デザインすることは何かを新しく生み出すことであり、非常に難しい作業です。うまくいかない時も多々あることでしょう。しかし、デザインがヒラめきやすくなるコツや手法が存在します。デザインがヒラめく時は、完成形がハッと思いつくというのではなく、とにかく手を動かして試行錯誤していく中で自然と出来上がっているケースが多いように感じます。今回は魅力的なデザインが出来上がるまでの建設的な方法を紹介します。
思いついたらとりあえず形にする「ブレインストーミング」
漠然とした形でも構いません。思いついたらすぐに形にするということを心がけてください。「ブレインストーミング」という手法をご存知でしょうか?アイデアの良し悪しは問わず、とにかくアイデアをアウトプットしていくという手法です。
この手法の効果は2つあります。
1つはアイデアをアウトプットする過程で思考を巡らせるので、あるアイデアが別のアイデアに繋がること。もう1つは、一通りアイデアが出そろった後でアイデア同士を比較、組み合わせることでよりよいアイデアを生みやすいこと。この手法はTシャツのデザインにおいても全く同じようにプラスの効果をもたらしてくれます。ぜひ実践してみてください。
既に存在するおしゃれな図形をあてがってみる
既存のデザイン、例えば街中や雑誌で「いいな」と思ったTシャツ、もちろんTシャツ以外でも構いません。身の回りにはおしゃれで独創的な図形が隠れて存在しているものです。気になるものを、ランダムに組み合わせたりしてみてください。「どうやって組み合わせたらいいの?」と、やり方を考える方がいらっしゃいますが、方法論やマニュアル的思考から一度離れ、自由になることがひらめくための第一歩です。
とにかくフィーリングで半ば適当に組み合わせてみましょう。思わぬTシャツのデザインが発見できる可能性が高まります。
要素を詰め込み過ぎず、削ぎ落とす
前述の2つの方法で、デザインの組み合わせを考えたら、次に多くなりすぎたデザインから余分な要素を削ぎ落とします。削ぎ落とす際には、「構図」が消えないように注意しましょう。「構図」とは、各部分が集まって、1つの集合として機能していることです。それぞれの要素のフォントや配色を揃えることで一体感のある構図を作り出すことができます。
構図を崩さないように要素を削ぎ落とすためには「注目点」を見つけることも重要です。例えば、Tシャツのデザインをパっと見た時に自然に目に飛び込んでくる要素はありませんか?その要素こそ注目点です。注目点は、頭で考えて判断するものではありません。自然に注目してしまう要素こそが注目点です。
注目点に対して、「リーディングライン」を設定することも大切です。注目点をさらに強化するためのデザインで、注目点に視線を集めるためのデザインです。
例えば、Tシャツの端から中央に配置した注目点に線を引きます。線の先端は尖らせることで、視線を注目点に誘導させることができます。この点を意識し、要素を削る中で構図を浮き彫りにしていきましょう。
デザイン間にメリハリをもたせる
満足しないな?と思っていたデザインもメリハリをもたせることで、劇的によくなるケースがあります。メリハリを持たせることで、メインの要素が強調され浮き彫りになり、迫力が出ます。では具体的に「メリハリをつける」とはどのようなことを言うのでしょうか。
それは「ジャンプ率」を操作するということです。ジャンプ率とは、Tシャツデザインの中の「最も大きいデザインと最も小さいデザインの間の差」のことです。この差が大きくなると、より大きい方のデザイン要素が目立ちインパクトが出ます。一方、ジャンプ率を小さくすると、大きさに差がない落ち着いたデザインになります。どちらがより良いデザインかは、使用目的やデザイン要素によって変わります。ジャンプ率を変えた複数のバリエーションを並べ比べてみるといいでしょう。
以上、デザインのひらめきとは、日々手を動かすことが大切であり、そこでできたデザインを組み合わせ、修正する中で少しずつ良いデザインができます。一生懸命に頭で考えるだけで、目を瞑ってうなってしまっては、打開ができません。今回紹介した方法でヒラメキの機会を増やしてみてください。