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マック、「裏メニュー」で崩すチェーン店の限界

2016/6/9 15:46
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 日本マクドナルドは9日、3種類の具材を自由に選んで15の定番バーガーに加えられるサービス「裏メニュー」を、今月15日から始めると発表した。消費者は285通りの組み合わせからメニューを選べる。消費者の好みが多様になったことで、画一的なメニューでコストを下げ、集客力を高めるチェーン店の強みは薄れつつある。選択肢を一気に広げる「裏メニュー」は従来手法の限界を突き崩す布石となるか。

自由に3種類のトッピング

 「裏メニュー」は7月上旬までの期間限定サービス。ビッグマックやフィレオフィッシュ、チーズバーガーなど、定番の15のバーガーを注文する際に、唐辛子の一種ハラペーニョ、クリームチーズソース、スモークベーコンの3つのトッピングを選んで追加することができる。トッピング料金はそれぞれ40円。

 数ある組み合わせのうち、「裏てりやきマックバーガー」(単品350円)、「裏チキンフィレオ」(同380円)、「裏ダブルチーズバーガー」(同380円)の3つをお薦めとしてメニューに掲載する。マクドナルドがバーガー向けに3つのトッピングを同時に提供するのは初めてで、他のバーガーチェーンでも珍しい試みだ。

 全国どこの店で注文しても同じ味、同じクオリティーのメニューが食べられる--。かつては強みとされてきたチェーン店の特徴は、最近では逆に弱みになりつつある。米の新興ハンバーガー「シェイクシャック」の進出が日本でも話題を呼ぶ中で、チェーン展開する従来型のファストフードは個性がない、おもしろくないと感じる消費者も増えてきた。

 マクドナルドは今回、トッピングメニューを投入することで、「いろいろな味を楽しみたい」という消費者の要望に応える。モスフードサービスも昨年7月から1カ月半の間、チェーンの「モスバーガー」の2店舗で3つの具材を実験的に提供して、消費者の反応を探った。マクドナルドが集客効果を発揮できれば、今後、ファストフード業界で新しいサービス形態として広がる可能性がある。

現場のオペ-レーションに課題

 だが、日本全国で約3000店舗を展開するマクドナルドだからこそ、こうした個別の顧客対応には難しい点も多い。最も大きいのは注文受け付けや調理場での作業など「オペレーション」の問題だ。ただでさえ人手不足が深刻になる中で、来店客一人ひとりの好みに応じて提供するメニューが大幅に増えれば、現場の負担はその分大きくなる。こうした懸念に対して、マクドナルドは「全国展開する前に一部店舗で先行販売したが、大きな混乱はなかった」と説明する。

 さらに、外食のメニュー開発に詳しい味香り戦略研究所(東京・中央)の菅慎太郎氏は「これまでマクドナルドなどのファストフードチェーンはレタス1枚の値段まで計算してきたが、これだけ選択肢が増えれば本社の採算管理が難しくなる」と指摘する。

 今回のトッピングの提供は期間限定サービスだが、こうした難題を解決する方策を確立できれば、マクドナルドに限らず外食チェーン店がぶち当たる壁を壊す道も見えてくる。

(中尚子)

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