謎の戦車アニメが異例のヒットを飛ばしている。
『ガールズ&パンツァー』(通称:ガルパン)は2012年から放送されたTVアニメで、学園艦と呼ばれる船の上に高校があり、女子高生がスポーツとしての”戦車道”を学校対抗で競うという学園ドラマ。戦車戦のシーンがあまりにスゴいと、従来のアニメファンに留まらない幅広いファンを獲得している。
TVシリーズの人気を受け、昨年11月に全国の映画館で公開された『ガールズ&パンツァー 劇場版』は、なんと半年以上に渡って劇場公開中で興行収入は22億円を突破。
そのヒットは映画だけに収まらず、舞台となった茨城県の大洗町は“聖地”とされ国内外から多数のファンが“巡礼”、映画に触発された普通のサラリーマンが戦車のプラモデル作りにハマり、戦車プラモが店頭から姿を消すなどの現象も起きている。
なぜ今、戦車なのか? 自身もかなりのミリタリーファンとして知られるバンダイビジュアルの杉山潔プロデューサーにお話を伺った!
―女子高生が学校対抗で戦車で競い合うというストーリーですが、美少女と戦車という奇抜な組み合わせはどうやって生まれたのですか?
杉山 アニメの世界では、女のコたちがメカに乗って競い合う設定自体は割とスタンダードなもので、我々はそこに特別な思いはないんです。
ただ、なぜ戦車にしたかというと、私と一緒にチーフプロデューサーをしている湯川(淳)がかつて、船で女のコたちが戦う『タクティカルロア』(2006年)という作品を作っていました。その制作会社が今『ガルパン』を作っているアクタスなのですが、そこの現場の人たちが実は戦車が好きで、戦車のアニメを作りたいという要望がどうもあったらしいんです。
一方で、私はそれ以前に女のコが迎撃機に乗って地球を守るという『ストラトス・フォー』(2003年)という作品を作っていたんです。私が女のコと飛行機、湯川は女のコと船という組み合わせをやっていて、次は「陸」だよねと。
―そこで「戦車」となるのは必然的な流れだったんですね。
杉山 戦車を扱う作品となると、ある程度の知識が必要ですが、私は自衛隊の実写ドキュメントを作っていて自衛隊とも20年以上の付き合いがありますし、その分野に強い方のネットワークもありましたので、こういう作品なら杉山が向いていると思われたのでしょう。「やる?」と言われて「やるやる!」と手を挙げて始まったんです。
―そうして始まった『ガルパン』は学園モノですが、まず「華道、茶道、戦車道は乙女のたしなみ」というムチャな設定に驚きました! しかもその戦車道は学校で単位まで貰えます。その発案は一体、誰が?
杉山 戦車を使ってお話を作るにあたり、部活だとありきたりですし、違う方法でうまく世界を作れないかと打ち合わせをしていたところ、湯川が「いいこと思いついた! 武道にすればいい!」と。私も高校の授業で柔道を習っていたのでそんなイメージで考えていて、体育の授業や武道という形でいこうという話に。あの戦車道という言葉を思いついたのは湯川で、ちょっと天才的なひらめきでしたね(笑)。