電通過労死問題受け、広告労協が声明「メディアの多様化により業務量が激増」
電通で入社1年目の女性社員・高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した問題を受けて、電通など広告代理店の労働組合でつくる「広告労協」は10月31日、ホームページ上に「広告業界の長時間労働についての所感」と題した声明を発表した。悲劇が起きたことに「誠に残念でならない」と述べている。
声明では、加盟団体でも過重労働を軽減するため施策が取られているとして、36協定による時間管理や裁量労働制の導入事例などを挙げた。一方で、メディアの多様化や広告効果効率の厳密化などで「業務量が激増」、環境の変化が速く、業務の専門的や複雑化によって、「現場社員の一人一人に負荷がかかっている」と広告業界を取り巻く環境を分析している。
声明全文は次の通り。
株式会社電通に2015年に入社された新入社員女性の自死が先月末に過労自死として労災認定されました。その後、連日のように長時間労働問題についてメディアで報道されています。 広告業界で働く人々のより良い環境作りに日々取り組んでいる広告労協としても、今回の件は誠に残念でなりません。広告労協に加盟している単組各社でも、会社の規模や専門分野によって様々な制度が採用されています。たとえば電通に見られる36協定による時間管理、あるいはADKやオリコムが導入している裁量労働制などがあります。
広告会社は、クライアントとメディア・消費者をつなぎ、斬新な発想やアイデアを生み出す、という命題の中で、社会のIT化、メディアの多様化、広告効果効率の厳密化などにより業務量が激増しています。環境変化のスピードに会社も対応できず、業務はより専門的、複雑化して現場社員の一人一人に負荷がかかっている状況もあります。
業界の過渡期といえるかもしれませんが、私たち現場で働く人々の生活が充実してこそ、この難局を乗り越えられるのではないでしょうか。
私たち広告労協は、引き続き広告業界で働く人々のためのより良い環境を作る活動を続けていきたいと思います。
2016年10月 広告労協