株って何?を超ザックリ言うと
株主とは何かを、誰かが会社を作る際に、その元手となるお金を出した人のことです。
集まったお金は、「株券」という証券に切り替えられ、お金を出した人に渡されます。
会社が儲かるようになると、利益の一部をお金を出し合った人たち(株主)で山分けします。
その配分は、出したお金の額、つまり、持っている株券の数に応じて行われます(これが、株主配当金です)。
さて、「株券」自体は、会社の所有権であり、配当金をもらう権利を証するものですが、売り買いできます。
証券取引所とは、いわば「株の市場」みたいなもので、上場している会社の株は、そこで自由に売り買いでき、需要と供給のバランスによって値段(株価)が決まるのです。
これによって、株主(会社の所有者)は入れ替わり、他の要因もあって株主の数は増えていきます。
会社の創業時からの株主であれば、創設者の志に惚れてお金を出し、見返りは求めないケースもあるでしょうけど、一般的な株主が求めるものは、自分の資産である株の値段が高くなることと、たくさんの配当金をもらうこと、と言えます。
株主優待とは?
経営者とは
社長などの経営者は、会社の所有者である株主に雇われている立場であり、その要求を満たすことが一番の仕事となります。
つまり、株価を維持・上昇させ、高い配当金を出すために、少しでも多くの利益を出し続けることが最大の使命なのです。
これが出来ないと、経営者失格となり、自分の職を失ってしまいます。
*と言いつつも、大株主=経営者という会社では、いくら赤字を出そうが経営者は交代しませんし、上場企業のように株主数がめちゃくちゃ多いと、経営者の処遇に対する圧力が弱まるので、あまり実感できないのですが・・・。
株主優待の意味
経営者の立場からすると、(経営に口出しをしない)優良な株主に、長く株を持っていてもらいたいものです。つまり、株を売ってもらいたくないのです。
もし、大口の株主が、持ち株を一斉に売りに出したら、株価は暴落、会社は資金繰りに窮し、信用がなくなります。もちろん、自分の責任問題にも・・・。
ですから、株価や配当以外にも、株主を「つなぎとめる」手立てがあると良いわけですね。
そのひとつに、「株主を特別待遇しますよ」という「株主優待」があるのです。
(すべての会社が実施してるわけではありません)
また、株主優待を活用することによって、新たな顧客を獲得できます。
メーカーでは自社商品のサンプリングが、小売業やサービス業では割引等による利用機会の拡大やユーザーの囲い込みができるのです。
一方、BtoB企業や、小売業・サービス業で商圏が限定されているところなどでは、本業を通じた優遇を実施しにくいため、商品券等の提供を行っていますね。
さらに、株主優待を設けることで、株主になってもらうきっかけをつくれます。
多くの会社で株主優待を獲得する権利を最低単元とし、優待内容を持ち株数と正比例させていないのは、零細な個人投資家をたくさん取り込むためですね。
つまり、少ない株数しか持てない人にとって、お得感満載と言えるのです。
優待内容をリッチにしたりプレミア感が高いものにすると、それを目当てに購入する人や保有を続ける人が増えますし、そこまででなくとも、投資家の目に触れる機会は確実に増えますから。
*以上、超ザックリの説明です。大体こんなものという程度でご理解いただければ幸いです。
主婦向けが多い?こんな優待がありました
株主優待、日本の会社は、海外と比較して、特別に手厚いそうですが、ある特定の期間に株をもっているともらえるので、とてもお得と言えます。
どんなものがあるか、調べてみたら・・・。
一番多かったのが、商品券(クオカード・図書カード)。
もらう側は使い勝手がよく、贈る側は手間や配送コストが少なくて済むという利点があるからでしょう。
次に思ったのが、食品関係が多いということ。
まず、「おこめ(おこめ券含む)」という会社もたくさんありました。毎日、食べるものですから、もらえると嬉しいですよね。
そして、自社商品では、飲料、アルコール、加工食品、おかし・・・。食品会社は自社商品を株主優待に使いやすいし、そのメリットも大きいからだと思いますが、食べ物系が目に付きました。
また、サニタリー等の日常的な消耗品もたくさんありました。
こうやって見ていると、株主優待は「主婦向け」が多い感じがします。
そして、オマケと呼ぶにはお得感が満載だと思いますね。
3月に株主優待の権利が確定する会社の中から、お得感の高いもの、プレミア感のあるもの、そして、少々風変わりなモノを少し紹介します。
*【】の中は、3月3日時点の株価から計算した株主優待を得る最低必要金額です。
自社サービス
オリエンタルランド(4661)【817,100円】
“東京ディズニーランド”または“東京ディズニーシー”で利用できる1日パスポート券
- 100株 … 3月に1枚(年間1枚)
- 400株 … 半年ごとに1枚(年間2枚)
- 800株 … 半年ごとに2枚(年間4枚)
長期保有者は、さらに枚数がもらえます。
株主優待制度 | 株式情報 | 株主・投資家の皆様へ | オリエンタルランドグループ
日本航空(JAL)(9201)【404,900円】
JALグループが運航する国内線全路線対応(片道1区間が1枚で50%割引)
- 100株 … 1枚
- 300株 … 2枚
株主優待のド定番ですね。
それにしても、JALの株価が、こんなに高くなっているとは驚きでした。
アトム(7412)【69,200円】
ステーキ、焼肉、回転すし店で使える食事券
- 100株 … 2,000円相当
株購入価格に対するリターン率が高いです。飲食店系では、おそらく一番かと。
ゼンショーホールディングス(7550)【140,800円】
すき家、ココス、宝島、牛庵、なか卯などで利用できる優待券
- 100株 … 1,000円分
使える店舗数が多いのが魅力です。
ガーラ(4777)【47,300円】
「Flyff All Stars」(フリフオールスターズ)のゲーム内仮想通貨「ダイヤ」
- 100株 … 500個(約4,000円~4,500円相当)
購入株価に対するリターン率が高いのが、こちらの銘柄。
このゲームをされている方には、とてもお得かと思います。
自社商品
中村屋(2204)【471,000円】
- 1000株 …以下のいずれか
- 2,000円相当の自社商品
- 株主優待券1冊(指定店舗にて15%割引券×20枚)
- 社会貢献活動団体へ寄付(2,000円)
優待をもらう代わりに、お金を寄付するという選択肢があります。多くの会社が実施しているようです。
伊藤ハム(2284)【716,000円】
- 1000株で5000円相当
グンゼ(3002)【308,000円】
◎ 通販カタログに載っている商品の割引券
- 1000株 … 30%割引
◎ 「株主様ご優待専用カタログ」より商品贈呈
- 1000株 … 2000円相当(3年未満)、3000円相当(3年以上)、 4000円相当(5年以上)
株の保有期間に応じて、もらえる金額が上がっています。
タカラトミー(7867)【77,300円】
オリジナルトミカなど
- 100株 … オリジナルトミカ2台
- 1,000株 … オリジナルトミカ4台
- 2,000株 … オリジナルトミカ4台、オリジナルリカちゃん
すべて、非売品です。
*上記は、2015年3月期分です。
サンリオ(8136)【231,900円】
サンリオピューロランド、ハーモニーランド共通優待券
- 100株 … 3枚
- 500株 … 6枚
- 持ち株に応じたオリジナルグッズ
*ポーチは平成27年9月末、1000株以上の株主用です。
小松製作所(6301)【553,650円】
自社製品のオリジナルミニチュア
- 300株 … 重機のミニチュア<3年以上継続保有の株主>
優待品ではなくて「感謝品」。非売品でシリーズ化されています。
特種東海製紙(3708)【380,000円】
- 1000株 …以下のいずれか
- タウパー・ポップペーパー150枚×12個
- トイレットペーパー12ロール×8パック
- ファンシー文具セット B6ノート、豆本カードスタンド各1冊
トイレットペーパーが、96ロールもらえます。嬉しいですが、置き場所に困るかなぁ・・・。
VTホールディングス(7593)【65,400円】
- 100株 … 優待券1冊
- 1000株 … 優待券1冊、カタログギフト5,000円相当
- 5000株 … 優待券1冊、カタログギフト10,000円相当
<優待券の内容>
- 新車・中古車購入時利用優待券(30,000円分) 1枚
- 車検時利用優待券(10,000円分) 1枚
- レンタカー利用割引券5枚(一般料金表より20%割引、またはインターネット料金表より10%割引を5枚)
名古屋市に拠点をおく自動車ディーラーさんです。
調べた中では、この会社が一番リターン率が高いです。
近くに住んでいる人で、自動車を購入する予定の人にとっては、かなりお得な優待ですね。
風変わりな?株主優待
コア(2359)【294,000円】
- 200株 国立博物館共通パスポート 1枚
東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館の4カ所で使用可能とのこと。
次期からは、株式継続保有期間1年以上の条件が付きます。
浜松ホトニクス(6965)【293,200円】
- 100株 … 浜松PET検診センターが行うPETがん検診の優先予約を受ける優待
- 500株 … 浜松PET検診センターが行うPETがん検診
(PET総合コース:検診料13万5000円)の5000円割引
トピー工業(7231)【229,000円】
(A)死亡・後遺障害保険:最高100万円
補償内容:国内・国外を問わず、交通事故による死亡・後遺障害
保険期間:【3月末】7月1日~12月31日【9月末】翌年1月1日~6月30日
(B)入院特約(3,000円/日):入院1日目から給付、最高1,000日以内
(C)通院特約(1,000円/日):最高90日以内
・1000株 … (A)+(B)
・3000株 … (A)+(B)+(C)
交通障害保険です。
おわりに
自社で株主優待を導入するときに、担当者から「何が良いと思う?」と相談されました。
条件を聞くと、
「エライさんは、『オリジナリティがあって、誰もが喜ぶものにせよ。ただし、1000円以下で商品券はNG』と言っている」
とのこと。
「そんなもん、どこを探してもないと思うよ」
と答えたら、悲しそうな顔をしていました。
結局、自社商品の詰め合わせに落ち着いたのですが・・・。
「株主優待は無駄だからやめて、その分を配当に回すべき」という意見があります。
たしかに、しょうーもないモノをもらうくらいだったら、多少目減りしてもお金のほうがいいですからね。
でも、良いモノや欲しいモノであれば、「もらった!」っていう喜びは大きいです。
いずれにするかは、IR戦略の中で決められていくことですので、そういうのも含めて株主になるか・ならないかを判断すればよいのかな、と思います。
私はしばらく、「株主優待」を楽しもうと思っています。
それでは、また!
株取引を始めてみようかなとお考えの方に、是非、読んでいただきたい本