【ニューヨーク=稲井創一】原油安が石油メジャーの業績を直撃している。エクソンモービルが29日発表した2016年1~3月期決算で純利益は前年同期比63%減の18億1000万ドル(約2000億円)となった。シェブロンは2四半期連続の最終赤字だった。経営体力のあるメジャーも原油安が財務の重荷となっており、投資戦略の見直しなどを迫られそうだ。
トムソン・ロイターによると、16年1~3月期のエクソンの純利益は四半期ベースで1999年1~3月期以来の低水準だった。99年11月の同社発足以降、四半期ベースで最も低い水準だ。
売上高はエクソンが27%減の487億700万ドル、シェブロンが32%減の235億5300万ドルだった。米原油先物相場の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)価格は1~3月期に約3割下落。両社とも原油生産量は高水準を維持したものの、販売価格が大幅に下落した。
売上高の急減で固定費などが重くのしかかり、利益を圧迫した。特に米国での生産・開発の上流部門が両社ともに大幅な赤字となった。化学部門など下流部門が好調だったことで、エクソンは最終黒字を確保した。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、原油安による財務への影響が避けられないとして、エクソンの信用格付けを最上位「AAA(トリプルA)」から「AAプラス」に1段階引き下げた。
一方、化学部門を持たないシェブロンの最終損益は7億2500万ドルの赤字(前年同期は25億6700万ドルの黒字)に転落した。1バレル100ドル近辺で手がけた開発案件などの減損処理が膨らんだようだ。同社は29日、2016年末までに14年末比で8000人の人員削減を目標にすることを明らかにした。
28日に1~3月期決算を発表したコノコフィリップスも最終損益が14億6900万ドルの赤字となり、追加で投資を削減。原油安が響き、石油大手が経営戦略を見直す動きが出ている。