俊一は共働きの家庭で育った。父は中小企業の派遣社員で長時間労働、母はパートを掛け持ちして家にいない。孤独な日々だ。
公園で3DSをしている時が一番楽しかった。でも夕焼の時間になると友達は家に帰る。夕食を買おうと、コンビニへ向かう。
『ー閉店のお知らせー ご愛顧ありがとうございました』ガラス戸に張り紙。コンビニは真っ暗で空腹と寂しさでいっぱいだった。
首から吊り下げた紐の鍵を団地の扉に差し込み回す時に鳴るガチャリという音が嫌いだった。冷蔵庫を開けるとチーズしかない。
父親のパソコンを立ち上げてブログを書く。学校のこと友達のこと夕飯のこと。しばらく他のブログを読んで、Bをつける。
21時を過ぎるとシャワーを浴びて歯を磨いてパソコンの電源を切る。ベッドに入る。なかなか眠れない。頭の中で羊を数える。
眠れない。パソコンを立ち上げる。ブログをチェックする。Bが『2つ』ついている。嬉しくなってBに星をたくさんつける。
23時を過ぎても両親は帰らない。眠気を感じパソコンの電源を切る。ベッドに入る。体がずしんと重くなった様に感じて眠る。
こけこっこー、と目覚まし時計のアラームが鳴る。リビングに行くと両親がテーブルにいて一緒にご飯を食べる。俊一は、両親に
『いつもブックマークとコメントありがと』と言う。父は新聞から顔を上げて笑い母は俊一の頭を撫でる。俊一は両親が好きだ。
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