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沖縄返還時の補償、政府が1年前から肩代わり検討 外交文書

2015/12/24 10:21 (2015/12/24 10:43更新)
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 1972年5月の沖縄返還に伴い、米軍が使用していた軍用地の原状回復に関する補償費をめぐり、日本政府が返還協定に調印する約1年前から米側の費用負担を肩代わりする方策を検討していたことが24日公開の外交文書で分かった。対米交渉が本格化する前で、のちに表向き米側が支払う形にし、実際は日本が負担する日米密約に発展する対応方針が早い時期から議論されていた。

 沖縄の施政権返還に関する日米合意の一部を非公表としていたことも判明した。沖縄返還では複数の密約が交わされており、世論の反発を恐れ、合意内容を秘密扱いにする手法が繰り返された実態が明らかになった。

 沖縄返還交渉は、70年11月ごろから軍用地の補償問題の議論が本格化。これに先立つ7月の外務省の内部資料によると、大幅な土地の形質変更などが加えられた軍用地の復元補償について、米国が土地所有者への債務履行に応じないことを想定した。その上で資料は「返還後も米国に履行させるか、わが国が肩代わりするか、いずれかの措置が必要」としており、外務省は費用引き受けを当初から考えていた。

 この検討から約1年後の71年6月に調印された沖縄返還協定には、米国が自発的に支払うと明記。原状回復の補償費400万ドルを日本が負担する密約は調印直前に交わされた。密約の存在は毎日新聞記者だった西山太吉氏が直後に暴露した。

 日米協議内容を記録した極秘文書によると、沖縄の施政権移行を取り決めた70年11月の日米合意文書の一部記述に対し、山中貞則総理府総務長官が「不適当だ」と指摘。米側の同意を得て削除した。記述は、日本政府の沖縄援助計画を「米国が承認する」との内容で、返還前の政府の政策に米国が関与することを明示する一節。公になることで世論が反発しかねないと判断したとみられる。

 削除された記述は非公表扱いの「了解覚書」にそのまま盛り込まれ、愛知揆一外相、マイヤー駐日米大使らは正式署名せずイニシャルを記した。〔共同〕

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