「おふざけコンテンツ」を得意とする異色のWeb制作会社バーグハンバーグバーグ。彼らが手がけた案件は必ず何千、何万とシェアされ、日々多くの人を爆笑させています。
できることなら真似したい。でも彼らと同じような企画を作るのは難しい……?そこで今回は私たちのような一般人でも実践できる、バーグハンバーグバーグ流、企画作りのコツを中の人に伺いました。
お話を聞いた人(上の写真左から)
シモダテツヤ氏(株式会社バーグハンバーグバーグ 代表取締役社長)
まきのゆうき氏(株式会社バーグハンバーグバーグ WEBディレクター)
漫画「ブラックジャック」にも潜むバーグ流メソッド
――シモダさんの著書にはギャップを活用する企画術が紹介されていました。
シモダテツヤ『日本一ふざけた会社の 「ギリギリセーフ」な仕事術』中央公論新社、2015年、65頁。
僕の会社が作り出す企画、その特徴の一つとして「ギャップ」があります。ギャップとは一言で言うと「落差」。誰もがこうなるだろうと期待するもの、想像するもの、常識的なもの、いわば「デフォルト」に対して、いかにギャップを生み出すかが、強いインパクトを残す企画を作るためのポイントになります。
私たちでも企画制作にあたり、取り入れることはできますか?
シモダ氏(以下、シモダ) ギャップは反対のことを考えればいいだけなので、わりと簡単に使える方法だと思います。ただ、ギャップには「方程式」のようなものがあると思っていて、いろいろなコンテンツを見て分析するのがおすすめです。
手法としては、まず一般的な常識を見つけて、それに対して逆の印象や違和感を与える変化球を考えます。その2つの間で落差が生まれるとギャップになります。
たとえば『ブラックジャック』では、「医者」という常識的で誠実なイメージに対し、「無免許」というギャップがあるからストーリーが面白く感じられるんです。
人里離れた山奥で、自家製の釜で陶器を作り続けている頑固ジジイがいたら、その人にパンやピザを焼かせてみる、みたいな。
分かる人が限定される「身内ネタ」は作らない
まきの氏(以下、まきの) たとえば、僕は天然パーマなので髪の毛がモジャモジャです。この髪型を使って何か企画を作ろうとしても、 内輪だと面白がってもらえるかもしれませんが、世間の人は僕のことを知らないので何も面白くはないんです。ですので、誰にとってもわかりやすくて、受け入れられるような企画作りを常に心がけるようにしています。
シモダ 「この企画はいい! 絶対面白い!」と自信を持っているときほど、それが世の中的に面白いのか判断する感覚は鈍りがちになります。たとえ良い企画だと感じていても、身内ネタになっていないか、置いてけぼりになっている人がいないかなど、一歩引いたところから俯瞰して見られるかどうかが、企画の質を大きく変えるんです。その感覚は、面白い企画を考える上で大事なヒントになると思いますね。
「届きそうで届かないもの」こそ、すごくいい
シモダ氏から「二宮金次郎みたいな薪を背負いたい」と要望を受け、3月に入社した同社初となる女性社員が手作りした薪(8kg)。
シモダ 機会があれば「他人の作品を見て一歩引いてみる」ことをおすすめします。たとえば「面白いので見てください!」と薦められた動画を見て、その中に撮影者の笑い声が入っていたり、ふざけ合っていたりという身内感たっぷりの描写があると、「何が面白いんだ?」と思ってしまうんですよね。
人に見せる作品を作るならば、撮影者の笑い声はノイズになってしまいますし、そのせいで冷めた気持ちになる人もいるかもしれません。それを面白いと信じてやっていると、見ている側との距離を縮めることはできません。
他にも「うちは仮装OKのアットホームな会社です!」とうたって、でっかいアフロとか安いコスプレといったその辺の店で手に入るようなアイテムを着用した写真。これと同じことをする人は世の中に何万人いるのにもったいないなぁと感じます。
既成品を身に着けて「これが面白い」と思うよりも、「誰でもできることって面白いの?」と疑える感覚があると、世に溢れていないものを作ることに繋がっていくんじゃあないかと。
まきの 売られているものは、誰でもすぐに手が届くわけですから。何が面白くて、何が面白くないのかを理解しておくことも必要だと思います。
斬新な企画作りは簡単。炎上の可能性を減らす作業こそ重要
シモダ これは感覚的な話になりますが、炎上しそうな企画は、事前に予防線を張っておく必要があると思います。そのコンテンツを見た人がどんな気持ちになるか、ちゃんと考えておくということですね。
道徳的なポイントを押さえつつも、そこに少しでも炎上要素があるなら、前もって対策を講じたり、いざというときの言い訳を作ったりしておく。最悪の状況に陥らないようにする手段は用意しておくといいですね。
実は突飛な企画を作るのはそこまで難しくありません。むしろ、その企画の炎上リスクを考え、適切な対処をしておくことのほうが難しい気がします。そこさえ上手くできていれば、自信を持って世に出せる突飛な企画になっているはずです。
――面白い企画を作るにあたって、おふたりがインプットに使っているコンテンツを教えてください。
自宅に約3000冊(!)の漫画を所有するシモダ氏が、社員に貸すために持ってきた漫画。持ち帰るのが面倒になり、そのまま置いているそう。
シモダ やっぱり漫画ですね。月に20〜30冊は買うくらい漫画が大好きです。漫画好きな社員が多いので「あの巻のあのページのあの部分は〜」みたいなマニアックな会話も楽しんでいます。
まきの 会議でアイデア出しをしているときに、無理矢理『幽遊白書』のシーンなどをネタとして入れることもあります。「そのセリフ使いたいだけじゃん!」なんてこともありますけど。
シモダ わかる人にはわかる小ネタとして、サラッと差し込む感じですけどね。小ネタにしておくと、そこにツッコミたくなる人が出てくるので、結果的にシェアされるきっかけにもなるんです。
――ありがとうございました!面白くて斬新な企画を作る人は、普通の人以上に常識があって真面目なんだと再認識しました。
シモダ 狂人でなくて申し訳ありません。でもそれが一番大事なんだと思います。真剣に不真面目なことを考えているからこそ、今のバーグハンバーグバーグがあるんだと思います。
まきの さぞかし変な日常を繰り広げているんだろうと思われることもありますが、日常でも狂った人間だったら何も生まれないですよね。普段は静かに暮らしていますが、「アウトプットを全力でふざける」ということを心がけています。
シモダ だから初対面で「もっと変な人だと思ってました」と残念がられることが多いんです。こちらとしては「がっかりしないでよ」と思いますけどね。目の前でウンコ食ってる奴とメシ食いたくないでしょ?
(了)