障害者への虐待の疑いで2015年度に全国の自治体などに寄せられた相談・通報のうち、虐待に当たると判断された件数が2439件に上ったことが16日、厚生労働省の調査でわかった。職場での虐待が増加し、前年度比で7.1%増加した。被害に遭った障害者は3154人と初めて3千人を超え、このうち3人が死亡していた。
障害者への虐待が増えた原因として、職場での虐待の対象範囲を広げたことが影響しているが、厚労省は「2012年施行の障害者虐待防止法で発見者の通報を義務付けたことで、隠れていた虐待が表に出るようになってきた」と分析する。
障害者への虐待で最も多いのは父母や兄弟姉妹など「養護者」による虐待。1593件で被害者は1615人に上る。虐待行為(複数回答)をみると、暴力をふるうといった「身体的虐待」が993件で最多だった。
障害者福祉施設の職員らによる虐待は339件で被害者は569人。虐待が起きた要因を複数回答で聞いたところ、「介護技術などに関する問題」が183件、「虐待を行った職員の性格や資質の問題」が167件の順だった。
各都道府県の労働局が、職場の雇用主や上司による虐待があったと判断したのは507件。被害者は970人だった。