そう・・・最近、全然笑っていない。

(いつから笑っないんだっけ・・・・?)
家族も友人もなく、
「人と接する機会が無い」せいか、
いつからこうなったのか・・サッパリわかりません。
こう・・・気がつくと
気になって
気になって
仕方がありませんでした。
鏡の前で、口の端っこをグイグイッと上げて
笑顔を作ってみます。

スマイル!スマイル!
笑顔は大事ですよね?
そっと口元から指を外すと、
なーんだか妙に・・・不安そうな顔が鏡に写っています。

・・・辛気臭い。
なんだろう・・・この顔は・・・?
笑えないって事は「楽しくない」って事ですよね?
楽しい事って・・なんだろうなぁ・・・・。
笑顔を求めて
美味しいご飯を食べてみても。

お笑い芸人さんのコントをみても。

何をしても笑えない・・・・面白くない・・・・。

面白く無い・・・・・・・・?
ああ・・そうだ・・・あの日の事を思い出す・・・・・。
中途採用で入社した会社の新人歓迎会の時に
社長から
「オマエ・・挨拶代わりに何か一発芸やれよ!」
と無茶ぶりされた時のことだ。
それを聞いた私は「えっ!?」っていう
さも驚いたような顔をしました。

社長がそう言うと、
私は先輩営業マンたちに引っ張られ、
無理やりみんなの前に立たせられました。

しかし・・・・・・!!
私はこの展開を事前に予測しており(※先輩たちから聞いていたダケ)
思いつく限りの「最高のネタ」
「ジブリモノマネ3連発」を用意していたのでした。

30名ほど?の先輩社員とアルバイトの方々が、
私に向かって手をパチパチと打ち鳴らして
「がんばれー」「きたいしてるぞー」と場を盛り上げます。

パチパチパチ・・・・
私はみんなの拍手が終わらないうちに
「ジブリモノマネ3連発ッ!!!」と大声で叫んで
その場に四つん這いになりました・・・・・・。

つまらない人間だった私を変えた「ブラック企業」
私は学生時代から友人や恋人の一人もおらず、
さらに「コミュ障すぎて警察官をクビになった」
レジェンドコミュ障ですが、
前職のブラック企業に勤めた3年間の間に
社員全員の前で何度も何度も一発芸をやらされたオカゲで(パワハラ)

「こういう状況」には慣れっこになっていました。
🔻詳しくはこの記事と次の巨乳オリンピックに書いてあります。
www.keikubi.com
いや・・・「慣れた」というよりも、
「人を楽しませる事に喜びを見出したのです。」
笑わせても、
笑われても、
「みんなが喜んでくれる事」がとにかく嬉しかったのです。

だから・・・・私はここにいる全員を
「爆笑の渦に巻き込む」と心に決めていました。
今回用意した
「ジブリモノマネ3連発」には絶対の自信を持っていましが。
さらに・・・・
用心深い私は、万が一ネタがすべった時の為に、
スーツの下に男性用のブラジャーまでバッチリ仕込んでありました。

私に一切の死角はありませんでした。
元々はウケ無かった場合
「黒く塗りつぶした乳首を見せるだけ」の予定でしたが、

「インパクトに欠ける」と判断して急遽ブラを装着してきたのでした。
(男性用ブラは前職の会社のイベント企画で入手したものです。)
ジブリモノマネ3連発
私はみんなの前で
「ジブリモノマネ3連発!!!」
と叫んで、その場に四つん這いになりました。

私の渾身の力作「ジブリモノマネ3連発」とは?
モチロンみんな大好き
「ジブリ映画のキャラクターのモノマネ3連発の事です」

四つん這いになった私は、
「紅の豚のポルコ!!!」と大声で叫んで
「ぶひぃいいいいぃいいぃ!!!!!」
と力いっぱいブタのように叫びました。

そして間髪入れずに
「続いて!もののけ姫のオッコトヌシ様!」
と叫んで、同じように
「ぶひぃいいいいぃいいぃ!!!!!」
と力いっぱいブタのように叫びました。

そして最後にたたみかけるように
「千と千尋のお父さんとお母さん!!」
と叫んで、またブタのように
「ぶひぃいいいいぃいいぃ!!!!!」
と渾身の力を振り絞って叫びました。

ブタが鳴き止むと。
・・場内はシーンと静まり返ってしまいました。

おや?
・・・・・・わたしは
精一杯みんなを楽しませようと頑張ったつもりでした。
しかし・・・・みんなの顔に笑顔はありません。

ハハハッ・・・という乾いた笑い声と
パチパチ・・・というわずかな拍手が聞こえてくるだけです。
大半の人は私を見つめながら
(うわぁ・・・・・)という引きつった顔をしています。
どうやら・・私はとんだ「勘違いブタ野郎」のようでした。

みんなの表情を見て戸惑いました。
なぜだ・・?
なぜウケない?
ジブリという誰もがわかる題材を元に
「ブタのモノマネで叫ぶ」
というシンプルかつ
インパクトのある最高のネタのハズだ・・・。

(面白いハズだ・・・・なぜ笑わないんだ・・)

私はネタがウケなかったショックから
一瞬固まってしまいました・・・・・・・。
そしてその様子を見たアルバイトの女子大生が
一言「キモッ」と呟きました。

すると・・・なんと・・・それを聞いたみんなが、
「アッハハハハハッ」と大爆笑を始めたのです。
おおっ!・・良かった・・・みんなが笑ってくれた・・・。

みんなが笑うと、
私もそれが嬉しくて笑顔になります。
私はみんなと一緒になって、
いつまでも・・・いつまでも笑い続けました。

そう・・・この日、私は改めて学んだのです。
一人では心から笑えないのだと。
「喜びや楽しさ」を誰かとわかちあってこそ、
本当の笑顔になれるのだと・・・・・。
つまり最近わたしが笑えていないのは
「孤独だから」なのでしょう。

孤独が笑顔を奪っていくのです・・・・。
そうそう・・・ただこの後、
調子に乗りすぎて
シャツを脱いでブラを見せたのは失敗でした。

女性社員や女性アルバイトの人達から
本気で気持ち悪がられてしまったからです。
何事もほどほどが一番ですね・・・。
みなさんは・・・最近ちゃんと笑えていますか?
おしまい
