今回のしくじり先生、トリはオリラジ中田先生による「マルクスの資本論」。
「マルクスの資本論に書かれた理想は、理想国家の現実的な運営について書かれていないことが大きなしくじりで、代表的な例としてソビエトという国の成り立ちと崩壊について語る」という内容を展開してゆく。なかなか勇気があるなぁ。
さて、そんな大胆な授業をした中田先生だけど、今回の授業は別の見方をすると「人に罪悪感を植え付ける方法」として良い教材になっている。
当事者意識を持たせるのが上手い
中田先生は言いました。
- 平等な世界にしたい。
- 誰か意見をください。
- ここがソ連の最高幹部会。みなさんは大統領候補だと思って真剣に考えてください。
話しに引き込んで「農業はどうあるべきか」という意見を出させる。
「土地を平等に分ける」「給料や労働時間も平等に分ける」
こうした言葉を生徒から引き出して、ソ連が取った政策と合致するように誘導してゆく。
さらに、身近なコンビニバイトに例えて、崩壊への道のりを語る。
同様の手法で賄賂の横行や独裁者の誕生までの道のりについても説明をする。
みんなが決めたこと、みんなで決めたことなのに
二択など選択肢を狭めて決断を促す方法で、独裁者誕生までの道のりを描き「農業、商業、政治」全てがダメになり、ついにソ連崩壊となってしまう。そこで生徒の澤部さんがひとこと。
「なるべくしてなった」
この一言に反応した中田先生。
「なるべくしてなった?あんた達だろ!ソ連は」
いかに当事者意識を植えられた生徒とはいえ、生徒自身には損害や責任が発生しないし、なによりも集団を相手にしているので、あっさりと「(中田が)誘導したからだろ!」と反論できているけれど、もしこれが個人を相手に莫大な損害と責任問題が発生したとき「誘導されて返事をしたまでだ!」と強く言えるだろうか。
特に責任感の強い人なら、精神がどうかなってしまうくらいヘコみそうだ。
さらに初代最高指導者レーニンの銅像が撤去される様子の写真を見せつける。
「これがあなたがたの姿だ」
プレゼンの上手さもさることながら、詐欺にかける前段階の精神のかく乱や、心の壊し方としても参考になる、素晴らしい授業だった。