「日本の失敗には構造的な理由がある」AFC U-19選手権 準々決勝 日本-北朝鮮
グループリーグの最終戦で、鬼門である韓国を相手に勝利して大逆転でグループリーグを突破した日本だったが、肝心のU-20W杯出場権がかかった準々決勝北朝鮮で、延長PK戦の末に敗れてまたも世界切符を逃すという痛恨の結果に終わってしまった。
土曜日にイベントがあるので試合自体は後半からリアルタイム、前半は録画で倍速鑑賞だったのだが、前半のうちに訪れたオナイウと南野の決定的なチャンスをことごとく逃し、逆にセットプレイからのミスで先制されると、後半はべったり引いた相手を崩せずに時間が過ぎていき、かろうじて金子がPKをもらって同点に追いつくものの得点はそこまで。最後は5人目に出て来たエース南野がGKにPKを阻まれてジ・エンド、という過去のダイジェストを見るような典型的なやられパターンであった。
昔からするとアジアのレベルが相対的に上がっている割に、この試合の北朝鮮選手に相当ごついオッサンみたいなのがいたように、中東をはじめとするアジアでは年齢詐称が公然の秘密であり、下手をするとU-20W杯のグループリーグを突破するよりもアジア予選が難しい状態になっているのも確かだが、やはり日本の育成自体に問題があって停滞している部分は大きいように思う。
この試合の後半を見ても分かる通り、日本はDFラインでパスを回して中盤にパスコースを探そうとしているのだが、DF間のパスやサイドチェンジのパスが遅くて不正確で、ふんわりとした山なりのパスを足元でツータッチしてコントロールしている間に相手の守備陣形がスライドして追いついてしまうので全くビルドアップの意味を成していない。これは、ジーコジャパンで中田が指摘した時から続く、A代表に共通する日本の課題でもある。
これがイングランドやオランダなら30mのグラウンダーのパスや、矢のようなサイドチェンジをDFから繰り出し、サイドの選手はワントラップで前を向いてドリブル、そこからFWのダイアゴナルランに合わせるか溜めを作ってSBのオーバーラップと、いくら相手が4-4のゾーンを固めていても攻め切る形は十分作れてしまう。
そういう筋力不足の部分をカバーするために、ひたすらショートパスをつなぐ吉武ユース戦術が生まれたのだろうが、そのままのチームでW杯に出られれば別だがそんな事はあり得ないわけで、特に現状ではJリーグよりも海外での経験が代表強化に直結している以上、選手個人で評価してもらえる、海外クラブから金を積んで買ってもらえる価値を生み出す育成をしなければ意味が無い。
バルサ、スペインを見て日本も!なんて思っているのかもしれないが、彼らは十分1対1に自信があるから前に攻めのパスを出せるのであって、1対1が弱いからミスから守備になるのを恐れて後ろにしかパスを出せない日本とは土台が全然違う。基礎がいい加減ではまともな建物が立つはずがなく、レベルが上がるととたんに背伸びが崩れてしまう。
欧州リーグで戦うには不可欠な要素である、遠くへ正確に出せるパスやゾーンディフェンスの会得、1対1の守備の向上を本気で考えず、いつまでもフィジカルコンタクトを避けてパスサッカーという日本型奇形量産戦略のままでは、このまま同じようにアジアの壁に跳ね返される事態が続くだろう。いい加減、協会首脳はタコつぼオナニー思考から目を覚まして欲しいものである。
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2014/10/18 | ユース代表
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