ここから本文です

日本の「無戸籍者1万人」は、なぜ生まれるのか

東洋経済オンライン 3月4日(金)10時0分配信

「日本に戸籍のない人が1万人以上いる!」
そう言われて驚かない人がいるだろうか。
通常、戸籍は赤ちゃんが生まれて、自治体に出生届を提出することで作られる。ところが、なんらかの事情でこの出生届が提出されず、戸籍のないまま生きている人たちがいる。
彼らの生きる道は過酷だ。小学校すら通えない、健康保険証がないから予防注射はおろか、病院に行けない、身分証明書がないからまともな働き口が得られない、結婚・出産も困難を極める……。
そんな彼らに手を差し伸べ、戸籍の取得に尽力する活動を13年間にわたって続けてきた女性がいる。元衆議院議員で「民法772条による無戸籍児家族の会」代表をつとめる井戸まさえさんだ。
井戸さんは自らの子供が無戸籍児になった経験から、無戸籍者の支援活動を開始、これまで1000人以上の無戸籍者の戸籍取得に奔走してきた。その活動をまとめた『無戸籍の日本人』(集英社)が今、大きな反響を呼んでいる。そこに描き出される無戸籍者の生活ぶりはあまりにも衝撃だ。なぜ今の日本でこんなことが起こるのか、どうしたらこの問題を解決できるのか、井戸さんに話を聞く――。
聞き手・水上 花(ジャーナリスト)
■ 謎1 本当に今の日本に1万人も無戸籍者がいるのか? 

【詳細画像または表】

 ――井戸さんの『無戸籍の日本人』を読んで、無戸籍者のあまりのすさまじい人生に言葉を失いました。こんな人たちがいることを、ほとんどの人が知らないと思うのですが、一方で「ホントに今の日本でこんなことが起こるの?」という素朴な疑問もわきました。無戸籍者が今の日本で少なくとも1万人以上いるというのは本当ですか。

 そうですよね、私も自分が産んだ子が無戸籍になるという経験をするまでは、無戸籍問題など、まったく知りませんでした。

 でも、戸籍がない人は確実に存在するのです。きちんとした統計はどこにもないので、1万人というのは「最低限、確実にそのぐらいはいる」という数字です。実際にはもっとたくさんいると思います。出生届が出せないなどの事情で、一時的に無戸籍になったことのある人を含めて累計すれば、20年間で6万人いることになるんです。相当な人数だと思いませんか。

1/5ページ

最終更新:3月4日(金)10時0分

東洋経済オンライン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

エベレストにて、奇跡の生還
エベレスト登山史上で最悪の遭難現場にいた唯一の医師は、ケン・カムラーでした。TEDMEDで、彼は登山家たちの極限状況での凄まじい奮闘について語ります。36時間も雪に埋もれていたのに生き延びた一人の男にまつわる医学的な奇跡を脳機能画像を用いて説明します。 [new]

本文はここまでです このページの先頭へ

お得情報

その他のキャンペーン