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2015.11.6 FRI
PHOTOGRAPH BY HIROTAKA HASHIMOTO
TEXT BY SHUNNOSUKE TODA
部屋の中を占有するモノをスマホで簡単に預けられたら、どんな世界になるだろう? きっと、ぼくたちの“モノの持ち方”が変わるに違いない。そんな未来のライフスタイルを実現したサーヴィス「Sumally Pocket」が、サマリーによってローンチされた。
Sumally Pocketは、スマホでモノを預けられるトランクルームサーヴィスだ。その大きな特徴は、iPhoneの操作でダンボールの手配、集荷、アイテムの取り寄せまでできる「スマホの手軽さ」と、預け入れたアイテムが一つひとつ写真におさめられることで自分のスマホで一覧できる「手元でもつ感覚」。簡単に預けつつ、どこに何が入っているかわからないなんてトラブルもなくなるのである。
収納するダンボールは「本」「服」「小物」の3カテゴリーに分かれており、それぞれのカテゴリーに属するアイテムが収納しやすい形に設計されている。大切なアイテムの配送や保管は、モノの管理における絶対的な経験のある寺田倉庫が担当。その保管費用は、1箱あたり月額300円だ。
「極端に言えば、Sumally Pocketを使えば住まいをホテルのように余分なモノのない洗練された空間にすることが、いままでよりはるかに簡単にできるでしょう」と、サマリーCEO山本憲資は語る。
「CDを1,000枚くらいもっていたとき、あのアーティストのあの曲を聴きたいと思って探しても見つからず、amazonでまた購入してしまうなんてことも珍しくありませんでした」と山本はSumally Pocketのアイデアを思いつくきっかけとなった、自身の原体験を語る。
「そこで、数年前から音楽をデータとして管理するようにしたんです。音楽専用のMacを用意して、音楽ファイルを原音の状態でiTunesに取り込んでいく。そうしてMacと接続した手元のiPhoneですべての曲を管理するようになってからは、聴きたい曲を探し出せないなんてことは当然なくなりました。この経験がぼくにとってはすごくイノベイティヴでしたし、あの瞬間にぼくの音楽はすべて、ある意味“クラウド化”されたのです。これをモノでもできたら…。そう思ったところから、Sumally Pocketは生まれました」
コンビニ、100円ショップ、amazon…。時代とともに生活は便利になり、必要なモノは安価に何でも手に入れることができるようになった。しかし現代人のモノに囲まれた生活は、必ずしも豊かさを意味するのだろうか? あるいは人々はモノに支配されてしまった、と表現することもできるかもしれない。
そんないまの時代において、山本がSumally Pocketで目指すヴィジョンは「所有から解放されながらも、同時にモノとの関係性をよくすること」だ。アイテムをダンボールにしまうフィジカルな工程を除けば、スマホの操作だけでモノをアップロード(配送)できてしまう。そうしてクラウド(倉庫)に上がったアイテムの画像の一覧をアプリ画面上でスワイプすると、「手元にはないが、たしかに所有している」という愛着感を感じることができる。そしてこの一覧性は、愛好品からとりあえずいまは必要ないので預けたモノまでの価値を、客観的に見せるという側面をもっている。
モノを預けられるだけではなく、預けることでモノと新しい関係を築くことができる──。これがサマリーによる新サーヴィスの真価なのだと山本は語る。
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