BitCoinを開発したのは日本人のサトシ・ナカモトだとされてきました。ただ実際にはサトシ・ナカモトは架空の人物で、これまでには様々な憶測が流れていました。なかでもニューヨーク・タイムズが、ロサンゼルス在住の日系人ドリアン・サトシ・ナカモト氏を本人とした2014年当時の報道は過熱し、母親と暮らしていたドリアン氏の生活に多大なストレスを与えるに至りました。
この一件以後、サトシ・ナカモト探しは沈静化していました。しかし、2016年5月2日に突如、オーストラリアの実業家クレイグ・ライト氏が、自らがサトシ・ナカモトだと認めたうえで、BBCに対し本人しか知らないとされる2009年のBitCoin初の取引で使ったのと同じ暗号化キー(正確にはブロックチェーンの一部)を提示して見せました。またこのブロックチェーンはライト氏のウェブサイト上でも公開されました。なお、最初のBitCoin送り先は、暗号化技術のスペシャリストでBitCoinの開発にも重要な枠割を果たしたとされるハル・フィンリー氏とされます。
またBitCounファウンデーションのチーフサイエンティスト ギャビン・アンドレセン氏は、自身のブログにてクレイグ・ライト氏の発言を支持すると発表し、同時にライト氏のプライバシーを尊重するよう求めています。
ライト氏は突然サトシ・ナカモトだと名乗り出たことについて、オーストラリア当局から税金に関する捜査対象になっていることを明かしつつ、社員とその家族を守るために自分がサトシ・ナカモトだと認めざるをえない状況に置かれたと説明しています。また、今後は一切の取材に応じないとしました。
実際のところ、2015年8月の時点で、ライト氏がサトシ・ナカモトだとする記事はちらほらと出ていました。Wiredはダークウェブに詳しいアナリスト グウェン・ブランウェン氏の助けを借りた調査で、サトシ・ナカモトはクレイグ・ライト氏ではないかとしていました。
一方で、ライト氏が自らをサトシ・ナカモトだと認めたにも関わらず、そのことに疑問を呈する声もあがっています。米国のセキュリティ研究者ダン・カミンスキー氏は、ライト氏が公開した暗号化キーを確認したところ、それは初期のブロックチェーンにおけるサトシ・ナカモトの署名が記された部分であり、ライト氏がサトシ・ナカモトだと証明するものではないと自身のブログに掲載しました。またForbesも同様の疑いを報じています。
こうした状況を考えると、まだまだサトシ・ナカモトに関する謎は深く、今後はクレイグ・ライト氏にサトシ・ナカモトに関するさらなる証拠を求める声が高まる可能性もありそうです。