変化の激しいエンジニアの世界で、どうすれば成長し続けられるのか。そのヒントを、飲食店向け予約台帳アプリを手がける「トレタ」の増井雄一郎さんが、3回にわたって解説します。勉強方法を紹介した前回に続き、第2回は勉強するための「時間と場所」について。
「IT芸人」や「風呂グラマー」の異名でも知られる増井雄一郎さん
前回、エンジニアとして長く続けるには、継続的な勉強が大切だという話しをしました。勉強が大事というのは皆さんずっといわれていることなので反対はないと思うのですが、実際に勉強を継続するのは難しいモノです。
仕事をしながらの場合には、特に「どうやって勉強時間を確保するか」という問題があります。独身の方はまだ自分の努力で確保できそうですが、家族、特に子供がいる場合には時間と場所、両方の確保が難しいと思います。
「時間がない」は言い訳か
最近、ツイッターを見ていたところ、ドキリとするような言葉が出ていました。
「時間がない」 と言って行動しない人は、時間があるときは 「やる気が出ない」 と言って行動しない。 という恐ろしいメモ書きがEvernoteから発掘された。
— 柳下修平/ShuheiYagishita (@shuhei0919y) July 6, 2015
仕事をしていて平日などに「時間があるよ」「ヒマ」っていう人はほとんど見たことがありません。だからといって、休日や夏休み、転職の間などで時間があるときに「いまだ」と思って勉強できる人は多くないと思います。
みんな忙しいなか、アウトプットを続けている人は、継続して勉強していると思います。スポーツなどでもよく言われることですが、少しでもいいから継続するという事がなにより大事だと思います。私も数日サボると一気にやる気がなくなり、再始動するまで数カ月かかります。
細切れの時間を有効活用する
時間を確保する上で特に難しいのは「連続した時間の確保」です。集中して3〜4時間、勉強や作業をする時間が取れれば理想ですが、仕事以外の時間でそれは困難です。(多くの場合、仕事中でも数時間割り込みの入らない時間を確保するのは困難ですが)しかし、移動時間やちょっとした隙間時間など5~30分ぐらいの細切れの時間なら、なんとか確保できるのではないでしょうか?
今は、スマホのおかげでこのような短い時間でも勉強や作業ができます。電子書籍だと電車の中でも簡単に読めますし、ドットインストールという動画による学習サイトは、1セッションが3分になっているので一駅の移動時間でも見ることができます。技術系の勉強に限ってもこのようなツールが色々あります。
私は移動中に「TED」を見ていることがあります。TEDは3~20分のものが多いので移動時間に合わせて見ています。私がTEDを見るのは英語の勉強のためで、短い時間のビデオを覚えるぐらい繰り返し見るようにしています。
企画や仕様の整理に使えるツール
短い時間でできるのは勉強だけではなく、企画や仕様の整理も行うことができます。私は勉強よりこちらの方が多いです。(一番多いのはただ音楽を聴いているだけの時ですが)
私は「年1本個人アプリを出す」という目標があります。まずは何か思い付いたことがあればToDoアプリにメモをします。ToDoアプリを使うのはスマホでも簡単にメモを取れるからです。[参考: masuidriveの作りたい物&試作品リスト]
実際にアプリを作ってみるときには、ここから企画書や仕様書を作ります。私はこの時マインドマップアプリを使って考えを整理しています。私はiPhone/iPad/Macを使っているので「iThoughts」というアプリを使っています。
このアプリはクラウドを通じて連携ができるので、家やオフィスではMacで書き、続きをiPhoneやiPadで書けるのが魅力です。私はこのツールを、マインドマップというよりアウトラインプロセッサとして使っています。
例えば、この連載のメモは下記のように書き起こしました。
スマホやタブレットを使うと、立ったままメモを書けるのがメリットです。普通のメモツールだと書いたあとの行の入れ替えなどが大変なので、マインドマップツールを使っています。
またiPadとお絵かきツールでアプリのフローを考えることもあります。指だと書きにくいのでiPad用のペンを使って書いています。
退勤後の時間はどう使う?
日本はよく働きすぎと言われますが、特にIT業界では22時すぎまで働くのが常態化しています。トレタはフレックス(11時から16時)で8時間勤務なのですが、平日も勉強時間を確保しようとするとこれぐらいの時間が理想です。睡眠時間を削る方法もあるのですが、若くないと体力が続きません。(「misfit」を見ると平均7.5時間ぐらい寝ているみたいです)
私はあまりお酒を飲まないので、家に帰ってからコードを書くことはよくあります。さすがに飲んで勉強したりコードを書くのは難しいので、酒を飲まないというのは時間確保のプラスになっていると思います。
家のなかで、仕事する場所を決めておくのもいいでしょう。特にオススメはお風呂です。
適度に狭く、ジャマが入らず、たいていの場合Wi-Fiが入ります。お湯に浸かっていると適度な浮力もあり、腰にも優しいです。トイレと違って数分で出るということもないので、まとまった時間が確保できます。
ずっとお湯に浸かっているとのぼせるので、サーモスのタンブラーに冷たいお茶を入れて飲みながら入っています。夏の間はアイスを食べつつ入ったりもしますw
風呂グラミングの前、学生の頃は本を持ち込んで読んでました。PCを持ち込むのが怖いという人はジップロックにタブレットを入れて持ち込んだりしているようです。
家の中で自分で快適に勉強できる場所を見つけて、そこに居るときはなるべく勉強するという習慣づけは良いと思います。
勉強する場所はどうする問題
時間と一緒に問題になるのは場所です。都内に住んでいる方の中には、家に勉強できる机がないことも多いと思います。一人暮らしの場合は食卓でもいいのですが、家族がいる場合、食卓を使うのもはばかられます。勉強するために毎日長時間お風呂にはいるというのもちょっと間違っている気がしますw
家族のいる友人に聞くと、喫茶店やファストフード店で会社帰りや休日に勉強や作業をしている人たちが多いようです。私は喫茶店で仕事をするのも好きですが、家で落ちついて作業をするのも好きなので、リビングに机を置いています。そのため、家を探すときは「リビングの広さ」を条件にしました。前は仕事もほとんど家でしていたので、広めに仕事スペースを取っていました。
参考:リビングにIKEAで作る2畳の快適仕事環境
参考:IKEAと5万円で作る快適仕事場
今の家では1畳ぐらいの中で仕事しています。
ハンモックも立派な仕事スペースになります。
また、買い物の間などでも休むときにコードが書けるように、12インチのMacbookを常に持ち歩いています。私は外で気が向いたときに作業するのが案外集中できることが多いので、パソコンはほぼ100%携帯するようにしています。 パソコンを携帯すれば雨の日のカフェでも仕事ができますし、
クラブでも仕事ができます。
最後に
コンスタントに時間を確保するのは難しいと思います。私も仕事が忙しいときや気が乗らない時は数カ月なにもしていないことがあります。それでも、手を動かしたり能動的に勉強するのが難しい時のために読む本やWebサイトを貯めておいて、それを消化するようにするといいでしょう。最近だとKindleで買っておいて読んでない本や、「Pocket」に面白そうな記事を入れておき、時間のあるときに読むようにして、手を動かす時間がないときは目だけでも動かすクセをつけておきましょう。
そして1年間、勉強のために手を動かしていない状況になったら、そろそろ危ないと思ってくださいw