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印南敦史印南敦史  - ,,,,,,,,  06:30 AM

脳のパフォーマンスを維持するために、「ぼんやりモード」を生活に取り入れよう

脳のパフォーマンスを維持するために、「ぼんやりモード」を生活に取り入れよう

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スケジュール帳は予定でびっしり埋まった状態。次から次へとそれらをこなし、スキマ時間にはスマホでメールの返信などの用事を片づける――。そんなふうに忙しく過ごしていると、人生が充実していると勘違いしてしまいがち。ところが、そんな状態が何年も続いているのなら、脳は充実しているどころか、すでに危険な状態に入っているかもしれない。

そんなショッキングな主張をするのは、精神科医・医学博士である『ぼんやり脳! 上手にボーっとできる人は仕事も人生もうまくいく』(西多昌規著、飛鳥新社)の著者。常になにかをやって忙しくしているのは、脳にとって「非常に不健康な状態」だというのです。

それどころか、脳をすこやかに維持するためには、「なにもせずにボーッとしている時間」が必要不可欠だとすらいいます。事実、ボーッとしているときには、脳内において意識的課題を行っているときの15倍ものエネルギーが使われているのだとか。

こうした「ぼんやり時」の脳活動システムは「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれ(本書内では「ぼんやりモード・ネットワーク」と称しています)、脳をすこやかにキープしていくには、その機能を落とさないようにしていくことが重要なのだそうです。

なお、日々の生活のなかで「ぼんやりモード・ネットワーク」を上手に働かせていると、さまざまな面において脳の力が効率よく発揮され、具体的には次のようなメリットがもたらされるのだとか。

・ひらめきやアイディアが生まれやすくなる
・仕事の作業効率が上がる
・記憶力などの脳力がアップ
・人間関係などの悩みやストレスの解消
・いまの自分が「やるべきこと」がわかる
・人生や生活の軌道修正ができる
(「はじめに」より)

だとすれば、「ボーッとする技術」を身につけると仕事、勉強、生活などさまざまなパフォーマンスを引き上げることができそうです。第4章「『ぼんやり脳』をつくるちょっとしたコツ」から、いくつかのポイントを引き出してみましょう。


「スマホから離れる時間」をつくってみる


スマホを片時も手放さずに日々の生活を送っている人も少なくないと思いますが、著者によればスマホや携帯は「ぼんやり」にとっての非常に大きな障害。いうまでもなく、ちょっとでも時間が空くと、ついついスマホや携帯を見てしまうから。そのせいで、ぼんやりする時間がなくなってしまうというわけです。

とはいえ、いまの時代にスマホや携帯を使わないという選択をすることは現実的に不可能。そこで、空いた時間にうまく「スマホ時間」と「ぼんやり時間」を使い分けるようにすべきだといいます。

たとえば「仕事が一段落したら、まず3分間ぼんやりしてからスマホを取り出すようにする」とか、「ちゃんと『ぼんやりタイム』をとるときはスマホの電源を切っておく」など、自分なりのルールを決めて時間を使い分けていくということ。現代ではスマホなどの携帯端末に依存している人が多いので、ぼんやりするためには「あえてスマホから離れる時間をつくる」というくらいの心がけが必要となるわけです。

なお、スマホから離れてぼんやりするには、静かな図書館、ホテルのロビーなど、意識的に「スマホを使いにくい場所」に行くのもひとつの手。プールや温泉に入ったり、エステやマッサージを受けたりしながらぼんやりするのもいいそうです。そして毎日の生活のなかでは、お風呂に入る時間が大切。39℃くらいのぬるめのお湯に浸かり、リラックスしてぼんやり時間をつくると効果的だといいます。(133ページより)


湧き上がってくるイメージに身をまかせる


「ぼんやりする」ことには、「頭を空っぽにしてなにも考えない」というイメージがあると思います。しかしそれは、簡単なようでなかなか難しいこと。「◯◯のことを考えるな」といわれると、逆に「◯◯」について考えてしまうのが人間だから。「なにもしない」ことはできても、「なにも考えない」のはちょっとやそっとでできることではないのです。

だから著者は、ぼんやり時間を推奨しながらも、「なにも考えない」という点にこだわる必要はないと考えているのだといいます。ただぼんやりしながら、次々と頭のなかに湧き上がってくる考えやイメージに身をゆだねていれば、それでいいということ。

たとえば仕事のことが気になるなら、そのことをイメージしていればいいし、新しい服を買いたいなと思えば、その服のイメージを膨らませるのでもOK。「こういうふうにぼんやりしなければならない」という決まりはないので、「ぼんやりの世界」は無限に広がっていくわけです。(136ページより)


悩んでいるときは「問題の全体像」を浮かべてみる


なにかに悩んでいるときや迷っているときは、少し戦略的にぼんやりしてみるのもいいと著者はいいます。たとえば、悩んでいる問題の全体像をなんとなく頭に浮かべながらボーッとしていると、問題解決の鍵がどのあたりにあるのかが見えやすくなる傾向があるのだそうです。視野を広くとって物事の全体をぼんやり眺めてみると、それまでまったく気づかなかった意外な点が見えてくるものだということ。

だから、もしも仕事のことで悩んでいるのなら、「社会において会社が果たしている役割」「会社が動いている全体のシステムの流れ」「その流れのなかにおける自分のポジション」など、仕事全体の大きな流れをぼんやりと思い浮かべてみるといいと著者は提案しています。そうすれば、「会社はこれからどんな流れに向かうべきなのか」とか、「その流れにおいて自分がいまどんな役割を果たすべきなのか」とか、自分がやるべき仕事が見えてくるかもしれないから。

それに、どんなことであっても、物事の全体像が「なんとなく見えている」というのはとても大切なこと。全体像さえ見えていれば、仕事や人間関係などでも問題解決能力を発揮できるようになっていくはずだからです。つまり、ぼんやりするたびに自分が関わっている問題の全体像を思い浮かべるようなクセをつけておけば、将来的にもいろいろな面で 役立つということ。(139ページより)


ひらめきは「期待度20%」ぐらいで


ぼんやりしているとアイディアが得られやすいとはいえ、「ひらめきが欲しい」「企画のアイディアが欲しい」という目的のためにぼんやりするとしたらどうでしょう? この点について著者は、「ぼんやりに"結果"を求めるのは、ちょっと本末転倒のような気がします」と記しています。

ひらめきやアイディアは、ぼんやりしたことによって"副次的に"もたらされるプレゼントのようなもの。そのプレゼントは頭のなかの偶然の結びつきによってもたらされるものであり、求めて得られるようなものではないというのです。まして、プレゼント欲しさにぼんやりしたとしても、そうそう得られるものではないはず。

だからこそ、ひらめきやアイディアに関しては、あまり期待しすぎない方がいいと著者はいいます。「ひらめきが得られなくてもともと」「なにかちょっといい考えでも浮かべば、それだけでもラッキー」というくらいのスタンスでぼんやりする方がいいということです。

だいいち、ひらめきとは「意外性」のある"サプライズ・プレゼント"だからこそ価値があるもの。普段からぼんやりすることを習慣にしていたとしても、そうそうヒットが生まれるわけではないということです。

野球の世界では、打率が3割に乗っていれば「確実性のあるバッター」とみなされます。「意外性のあるバッター」とよばれている選手は、打率がだいたい2割ちょっと。とはいえ打率2割の選手だって、たまに試合を決定づける貴重なホームランを放つことがあるものです。

同じように、ぼんやりするときの「ひらめき期待度」も20%くらいに考えておくほうがいいと著者はいうのです。ヒットは出なくて当たり前。ただ地道に続けていれば、そのうち周囲をあっと驚かせる大ホームランが生まれるかもしれないということです。(145ページより)


歩きながらぼんやりする


「歩くこと」と「ぼんやり」には密接なつながりがあるのだそうです。事実、リズミカルにあるいているうちに頭のなかがシーンとしてきていろんなイメージが湧いてくることがあるはず。それは、歩行という作業を続けることによって大脳の意識的な活動が沈静化し、代わりに「ぼんやり機能」が台頭してくるからだというのです。

歩いているときは、脳の注意があちこちへいい感じに分散していくもの。「車が来ないか」など安全にもそれなりに注意を払っているばかりか、人や建物などいろんなものが目に入ってきて、それらにも注意を向けているということ。また、手足を動かすのにもエネルギーを割かなくてはならないため、脳の注意レベルや思考力のレベルは、多少落ち気味になっているといいます。

つまり、頭をしきりに働かせているわけでもなく、かといってまったく働かせていないわけでもないという、半端な状態だということ。「ぼんやり機能」が働くのは、そういう半端な時間がちょうどいいのだそうです。

ちなみに歩きながらぼんやりといろんなイメージを思い浮かべていると、いいアイディアやひらめきが得られることが少なくないのだといいます。著者の推測によればそれは、懸案問題のことをなんとなく思い浮かべながら歩いているうちに、頭のなかで「夢関係なもの同士のつながり」が生まれやすくなるから。(156ページより)




ソフトな文体で読みやすいだけに、「ぼんやり」読んでいても要点がすんなりと頭のなかに入ってくる良書。多くの気づきを得られるのではないかと思います。


(印南敦史)

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