック食品の投稿をしてみても親和性がありませんし、フォロワーにも響きません。
起用するインスタグラマーは一般ユーザーからどのようなイメージを持たれているか、実際にどのような生活しているのかを確認する必要があります。さらにはそのインスタグラマーのフォロワーはどういう嗜好の人たちなのか想像して起用しなければなりません。
2.内容に制約はないか
インスタグラマーに投稿依頼をする際に、このような内容で紹介してくださいと、制約をかけすぎているケースがあります。しかし、こうした依頼は好ましくありません。インスタグラマーもメディアであるという認識をもち、ある程度の内容は当人たちに任せた依頼をする必要があります。
今まで彼女たちが投稿してきた内容に近しいトンマナで投稿してもらう方が自然だからです。また、長すぎるテキストを記載するように、依頼するのもインスタグラマーに嫌がられる傾向があり、案件を受けてくれないケースが出て来ることもあります。
3.ハッシュタグは多すぎないか
2.の内容と似ていますが、多すぎるハッシュタグの付与依頼もインスタグラマーに嫌われる依頼の1つです。つけてほしいハッシュタグ数はせいぜい3つくらいまでにするのが適正でしょう。当人たちが他のハッシュタグをつけることもあるので、5つや6つなどのハッシュタグを依頼すると、合計ハッシュタグ数が多くなりすぎてしまいます。
親切な依頼例としては、マストでつけなければいけないハッシュタグ、もし可能であればつけてほしいハッシュタグ、と分けてお願いするという方法もあります。
4.フォロワーを買っていないか
インスタグラマーの中でもフォロワーを買っているケースも、昨今では珍しくありません。私も実際に多く見かけてきました。(見分け方はあまり大きな声で言えませんが…)そこで依頼するインスタグラマーのエンゲージメント率を出してから依頼することを推奨します。
アクション数(いいね数+コメント数)÷フォロワー数=エンゲージメント率です。2万~10万フォロワーほどであれば、5%前後、10万以上であれば2%前後あれば好ましいといえるのではないでしょうか。
5.投稿日は適正か
1回のプロモーションあたりで、インスタグラマーに投稿依頼をする際に、1人ではなく、10~20人ほどに依頼をするのが一般的です。訴求したい内容にもよりますが、期間を2週間ほど用意し、インスタグラマーを2グループくらいに分け、1週目、2週目と、投稿日をバラけさせることがベターです。数週間にかけて、何回かの投稿を見てもらえるように、バラけさせた方が良いでしょう。
6.ステマにはならないか
最も注意した方がよいことの1つに、ステルスマーケティングにならないかということが挙げられます。ステルスマーケティング(以後ステマ)とは、一般ユーザーに広告・宣伝と分からない形で、宣伝や広報活動を行うことです。海外でも多くのセレブリティが連邦法により忠告を受け、日本においてもご存知の通りペニーオークションの事例があります。
以下は実際に私が依頼を受けた投稿ですが、#PRや#ADを記載しています。お金を支払い、投稿依頼をするのであれば、広告に値するため#PRや#ADのハッシュタグの表記を徹底して依頼しましょう。いずれにしてもユーザーを欺く行為はNGなので、インスタグラマーに商品をプレゼントして投稿をお願いするのであれば「◯◯をいただきました」と表記してもらうことが好ましいです。
7.依頼価格は適正か
現在では、インフルエンサーに支払う価格が高騰しているという話もあります。フォロワー単価で支払いをする場合、1フォロワー4円以上などと話す代理店もあります。10万フォロワーであれば、1投稿40万円というように。
しかし、インスタグラマー側に話をきくと、当人たちに支払われる料金は当初から、変動していないケースもあり、1フォロワー単価1~2円ほどの印象です。裏を返せば、代理店ががっぽり抜いているケースもあるかもしれないということです。
自分たちのリソースを使えるならば、Instagramでダイレクトメッセージを送って依頼を出してみてください。インスタグラマーたちもDMで仕事が来ることには慣れています。事務所などに所属していないマイクロインフルエンサーなどであれば、連絡に応じてくれますし、代理店を挟まないので、価格も安価に抑えることができます。
投稿依頼だけがインフルエンサーマーケティングではない
インフルエンサーマーケティングと言っても、最近では、投稿依頼だけではなく、イベントに参加してもらったり、プロモーション動画を撮ったり、彼・彼女たちに商品企画をしてもらったりなどと、さまざまな取り組み事例があります。Instagramに投稿をお願いする取り組みだけでは、単発的で一瞬の露出にしかなりません。
目的にもよりますが、本来であれば、コアファンがいて、なおかつプロダクトやサービスと親和性の高いインフルエンサーの協力を仰ぎ、ユニークなプロモーションを仕掛ける方が、エンゲージメント効果が高いと言えます。
なぜなら、現在では毎日のように、インスタグラマーたちがとっかえひっかえ商品をあげ続けているため、情報があふれすぎており、フォロワーもそこまで投稿を信用していないからです。
今回は最もスタンダードな取り組みである、Instagramへの投稿依頼をする際のチェックリスト7つをご紹介しましたが、その他にどういった取り組みができるのか是非みなさんで試行錯誤してみてはいかがでしょうか?
「#石井リナのゆとりですがなにか」バックナンバー
- 「Snapchatは消えるけど、やった方がいい?」という質問がすでに間違っているという話(2016/10/06)
- スピンズ×石井リナ「若年層マーケティングには、若者と大人の仲介役が必要」(2016/9/26)
- 原田曜平×石井リナ対談「リア充アピールも終焉?自然体を好み始めた若者たち」(2016/9/07)
- 若者たちが、検索エンジンよりもSNSを信頼する理由(2016/8/18)
- イマドキ女子大生にインタビュー「雑誌には、ファッションやメイクの情報を求めてない」(2016/7/28)
- どのような「フォトスポット」にすれば、若者がSNS投稿するのか(2016/7/19)
- “インスタハラスメント”を通して、インフルエンサーマーケティングを考える(2016/7/11)
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