女性初異端
ホワイトハウスへの道

米大統領選2016

 米国の大統領選挙で民主、共和両党は党大会で大統領候補を正式に指名した。「女性初」の大統領を目指す民主党のヒラリー・クリントン氏か、過激な発言を繰り返す「異端」の共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏か。次のホワイトハウスの主を決める11月8日の本選に向けた攻防を追う。

民主党 ヒラリー・クリントン

現在の支持率 00.0

共和党 ドナルド・トランプ

現在の支持率 00.0

ヒラリー・クリントン

ドナルド・トランプ

左右の支持率は2016年○月○日時点日本時間。出典は米リアル・クリア・ポリティクス。写真はいずれもAP。敬称略)

支持率、
抜きつ抜かれつ

 米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計した主要世論調査の平均によると、両氏の支持率は抜きつ抜かれつ競り合っている。トランプ氏は5月下旬にクリントン氏を一時逆転した後、人種差別的な発言や、銃撃事件の被害者が銃を携帯していなかったことを責めるような発言が批判を浴び支持率を下げた。共和党の党大会で正式な指名を獲得すると、7月下旬に再び抜き返した。一方、クリントン氏は公務で私用メールを使っていた問題について米連邦捜査局(FBI)が訴追を求めないことを決め、懸案に片が付いた。二人とも歴代の大統領候補と比べると好感度が突出して低く、不人気候補同士の争いになっている。

日付 主な出来事 クリントン トランプ
6月7日 クリントン氏、民主党の指名獲得レースで勝利宣言 44.0 42.0
6月12日 フロリダ州のナイトクラブで銃乱射事件が発生 43.7 39.2
6月20日 トランプ氏、選挙対策本部長を更迭 44.8 38.9
6月24日 イギリスの国民投票の結果、EU離脱派が勝利 45.3 39.4
7月5日 FBI長官、私用メール問題でクリントン氏を訴追しないと表明 44.9 40.3
7月7日 テキサス州で警官による黒人射殺に抗議するデモの最中、警官銃撃事件が発生 45.6 40.9
7月12日 サンダース氏がクリントン氏の支持を正式表明 45.4 40.9
7月18日 共和党の党大会(21日まで) 43.8 40.6
7月25日 民主党の党大会(28日まで) 44.1 44.3

各州情勢マップから票読み

  • クリントン優勢
  • トランプ優勢
  • 民主・接戦

クリントン 0

トランプ 0

過半数

得票見込み数は2016年7月27日時点日本時間
メーン州とネブラスカ州は総取りではなく票を配分する

 11月の本選では全米50州と首都ワシントンに割り当てられた合計538人の選挙人の票のうち、過半数の270票以上を獲得した候補が勝利する。一般の有権者の票は選挙人を選ぶことで結果に反映される間接選挙の形式をとる。選挙人は各州の人口比で割り振られ、州ごとに最多票を得た候補がその州の票を全て獲得する総取り方式となる。各州は両党の伝統的なイメージカラーである民主党の「青」、共和党の「赤」で分類されるのが一般的。伝統的に民主党支持者が多い西海岸や東海岸の「ブルー・ステーツ」と、共和党が地盤とする中部や南部の「レッド・ステーツ」では投票前から結果が予測できる。

勝敗決める
揺れ動く州」

  • 民主党
  • 共和党
  • 激戦州

民主党:ビル・クリントン

民主党 ビル・クリントン

WIN

共和党:ジョージ・H・W・ブッシュ

共和党 ジョージ・H・W・ブッシュ

LOSE

民主党:アル・ゴア

民主党 アル・ゴア

LOSE

共和党:ジョージ・W・ブッシュ

共和党 ジョージ・W・ブッシュ

WIN

民主党:バラク・オバマ

民主党 バラク・オバマ

WIN

共和党:ジョン・マケイン

共和党 ジョン・マケイン

LOSE

民主党:ヒラリー・クリントン

民主党 ヒラリー・クリントン

共和党:ドナルド・トランプ

共和党 ドナルド・トランプ

2016

左写真はAP

激戦州選定は2016年7月27日時点日本時間

 1992年の大統領選では民主党のビル・クリントン氏が、共和党の現職大統領ジョージ・H・W・ブッシュ氏を破って当選した。大統領選で現職大統領が出馬して敗れたのは、これが最後。クリントン氏は「It's the economy, stupid(経済最優先)」を掲げて支持を広げた。

 2000年の大統領選は共和党のジョージ・ブッシュ氏と、民主党のアル・ゴア氏が大接戦を繰り広げた。全体では一般有権者からの得票数はゴア氏が上回っていたが、人口の多い州を制したブッシュ氏が選挙人票271票を獲得して勝利した。

 2008年の大統領選では「Change(変革)」を掲げた民主党のバラク・オバマ氏が、共和党のジョン・マケイン氏を大差で破った。オバマ氏は黒人やヒスパニック系、アジア系など少数派の支持も固め、365票を獲得した。

 270票を獲得して当選するには、激戦州を制することが欠かせない。オハイオ州やフロリダ州など、世論の風向きに敏感な「揺れ動く州(スイング・ステーツ)」の戦いがカギを握る。

米国の針路は?
両候補を比較

 民主、共和両党の党大会では大統領選の事実上の公約となる政策綱領が採択された。米国はどこへ向かうのか。大統領として舵を取ることになる両候補の政策を比較する。

民主党 ヒラリー・クリントン Hillary Rodham Clinton

ヒラリー・クリントン

共和党 ドナルド・トランプ Donald John Trump

ドナルド・トランプ

プロフィール

1947年10月26日
68歳
誕生日 1946年6月14日
70歳
シカゴ 生まれ ニューヨーク
エール大法科大学院修了 学歴 ペンシルベニア大学ウォートン校卒
実家は衣料品店経営。
夫はビル・クリントン元大統領。娘が1人。孫2人
家族 実家は不動産会社経営。
メラニア夫人および前妻2人との間に子供5人。孫8人
弁護士、ファーストレディー、上院議員、国務長官 経歴 不動産開発・運営(ホテル、ゴルフ場、カジノなど)、テレビ番組プロデューサー兼ホスト

両党の政策綱領

経済
  • 富裕層に増税する
  • 石油やガスの大企業への優遇税制を撤廃
税制
  • 経済成長のための公正で簡素な税制を実現
  • 法人税率を他の主要工業国並み、またはそれ以下に引き下げる
  • 米国の雇用や賃金上昇につながらない貿易協定には反対する。TPPにもこの基準を適用する
通商
  • 米国を第一に置く貿易交渉が必要。国益を保護しない貿易協定は拒絶しなくてはならない
  • 強欲なウォール街と戦い、規制強化で巨大金融機関の解体も辞さず
金融
  • 過度な規制が経済活動を停滞させている
  • 医療保険改革(オバマケア)を守る
医療
保険
  • 医療保険改革(オバマケア)を撤回する
外交・安全保障
  • 過激派組織「イスラム国」IS)を壊滅させるため、同盟国とパートナーの広範な連合を引き続き率いる
対テロ
  • 過激派組織「イスラム国」IS)を壊滅させる
  • テロ支援国家やイスラムのテロに関連する地域から米国に入国しようとする外国人には特別に厳格な審査を実施する
  • イラン核合意を支持する
イラン
核合意
  • イラン核合意は次期大統領を縛るものではない
  • 日本への歴史的な責務を果たす
  • 北朝鮮の攻撃的行動を抑え、中国がルールに従うよう圧力をかける
アジア
  • 北朝鮮による核開発の完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄を要求する
  • 中国による為替操作は許さない
  • 米国は世界で最も強力な軍事力を保ち続けなくてはならない。より機動的で柔軟な軍備に更新し、時代遅れのシステムは取り除く
国防
全般
  • オバマ大統領とクリントン前国務長官は我が国の歴史で比べるものがないほど米国を弱体化させた。ミサイル防衛を強化し、核兵器を近代化
社会問題
  • 不法移民に市民権獲得への道を開く移民制度改革が必要。オバマ政権の大統領権限による移民制度改革を守り、実施する
移民
  • オバマ政権の大統領権限による不法移民の恩赦(移民制度改革)は撤回
  • 国境への壁の建設を支持する
  • 銃規制を強化し、殺傷能力の高い武器弾薬が出回らないようにする
銃規制
  • 個人が武器を持つ権利を堅持。銃の登録制度や半自動小銃禁止法の復活に反対する
  • 同性婚を認めた最高裁判決を称賛する
同性婚
  • 同性婚を認めた)最高裁の婚姻の再定義は受け入れない
  • 気候変動は差し迫った脅威。今後10年以内に電力源の50%をクリーンエネルギーにすることを目指す
環境
  • 気候変動は最も差し迫った国家安全保障の問題からは程遠い
制作
牛込俊介、清水明、清水正行
データ出典
米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」

関連記事

Visual Data 一覧へ戻る