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神奈川県警、警視の自宅など家宅捜索 霊感商法事件

2007年12月20日16時12分

 神奈川県警警備課長の吉田澄雄警視(51)が、不当に高額商品を買わせる「霊感商法」の舞台となった東京都内のマンションの部屋の名義人になっていた問題で、県警は20日午後、詐欺容疑でこのマンションなど霊感商法を展開していた団体の主要施設や、横浜市内の吉田警視の自宅など十数カ所の家宅捜索に入った。また県警は同日、部下を霊感商法に勧誘した疑いがあるとみて、吉田警視を警備部付に異動させるとともに、任意で事情聴取を始めた。

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宗教団体の関連会社が入居しているビル=20日午前9時27分、東京都港区赤坂8丁目で、本社ヘリから

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現職幹部が霊感商法に関与した疑いが浮上した神奈川県警本部=20日午前9時35分、横浜市中区海岸通で、本社ヘリから

 県警の調べでは、吉田警視は03年4月ごろ、東京都港区内の高級賃貸マンションの1室の名義人になり、警察署の警備担当次長(47)が連帯保証人となった。

 この部屋は、山梨県甲斐市に本拠を置く宗教色のある有限会社「神世界(しんせかい)」の拠点の一つで、女性を中心とした客の悩みや美容などの相談を受け、ペンダントやお守りのような宗教的な物品を買わせていたとみられる。マンションの部屋は、関連するグループ会社の本店所在地にもなっている。

 捜索の容疑は、同部屋で運勢判断などをしている神世界下部組織の役員女性(44)らが、不特定多数から祈願などの名目で現金などをだまし取ることを企て、04年4月、横浜市内の男性会社役員(44)に「業績アップには特別祈願が必要。最低200万円、最高で7000万円かかる」などとうそを言い、490万円をだまし取った疑い。

 会社役員はその後も支払い、その総額は約2000万円にのぼるという。

 吉田警視は、この部屋への出入りを繰り返していたという。県警は、吉田警視から、この女性との関係についても事情を聴く方針だ。

 県警は、吉田警視の銀行口座に、かつての同僚や、過去に教官を務めていた警察学校の教え子ら数人から、数十万円単位の金が振り込まれているのを確認している。

 吉田警視は、警察学校の教え子の同期会などに頻繁に顔を出し、同団体に誘っていた。県警は「警視が飲み会の席で霊の話をする」との情報も得ていたという。県警は吉田警視のほか、警備担当次長や金を振り込んだ警察官7人前後からも事情を聴く方針。

 被害者から相談を受けている弁護士によると、神世界は関連会社などと企業グループを構成し、「癒やし」や「セラピー」を掲げたサロンを全国に数十店舗展開している。同社を巡っては「霊感商法で高額な商品を買わされた」などとして、多くの客との間でトラブルが続発している。

 県警は9月、マンションの部屋に人が出入りしているとの情報を得て捜査したところ、吉田警視がいるのを確認した。会社役員から11月に被害相談をうけ、12月20日付で告訴状を受理した。

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