イタリアのシチリア島西岸に位置するパレルモは、シチリア島の中で一番大きく、イタリアの中でも人口が5番目に多い港町です。
ヨーロッパでありながらそれを感じさせないその独特な雰囲気は、街に植えられているヤシの木などの植物からも感じ取ることができます。主に熱帯地方で生息するヤシの木が地中海性気候に属するパレルモに生息していることが、これまでの歴史を物語っているのではないでしょうか。
さまざまな歴史を刻んできたパレルモには、魅力的な観光地が数多くあります。今回はその中から歴史の象徴ともいえるカテドラル、マフィアを題材とした映画で有名なマッシモ劇場、コーヒーのカプチーノとゆかりのあるカップチーニ修道院をご紹介します。
カテドラルでミックスカルチャーを実感しよう
パレルモは気候が穏やかで土地も肥沃であったため、昔からさまざまな民族の憧れの地でした。この土地に移住しようと民族がやってきては征服し、そのまま文化を残しては出て行くことを繰り返したため、バロックやアラブ、アール・ヌーヴォーなどさまざまな様式が残り、ミックスカルチャーという独特の文化が生まれました。
パレルモでミックスカルチャーの象徴といえる建物が、カテドラルと呼ばれているパレルモ大聖堂です。外観はイスラム様式やキリスト教文化などもミックスされて華やかさがありますが、内部は新古典様式で余計な装飾のないことを美とし、シンプルな造りを特徴としています。まさにカテドラルはミックスカルチャーを実感できる場所なのです。
ゴッド・ファーザーと同じ場所に立ってみたい
マフィアの島と呼ばれているシチリア島のパレルモには、あのマフィア一家を物語とした映画、ゴッド・ファーザー3のラストシーンで有名なマッシモ劇場があります。主人公を狙っていた銃で娘が撃たれて亡くなってしまう、ラストシーンの大階段は劇場の正面にあり、この映画のファンならば誰もが立ってみたい場所だと言われています。
マッシモ劇場は映画の撮影現場としてだけでなく、イタリアで1番大きいオペラ劇場としても有名です。1897年に建てられた新古典様式の外観は、過剰な装飾のないシンプルなもので、映画のラストシーンにふさわしい調和のとれた崇高で美しい姿をしています。アール・ヌーボー様式の内部は、しなやかな曲線がとても優美なのが特徴です。
人骨の作り出す芸術を体感 カップチーニ修道院
次にご紹介するのは、コーヒーのカプチーノはここの修道士の服の色に似ているからそう名付けられたという説がある、カップチーニ修道院です。外観は地味ですが、一歩足を踏み入れるとそこには骨だらけの世界が広がります。
4000体はあるとされる人骨はカプチン会の修道士のもの。集められた人骨はバラバラにされ、骨と骨を組み合わせることによって装飾に使用されました。頭蓋骨が並べられている様を見ると、怖さと驚きの入り混じった不思議な気持ちになるかもしれません。
ここにはミイラが多数飾られているのですが、生前そのままの姿で残っている少女のミイラは、絵はがきが売られているほど有名です。こんなにも保存状態が良い綺麗なミイラは他にはないでしょう。
ミックスカルチャーの街パレルモで特別な経験をしませんか
パレルモでミックスカルチャーを体感できる観光地をご紹介しました。ミックスカルチャーの象徴といえるカテドラル、映画ゴッド・ファーザーのファンならばぜひ立ってみたい階段があるマッシモ劇場、人骨で作られたという装飾が独特な雰囲気を醸し出すカップチーニ修道院など、ここでしか見ることができない観光地ばかりです。この地に憧れた人々によって次々と侵略された過去は、独特なミックスカルチャーを生みだしましたが、決して暗い過去の歴史ではありません。それは今でも観光地としてパレルモの人々によって大切にされていることで分かります。
独自の文化だけでなく、他の文化を否定せず共に歩んできたパレルモで、歴史に触れてみてはいかがでしょうか。