ビルの看板や店舗、駅構内に電車内など、街のありとあらゆる場所でポスターを見かけますよね。中には特に印象に残るものもあります。そんな印象的なポスターを作るためにはどうすればいいのかと、デザイナーなら誰もが悩んでしまうものです。しかしデザインや制作の基本的なコツさえ抑えておけば、すぐにでもインパクトのあるポスターを作ることができるのです。
デザインは「シンプルに」を心がける
ポスターのデザインをするとき、もっとも重要視されるのは「わかりやすさ」です。何を伝えたいのかを明確にし、見た人がすぐに概要を把握できるようにするのがデザインの役割でもあります。そのためにはシンプルなデザインにすることがとても大切です。
デザインを始めたての場合、ついあれもこれもと要素を盛り込みすぎたり過度な装飾などを施し複雑なものにしてしまいがちです。しかし見る側にしてみると、何に目を向ければいいのかがわかりづらくなり、目的が定まらない、結果的に散漫で印象の薄いものになってしまいます。
ポスターの中には派手でカラフルなものもありますが、伝えたいことをダイレクトに印象付けるためには「シンプルに」作ることを心がけるのが大切です。
足し算するのではなく、引き算していくのがインパクトのあるポスター作りのコツなのです。
見る人を絞り込んで心情を想像する
ポスターは、それを見た人の行動を駆り立てて、集客するという目的がほとんどでしょう。そのためにはどんな人が行動をしてくれるのかを想定して作っていく必要があります。
では具体的にどのようにすればいいのでしょうか?
マーケティング手法の1つである「ペルソナ」を設定してターゲットを絞り込みます。つまり、ポスターを見るターゲットを個人と見立てて、その人の性格や特徴などを細かく設定するのです。
性別や年齢、生年月日、職業、住まい、家族構成、性格や趣味、休日の過ごし方、好きなものや嫌いなもの、現状のニーズに行動パターン、価値観といった個人情報を事細かく設定します。そうすることで、その人が今何を欲しているのかが浮き彫りになってきます。
また、性格や価値観などから、何に重点を置いているのかを導き出します。例えば買い物するとき、パッケージデザインで決める人なのか、それとも素材や性能などにこだわる人なのかによって訴え方が変わってきます。
ターゲットが今どんな状況下に置かれていて、どんな感情や心情でいるのかを想像し、行動を駆り立たせるためのアプローチ方法を考えていくと作りやすいでしょう。
デザインにメリハリをつける
一枚のポスターの中に含まれている情報はたくさんあります。
例えば商品紹介をするポスターなら、その商品画像やキャッチコピー、商品の特徴、価格、発売日、販売店、メーカー情報などが含まれているでしょう。そういった情報を同じように扱っては、どれを訴えたいのかが伝わりづらくなります。
たくさんの情報を文章や画像などの要素に分け、その中で主張したい順に並べ直し、最も訴えたい要素を一番大きく表記し、他を小さくするなどしてメリハリを付けます。
例えばキャッチコピーなら書体を太くしたり、文字を大きくしたり、色を変えたりするとターゲットの目を捉えやすくなります。複数枚の画像を使う場合は、もっとも主張したい画像を大きくし、他の画像を小さくするとメリハリが出て、よりわかりやすいでしょう。
文章やデザインの揃えを意識する
インパクトのあるポスターを作るためにもう一つ把握しておきたいコツは、文章や画像のレイアウトです。
ポスターのデザインは文章や文字、画像の大きさ、色やマージン(余白)など、すべて見る人の視線を誘導できるように計算して配置します。それぞれの情報が乱雑に配置されていたり、大きさや色などがバラバラになっていたりすると、見る人はどこに目を向ければいいのかがわからず、内容が頭に入っていかないのです。
ポスター全体として伝えたい内容をわかりやすくするためには、文章や画像などを揃えることが大切です。
例えば、文章のフォントはキャッチコピー以外を同じものにしたり、ガイドやグリッドを使ったりして、きちんと揃っていることを確認します。細かい部分でも揃えておくことで全体としてわかりやすく、まとまりのあるデザインを作ることができるでしょう。
インパクトのあるポスター作りは難しいことではありません。作る内容のもっとも重要なポイントを把握し、強調し、よりシンプルでわかりやすいポスターが人の目にインパクトを与えることができます。今回ご紹介した4つのコツを抑えて、意識して作ればすぐにでもデザインに変化が起きるでしょう。