【ニューヨーク=清水石珠実】米新聞大手のニューヨーク・タイムズが2日発表した2016年10~12月期決算は、純利益が前年同期比28%減の約3700万ドル(約42億円)となった。売上高は同1%減の4億3900万ドル。電子版の契約者増で購読料収入は5%増となったが、広告収入の10%減を補えなかった。特に、紙向けの広告収入が2割減少したことが響いた。
米国ではトランプ政権の誕生を背景にニュースに対する読者の関心は高まっている。電子版の有料会員数は3カ月間で27万6000人増と、有料の電子版を立ち上げた11年以来の高い伸びを記録した。16年末時点での有料会員数は約160万人、クロスワードのスマートフォン(スマホ)向けアプリを含めると約185万人に達した。
17年に入ってからも読者は増え続けている。マーク・トンプソン最高経営責任者(CEO)によると「紙と電子版を含めた有料購読者数の合計が300万件を超え、過去最高水準になっている」という。1月28日、トランプ氏はツイッターで同紙の報道を「不誠実」と指摘して「購読者数は縮小している」と述べていた。
1株利益は0.23ドル(前年同期は0.31ドル)。特殊要因を除いた1株利益は0.30ドルと、市場予想(0.24ドル程度)を上回った。
16年12月期通期決算は、売上高が前の期比2%減の15億5500万ドル、純利益が54%減の2900万ドルだった。