「iPhone 6s」と「Xperia Z5」のカメラはどっちがキレイに撮れる!?両機種の性能をガチンコで比較してみた
みなさんはスマホのカメラにどこまでの性能を求めているだろうか?
「日頃よく使うから画質が良いにこしたことはない!」
「カメラアプリを駆使してキレイに仕上げたい!」
「あくまでメモ程度」
と、人によってさまざまだと思うが、やはり思い通りに撮れるかどうかは大事だ。
そこで今回は、「最新スマホのカメラ性能の実力は?」をテーマに、スマホで撮影した写真を比較してみた。シチュエーションによって、得意・不得意、発色の好みなどが分かれるところだが、良し悪しというよりはあくまで自分の好みを知っていただき、今後の端末選びの参考にしてほしい。また、実際に購入を検討している人にとっても必見の内容だ。
目次:
Xperia Z5、iPhone 6s、一眼レフ・Nikon D4の3機種で比較
比較に使用したスマホはソニーのXperia Z5とアップルのiPhone 6s。さらに、あくまで参考としてだがデジタル一眼レフ・Nikon D4でも数カ所で撮影し、比較してみること。
一眼レフでの撮影は、すべての作例ではなくスマホと画角などの条件が合致するときだけという条件付きで、24-70mm F2.8 G EDというレンズの組み合わせだ。ちなみに、筆者が取材で使用しているカメラになる。
スマホ2機種はできるだけ同じコンディションで比較撮影
できるだけ撮影条件を揃えていく必要がある。iPhoneよりもXperiaの方が撮影モードが豊富に用意されていることから、今回は設定の少ないiPhoneに合わせて撮影していくことに。一眼レフに関しては、JPEGのLサイズで画質モードは「FINE」とした。
なお、あくまでスマホカメラの比較ということで、一眼レフの例は参考程度とみてほしい。
撮影条件、基本ルールは以下のとおり。
機種 | 画素数(アウトカメラ) | 撮影条件 |
---|---|---|
Xperia Z5 | 2,300万画素 | ・「プレミアムおまかせオート」を選択 ・アスペクト比4:3から選択できる「23MP:5520×4140px」 |
iPhone 6s | 1,200万画素 | ・Live PhotosとHDRをオフ |
基本ルール
- 画面中央(もしくは任意の場所)をタップし、ピントが合焦してからシャッターを押すというシンプルな動作に制限
- ユーザーが普段撮影時に行うであろう方式にて撮影
イメージセンサーに違いがあり、画素数も数値上では大きな差があるiPhone 6sとXperia Z5。実際の写真で確認すると、どれほどの差が生まれるのかというところは、気になるポイントなのではないだろうか。Xperia Z5を最高画質モードに設定したのは、そういう比較の観点から。
最新スマホのカメラがどのような「画」を表現するのか、あらゆるシチュエーションでと考えてはみたものの、なかなかバリエーションを撮るのは大変な作業だ。そこで、別日に撮影したデータも組み合わせて比較していくことにしよう。
セルフィーやズーム機能など、11のパターンで撮影してみた
以下が、撮影したシチュエーションの一覧。今回はセルフィーやズーム機能、イルミネーションなど、11のパターンで撮影を行った。
- セルフィー
- 明暗差が大きい場所で撮影
- 日陰で撮影
- 逆光気味で撮影
- HDRをオンに
- ズーム機能を比較
- 薄暗いカフェの店内
- 食べ物を撮影
- 接写してみた
- 色合いを比較
- イルミネーションを撮影
なお、それぞれの写真はクリック/タップすることで拡大が可能になっている。
1. いきなりセルフィー対決!
いきなりだが、インカメラのセルフィー性能から試してみたいと思う。筆者がいつも利用しているコワーキングスペース・ヨカラボ天神(福岡市博多区)のスタッフである山崎さんにセルフィー比較をお願いした。
インカメラの性能だが、画素数はZ5が510万画素、6sも500万画素とほぼイコール。画作りが如実に反映されるはずと踏んで、山崎さんにシャッターを押してもらった。
Z5からは何枚かのうち肌色がわかりやすい1枚を選んでみた。6sは少々赤味が強いかなという感じ。暗い室内のダウンライトだけが光源だったので影も大きく出てしまった。
個人的に、iPhoneのまとまりのある画作りに慣れていた筆者にとってXperiaの印象が大きく変わった。というのは、以前所有していたXperia Z3 Compactのカメラはクセが強く、iPhoneに慣れていたためかあまり積極的にカメラを使おうという気になれない端末だったからだ。しかし、上の比較を見るとZ5のインカメラのまとまりはなかなか良いと感じた(少し黄色味が強いかもしれないが)。
ヨカラボ天神の山崎さん、ご協力ありがとうございました!
2. 明暗差が大きい場所でHDRナシの場合
ここからは屋外の写真を見ていきたいと思う。風景写真を撮ろうと選んだのが、福岡城跡の脇にある「大濠公園」。憩いの場所として人気のあるスポットだ。
Xperia Z5
画面中央の空が明るい分、手前の木々の部分が暗く落ちてしまった。
iPhone 6s
画角が少し狭い29mmという画角(Z5は24mmと広角)により、空の部分が広くなる。ベンチと木々に注目すると少しだけ明るく写っているのがわかる。
このように、明暗差が大きい場合はHDRをオンにするか、撮影後に画像編集アプリで調整するスタイルがオススメ。
明るく撮っておいて後で明度を下げる場合、雲の模様などが元のデータの状態で白飛びしていれば暗くしても表示されない場合がある。そのため、雲の表情を撮りたい場合は暗めに撮ってあとで明るくするほうが良いだろう。
極端ではあるが、フルサイズ一眼のNikon D4で手前の木々が判別できるくらいの露出で撮影してみると、空の雲がとんでしまった。
3. 日陰で構造物を撮ってみた
続いては日陰の場所。公園の中心部(というか公園のほとんどが池)の中島へ渡るための橋を撮影してみた。
Xperia Z5
橋の親柱に書かれた名称の部分をタップ(ピントを露出合わせ)して撮影。日差しとは反対側の影になる部分が自然な印象。
iPhone 6s
こちらはよりコントラストがハッキリした印象。Z5と比較すると明るい場所の黄色味が強いが、写真単体でみるとおかしな印象はまったくない。
Exif(様々な撮影時の状況が確認できる)情報を見てみると、スマホ2台は絞りがF2付近で撮影されたにも関わらず、広範囲でピントがそこそこきている。しかし、レンズ交換式の一眼レフはそうはいかず、F9まで絞ってシャッタースピードも1/250で、ようやくこれくらい。スマホの自動処理性能の進化を実感できる。
4. チョイ逆光気味ではどうか?
逆光気味の場所ではどうなるか、それぞれ南の空と池の水面を撮ってみた。
Xperia Z5
ピントは中央部の建物。雲の表情はそこそこだが、右上(画面の外側)にある太陽の光が雲の薄いところを白飛びさせてしまっている。手前の桟橋に焦点を合わせると、全体的にピントが合わない(絞りが開放に近い)ため、焦点ポイントは色々試してみてあとでPCなどの大画面で確認してみると良いだろう。
iPhone 6s
6sは画角が狭いので左側の桟橋が切れてしまった。中央の木々にピントを合わせたため、それほど露出が改善されず全体的に暗くなってしまった。これは標準機能であるスライダで調節可能だが今回は実験なので未使用。
D4ではF11まで絞って広い範囲でピントが合うような設定で撮ってみた。手前の桟橋の木の質感まで確認できるほど。ここはさすがプロ機といったところ。
細かい設定のできないスマホだと、アプリなどで後から処理が必要となるケースが多い。しかし、積極的にアプリでの画像編集を見越した写真の撮り方(あえて暗め・明るめなど)をしてみるのもオススメ。
5. 逆光越しにHDRをオンにしてみる
Xperia Z5
中央部をタップすると、日差しが強すぎるせいか画面下部の木々が浮き上がってこない。念のため「明るさ」と「色合い」のスライダーを動かしてみたが、建物の周りが白くとんでしまう。
iPhone 6s
同様にHDRオンでシャッターを押したところ、若干ではあるが木々の表情が確認できる。Z5と比べると全体的に緑の成分が少し多いように感じる。
HDRはオンにしただけでは効果が薄くなるシチュエーションがあるので、スライダーを積極的に使ってプレビューを確認しながらシャッターを押したいところだ。さらに複数の写真を合成するので、ブレには気をつけたい。ミニ三脚などに据えて固定した状態で撮ろう。
6. ズーム機能を比較してみる
続いてはズーム機能を比較。それぞれ、通常通り撮影したものとズームしたものを並べている。
Xperia Z5
Z5のズーム性能を手持ちで試してみた。もちろんできるだけ手ブレをおさえる努力はしている。デジタルズームがウリのZ5だけあって、カフェの看板が認識できる。
iPhone 6s
6sの方は若干ブレが目立つ。作品作りとしては高倍率ズームを積極的に使用することはオススメしない。
Xperia Z5
「5倍でもキレイ」をうたうZ5のカメラだが、そこが最大ではなくさらに8倍までズームアップが可能。5倍ズームで中島がちょうどいい大きさに。三脚で固定しての比較だが、シビアにみるとブレが生じていることがわかる。
iPhone 6s
6sでも5倍にズームしたところ、Z5よりも中島が大きく表示された。これは一番広い画角がZ5の24mmに対して、6sは29mmと少し狭い設定によることから。同様に三脚固定で慎重にシャッターを押してもこのブレ具合。
Z5のズームは、条件さえよければ5倍でも見るに耐えうる画質での撮影が可能だ。今回は公園を歩きながら手持ち、できるところはミニ三脚にて、という日常のシチュエーションを想定しながら撮影しているが、スライダーを微調整しながらシャッターを押すことが良い写真を撮れるコツ、ということを実感した。
さらに感じたことだが、ズーム機能は遠くのものを拡大するよりも、「比較的近くにあるものをさらに大きく写す」といった使い方のほうが画質も確保できる。例えば手がとどかないほど高さの木に咲いている花を撮るときなどに試してみてほしい。
7. 薄暗いカフェの店内ではどのように写る?
Xperia Z5
iPhone 6sと比べるとわかりやすいが、一生懸命暗いところ(壁の木目)を明るくしようという処理が働いているのがわかる。
iPhone 6s
Z5よりも全体的に暗い印象だが、黒く潰れてしまうことはない。
拡大してみるとわかるが、精細さはZ5に軍配、写真としてのまとまりの良さは6sという印象。筆者はiPhoneを3GSの時に使用し始めて以来2代ごとに同シリーズで買い替えてきたが、途中Xperia Z3 Compactを使い始めて画作りに違和感を覚えた。この「慣れ」が一番の影響をおよぼす要因なのだとすると、Xperia Z5の写真は万人に受ける画作りに近づいたのではないか? と強く感じる。
8. 料理の写真を撮ってみた
Xperia Z5
休憩時のスイーツを撮ってみたところ、料理モードが自動で設定されわずかに暖色傾向を強めた印象になった。
iPhone 6s
あくまで忠実にといった感じ。そういう意味では、Z5の「プレミアムおまかせオート」の機能は素晴らしく、6sは自分で良い具合の光を作り出す工夫が必要となる。
D4でも撮影してみたが、絞りがF7.1でも近寄れば周りがボケてしまう。いろいろと設定を変えていきながらマニュアルで撮影しているが、フラペチーノの氷の粒子感が無くなってしまうのが残念……。
最初から料理や接写などモードを自動で切り替えてくれるZ5は、仕上がりがその場で確認できるのが良いところ。iPhoneはジャンルに適したモードというよりは、より条件を良くする機能が搭載されているので、色味に関してはアプリで調整、という使い方がオススメだ。
9. 接写はどんな感じに写ってくれるのか?
公園の名称が書かれた看板の横に固定しながら撮影し、「接写」を検証。公園の「公」という字の真横だが、距離にして20cmほど。
Xperia Z5
「八」の一番手前のパーツには近すぎてピントが合わないため、下の「ム」のパーツにピントを合わせて撮影。絞り値がF2.0と開いた設定なので、手前と背景がボケている。全体的に青味が強い印象だが、寒い時期は太陽光に色がつきやすい季節なので、撮影できる時間が短いのも影響している。
iPhone 6s
一貫して自然な色あいだが、Z5と同じ場所に固定して画面をタップすると、なんとか「八」の手前側が認識できるくらいにはなった。「ム」の手前側にピントがあっているので、距離的にもう少し奥、22~3cmあたりが最短距離なのだろう。もう少し位置を下げるとバッチリピントがくるのだろうが、ここでは接写性能がテーマだったので、敢えてこのままとした。
どちらももう少し寄ることができればといった感じだが、スマホのカメラに贅沢はいえない。十分な描写性能を有しているので、外付けレンズなどを駆使して静物を接写してみることをオススメする。
10. 4シーンで色合いを比較してみる
続いては色合いを比較。カフェの店舗外観、大濠公園内にあるデーメーテール像、福岡タワー、ビルを見上げたところの4シーンで撮影してみた。
Xperia Z5
青空に緑が映え、店舗のダークブラウンが特徴的だ。こういう広い画を撮りたいとき、24mmという広角レンズが威力を発揮する。
iPhone 6s
Z5と同様の画角で撮影してみると、周囲が少し切り取られて店舗の部分が拡大された。色合いも、特に緑の箇所が明るく写っている。
D4でも24mmの広角端で撮影してみた。広い範囲でピントを合わせるためにF11.0まで絞り、1/200という一眼レフカメラでは比較的使用するであろうシャッタースピード、ISO感度は400という設定。感度をもっと下げてスマホ2台の色合い(暗くする方向)で撮影してみれば良かったと少し後悔。
Xperia Z5
至近距離(おおよそ5メートルほど離れた位置)から撮影してみた。Z5は石やレンガの質感が素晴らしい。ここはさすが2,000万画素以上の恩恵を受けられる部分だ。
iPhone 6s
空の青さが抑えられ、像自体がアイボリー調に写っている。拡大すると描写の粗さは確認できるが、写真全体だとまったく気にならないのがiOSの処理の凄さだろう。
Xperia Z5
ここまで撮影してきて、青味が鮮やかにでるチューニングがされている印象を受けた。もっと暖色の料理や人物の撮影だと、また違った印象になるのだと予想できる。
iPhone 6s
同様に正面から。夕方の日差しが黄色くなる雰囲気がそのまま表現されている。
D4でも撮影し、さらに細部を拡大してみた。左からXperiaZ5、iPhone 6s、Nikon D4の順。アンテナの根本を拡大してみたがいかがだろう。タワー自体の大きさを合わせるために少しズームを効かせたZ5は少し粗く描写されている。D4はさすが35mmのフルサイズセンサーを有するプロ機なだけあって、微細なところまでしっかり写っている。三脚があるともっと精細感が増すだろう。
Xperia Z5
ビルを見上げて空ぬきで撮ってみたが、Z5はビルの最上階の窓までクッキリ。空の青も濃い目で鮮やか。
iPhone 6s
こちらも鮮明に写ってはいるが、建物と空の境界線が曖昧なところがある。しかし、拡大すれば気になるレベルなのでポストカード程度のサイズなら印刷もバッチリなはず。
11. イルミネーションを撮影してみた!
Xperia Z5
Z5の「プレミアムおまかせオート」だと、シャッタースピードが1/30秒まで下がり手ブレが目立ってくる。ここは脇をしめ、さらに息を止めてシャッターチャンスを待つべし。
iPhone 6s
Z5同様に1/30秒での撮影だったが、天井のグラデーションがキレイにまとまった描写を見せてくれる。おまかせでここまで写ってくれると心強い。先代の「6」から画素数が増えたが、そちらとの比較も興味深い。
まとめ:Z5のカメラ性能の高さに驚き。iPhone 6sはバランスがとれている印象
Xperia Z5のカメラ性能は、どんなシチュエーションでも鮮やかな写真を残してくれる良いカメラだと感じた。特に、撮影時に色合いや明るさをスライダーで調節できるようになったのは、歓迎すべきポイントといえる。iPhoneでは一足先に明るさを調節できる機能が搭載されていたが、ライバルよりも一歩先に出たという印象を受けた。
一方、iPhone 6sは画素数をアップ(800万画素から1,200万画素)して最初の機種ということもあり、筆者の環境では画が落ち着かないときもある。ここはOSのバージョンアップで1,200万画素なりの恩恵を与えてほしい欲求もあるというのが素直な感想だ。
とはいえ、夜間の撮影でもノイズが少なくなっている点や、そこからインスタグラムに投稿してiPhone 6sのディスプレイ内で確認する分には、素晴らしい画質で応えてくれる。
今回はプロの撮影ではなく、「日常的にスマホのカメラを使うとしたら?」というポイントに焦点をあてて比較してみた。同じ機種を長い時間使っていると慣れが生じて、試行錯誤した数だけ自分なりのノウハウが蓄積していくもの。プロの写真教室に通うのも良いが、日頃どのような視点で風景や対象物を切り取っているかが一番重要となる。
今やInstagramer(インスタグラマー)という、アプリを発端にしたプロの写真家も登場するほど時代は変わってる。最新の機能に触れるのも大事だが、常に試行錯誤して腕を磨いていくことの方が大事だと筆者は最近感じている。手軽に写真を撮れる時代に生まれ、高性能カメラを搭載しているスマホを所有している読者には、ガンガン撮って日常の記録を残していってほしい。