2016-08-09

03:16 |

シン・ゴジラのテーマは定型発達の人にむけたものと、オタクに向けたものと２つあると読み取れました。

はい、ガチのネタバレです。以下たたみます。

シン・ゴジラの引きは新劇場版ヱヴァンゲリヲンに向けて導線が作られています。

これは、シン・ゴジラを見たあとヱヴァを見てね、という風にとれますが……ヱヴァは完結していないので、強制的に旧TV版を含め新世紀エヴァンゲリオンを見なければなりません。

これはオタクが遡上する習性を利用したものなのですが、エヴァを見るということはガイナックスを見るということとほぼイコールです。

ではガイナックスの庵野秀明をたどっていき、かなり遡上したところに何があるか、それは、帰ってきたウルトラマンです。

庵野秀明版の「帰ってきたウルトラマン　マットアロー1号発進命令」です。

そう、7月20日に発売されたコイツです！

つまり、シン・ゴジラはウルトラマン50周年記念作品だったんだよ！

定型発達の人に向けた方

ストーリーの話なんでちょっとお付き合いください。なあに完全に私見です。

旧政権は徹頭徹尾手続き型言語でゴジラに対処します。これは政権がルールを守ることにより国家と国民と自らを守っているわけですが、煩雑であることが冒頭から示されます。

結果、速度が足りなくなり、次の選択肢が必要になります。

その時に選ばれたのは、ADHD 当事者というか、オタクというか、コミュ障というかそういう皆さんというか私達でした。

この人達同士は、性別階級所属を取り払うというよりも、そもそもそういうことに注意を払えない（払わない）ことによって、高速度で意思疎通ができます。

当然、めちゃくちゃ扱いにくく、言語に例えると低級言語（マシン語）です。

だけど、主人公は彼らと対話し、言葉を聞き、理解し、手続き型言語の世界に持って行きます。

そうして、ヤシオリ作戦を成功させるのです。

この一連の流れは、定型発達してないちょっと生きづらいみなさんでも、カントクはなんとかやってますよ、あなた方も実力で圧倒することができれば、素晴らしい翻訳者に出会えてそこそこ成功することができますよ。

だから腕を磨き、言葉を磨き、コミュニケーションもがんばれば、よりよく生きられますよ、ということと捉えました。

カヨコ・アン・パタースンの英語交じり日本語から、日本語への切り替え。

これらは、煩雑な手続き型言語（オトナ語）が使えないと生存困難な世の中への批判というよりも、宮﨑駿に続いた庵野秀明としてその世界へ切り込んだぞ、あとに続いてくれ！　というように感じました。

※この辺の流れは、夢と狂気の王国を見ていただければわかるかと思います。新劇場版ヱヴァンゲリヲン製作中に、風立ちぬの声優をやれと言われ首を斜めに振らず、つまり縦に振ったかっこいい庵野秀明が見れます。

もちろんオトナ語を使えるようになれば、もっと楽に生きられるよ！　というメッセージも込みです。

このメッセージを込めることが許されるようになった背景、例えばADHD 治療薬の普及や、庵野秀明というパーソナリティの膾炙などについて、世界が優しくなった感覚を覚えます。

嫁に対する絶大な愛も感じ取りました（勝手に）　

監督不行届がなければ、庵野秀明のパーソナリティももっと捉えにくいものになっていたかなと思うからです。

恋愛要素がなかったことも、非常に親近感を持ちました。

性別階級所属を問わず、各員の能力を求められる現場では、性的マイノリティー差別はないし、恋愛ではなくて好意というかたちで存在しているというふうに見えます。

これは、なんというか当事者的に居心地がいい感じで、非定型発達の件とあわせて「優しい世界」を描いてくれたな。よかったなという気持ちです。

と、いうわけで、「シン・ゴジラはいいぞ。」

※参考資料です。

ぺらねこ日記