フミコフミオ、夫婦生活を考える。「パートナーとの距離感」

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こんにちは。僕はフミコフミオ。本日も上から目線でパートナーと付き合う上での距離の置き方について教授差し上げたいと思う。

一人でいる時間がほしい

 結婚して四年になるけれども、結婚とは実に素晴らしいものだ。愛するパートナーと一つ屋根の下での生活。独身時代に比べて、幸せは半分、出費は二倍、精神的苦痛も概ね二倍。最高だ。そんな最高で素晴らしい結婚生活だが、信じがたいことに3組に1組の夫婦は別れてしまうそうである。僕はまったく苦労していないのでわからないが、結婚を維持・継続するのは案外難しいようだ。

 夫婦関係を維持する秘訣はフレッシュであり続けること、つまりパートナーとの距離感の取り方に尽きると僕は思う。それはアホーな夫婦がペアルックを着て往来を練り歩いたり、一緒に入浴したりする、いわば距離を縮めることではない。まあ、そういうのもありなのかもしれないが、順調にいけば今後数十年続くパートナーとの地獄のように長い時間のなかでは、一人でいる時間、パートナーとの距離を置くことこそが、フレッシュさを維持するためには大事なのだ。リフォームの際に「男の隠れ家」などとふざけたことを言って個人的な書斎を所望しては、家族全員から反対されて寂しげな顔を浮かべていたオッサンの気持ちが今はよくわかる。

隠蔽工作はバレる

 結婚してパートナーと暮らしはじめると一人になる時間をつくるのは案外難しい。読書をしていても「今日ね~」と午後のドラマ「科捜研の女」のあらすじ及び犯人を聞かされたり「アレ取ってコレ取って」と便利屋役をやらされたり…。とりわけ困難を極めるのが自分自身を慰める時間と場所の確保だ。

 「何を言っている。妻の外出中にいたせば簡単なこと。貴様の未熟なタスク管理こそが問題ではないか!」「贅沢な悩みだ。いや、悩みですらない」聡明なご意見が聞こえてきそうだ。しかし、アダルトDVDや青年向け雑誌といった使用機材の隠蔽工作の難易度は高い。枕の下やベッドやタンスの裏に隠したDVDや雑誌が発見され、妻の手で廃棄されたのは、一度や二度ではない。三度だ。愛したモノを喪う悲しみはもうたくさんだ。

 僕は隠すことをやめた。【木の葉を隠すなら森の中】の要領でリビングにある本棚やDVDラックといった日常生活の一部に、堂々とマニア向けDVDと青年向け雑誌を置いてみたのだ。「ロード・オブ・ザ・リング」や「ガラスの仮面」…名作たちに挟まれて輝く、アダルトなタイトルたち。悲しいかな、即座に妻の発見するところとなり廃棄された。失敗の原因はリビングの最も目立つところに置いたこと。そして妻のいる世界に隠したこと、妻の世界を侵略したことだ。

そして僕は家を出た

 反省をした僕は妻のいない世界、すなわち外に飛び出すことにした。具体的にいえば夜の公園。ある日の夕食後。まったりとした時間帯。「ちょっとコンビニに行ってくる。最近の若者は凶暴で恐ろしいので徒歩で行けるところだが車で行くよ」と妻に言い残し、夜の公園へ車を走らせた。予想通り夜の公園に妻はいない。公園の脇にある路肩に車を寄せた。月の明るい夜だった。静寂が僕を包んだ。カーステにアダルトDVDを入れ、鑑賞した。存在意義のない女優のインタビューが終わりそろそろエキサイティンという時だ。コンコンと窓を叩く音がした。しんと耳が痛いほどの静寂のなかでその音はひどく響いた。音の向こう側に警察官がいた。僕は必死にあれこれ言い訳をしてその場から立ち去った。もうあんな思いはしたくない。失敗の原因は自分のプライベートを外に持ち出したからだった。

ついに見つけた「男の隠れ家」

 思案に暮れた僕が編み出したのは妻の想像を超えた場所に妻の未知のものを置くというアイデアだった。全く異なるカテゴリーの中に、あたかもそのカテゴリーのモノとして保管する。警戒をされないようにするのだ。驚くことなかれ、平成27年6月現在、僕のTENGAは堂々と風呂場に置いてある。シャンプーやリンスを並べるラックに、妻のTSUBAKIと並べて置いてある。TENGAの存在を知らない妻は、TENGAを男性向けシャンプーだと思っているらしい。兄妹のように仲良く並ぶTSUBAKIとTENGA。ここがボクの「男の隠れ家」。

 妻は知らない。シャワーを強めて、鼻歌をふふんと歌いながら僕がいたしていることを。TENGAを知らない妻。TENGAを使う僕。結局のところ夫婦といっても、別々に生まれ、育ってきた人間なのだ。完全に一致した時間を送るのは難しく、ともすると一緒にいる時間がストレスとなり、大切な守るべき関係そのものを壊してしまうこともある。一人の時間を創出することは大事なことなのだ。

 毎晩、妻のバスタイム、「バレないようにバレないように」「バレたら離婚ものだな」というハラハラドキドキ綱渡りのような危機との隣り合わせが、僕を、新婚の頃の気持ちにリセットしてくれている。

( 執筆:フミコ・フミオ / 編集: )

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フミコ・フミオ
会社員・ブロガー。海のみえる町からとりとめのない日常とサラリーマンの悲哀を当たり障りのない平凡な言葉で綴る。好きなアニメはガンダム。