前回の岐阜で少し触れた地元、下呂温泉の話。
sandoniさんの記事が面白かったので勢いで前回の岐阜の記事を書いた。
連日、岐阜の記事が更新されていてとても楽しい。
その他に偶然にも旅行関係で今週A1理論さんが紹介されていた、とれいCさんの記事がある。
下呂市に行くとなんとなく「帰ってきなぁ」って言う気持ちになる。
具体的に言うと、下呂温泉の郊外で国道41号線と257号が分離・合流する辺りとか。
下呂の温泉街以北に住んでいる人はここで「帰ってきた感」を実感すると思う。
親とか友達にヒアリング した所、同じ場所がピックアップされたので多分間違い無い。
生まれた時から下呂の温泉街があり、家以外で風呂に入る場所と言えば常に下呂温泉だった。
今考えれば相当に贅沢な話である。
特に特別な事だとは思わなかったが、地元を離れて10年以上経っているし、とれいCさんの記事の逆に言えば「地元はいつも誰かの旅先」なのである。
ここ数年、岐阜県でも特に観光資源に恵まれている飛騨地方を地元に持ち、その事を強く思う。
「旅先はいつも誰かの地元」
自分は旅行者でそこで見るもの食べるもの全部初めてだけど、そこで働いている人にとってはありふれた日常の一コマなんだと思う。
旅行は非日常・生活は日常、それが同居する観光地って凄く面白い。
下呂温泉に行く度に、橋や店を写真に撮りまくる観光客を見て「あんなのが珍しいんだろうか…?」と思っていたけど写真を撮っていた人にすれば、非日常で珍しいのだ。
逆に、僕が旅行に行った先で写真を撮りまくっても地元の人からすれば奇異に見られるか、慣れて完全に風景の一部となっていると思う。
岐阜県以外で地元の話をすると名前のインパクトで若干引いた顔をされる。
やっぱり「ゲロ=吐瀉物」のイメージなんだろうか。
一度「ゲロ」って変換したら次からPCで入力する時「ゲロ温泉」ってなる。
大問題である。
前回の記事では飛騨地方の紹介に留まったけど、腐っても枯れても天下の三名泉・下呂温泉である。
古来より滾々と湧き出る豊富な湯量と共に歩んできた歴史が育む名所は多い。
高速道路のIC誘致合戦にあまり積極的じゃなかったが為に飛騨高山にICが出来て、その結果観光客を奪取されたりする、ちょっとダメっぽい所も含めて下呂温泉の紹介なのである。
そもそも下呂温泉の「下呂」ってなによ?
今回の記事を書くに当たって気になった事。
そもそも自分の住んでいる所の名前の由来とかあんまり気にしないし。
試しに検索してみると、やっぱり有ったりするのでインターネットとgoogle先生は凄いと思う。
下呂という名の由来
下呂は古くは 下留 (しもつとまり、あるいはしもとまり)と呼ばれて いましたが、時を経るに、「げる」からさらに 通称化されて「げろ」と発音されるようになりました。
奈良時代後期、宝亀7年(776年)に宿駅として下留(しもつとまり)が置かれ、歴史に登場します。 室町時代に書かれた万里集九の「梅花無尽蔵」には、「予在飛之温泉。々々所在、曰 益田郡 下櫓郷 。」と あるので、この頃にはすでに「げろ」という発音であったと考えられます。ここで「しもとまり」という発音と すべて音読みの「げろ」の間にある変化は、飛躍といっても差し支えないでしょう。この飛躍が発生した 要因として考えられるのは、飛騨が米の収量が少ないために「下々(げげ)の国」と呼ばれていたことが あげられます。その国の中の地名に「下々」のイメージが重ねられ、「下(しも)」が「げ」と発音され、 この音読みに引きずられて「留(とまり)」は「る」となり、伝播するにしたがって「ろ」の発音に変化 していったのではないか。現在の「呂」の字はあきらかに温泉の風呂から来た変化です。
米の収穫が出来ない=ダメな国、よって下(げ)の下(げ)の国との事。
よりによって下の下とは。
あんまりである。
住んでいたので解かるけど、下呂市は山間の川にそって僅かに開けた場所に肩を寄せ合う様にして人が住んでいる。
平地が少ない上にわずかな平地は住宅地になっている。
米を作るもなにも無い、無い袖は振れないのだ。
ある意味、まだ吐瀉物の方がマシかもしれない。
どっちにしろ印象は良くない…。
下呂といえばやっぱり温泉
名前のイメージは最悪だけど温泉は最高だ。
天下の名泉、その湯当りは非常に良い。
アルカリ性単純泉の場合は、肌の角質をとる美肌効果があります。
実際に、アルカリ性単純泉に入った経験がある人は分かると思いますが、
ぬるっとした感触があるのはアルカリ性が強い証拠です。
PH7.5以上を弱アルカリ性単純温泉と呼び、PH8.5以上をアルカリ性単純温泉と
呼ぶのですが、下呂温泉の場合は、PH9.18と高めなアルカリ性となっています。
それが、「美肌の湯」と言われる所以です。
お湯の感触が柔らかいのでゆっくり入っていられる。
旅館、ホテルも非常に充実している。
泊まればちょっと自慢できるレベルの宿や家族や恋人と気軽に泊まれるホテル等、宿泊所の層が厚いのも特徴だ思う。
泊まればちょっと自慢できる水明館
気軽に泊まれる宿
ただ、安い宿と高い宿があるだけだと「層が厚い」と言えないかもしれない。
高い方は兎も角、安い所は突き抜けて安い所がある。
流石に宿泊は出来ないけど0円で温泉に入れる所があるのだ。
足湯とかじゃなくてちゃんと全身入れる。
川の脇に石を積んで整備してある源泉かけ流しの露天風呂だ。
川の側で、下呂温泉を代表する橋を見ながら時折、高山線の汽車を見る事ができる。
また、秋には山の色づいた紅葉を見る事もできるので誰でも、手軽に季節の移ろいを感じられる。
混浴なので、女性は勇気のある方以外は水着が必要だ。
あと、脱衣所が無いので着替える際はバスタオルを着用して往年の小学生の様に巨大なテルテル坊主になるか、覚悟を決めて速攻で脱いで入浴するかの二択を迫られる。
また、若干温泉の温度が他より低いので、冬に雪景色を見ながら入浴すると凍死しそうになる。
更に、「川の側」と言う立地上、雨期に川が増水すると最初に水没する。
ちょっと水が入る、というレベルでは無い。
大昔、神の怒りに触れて水没したと伝えられる伝説の都市の様に跡形も無く水没するのだ。
でもその後、地元の有志の方によって復旧したりする。
公衆浴場なので朝の掃除等は地元の熱い郷土愛によって行われているのだ。
個人的なおすすめの銭湯は高台にある「白鷺の湯」だ。
風呂自体は男女一つだけだが、高台にあるので下呂の温泉街を一望出来る。
夜ともなれば、風呂に浸かりながら夜景が見えるので旅情が一層盛り上がる。
何気に駅から少し離れているので若干旅行客が少ないのも、落ち着いて入れるポイントだと思う。
あと、何はなくとも温泉だけは文字通り湧いて出てくるので温泉街に無料の足湯スポットが結構ある。
冬でもしばらく足湯にいると軽く汗ばむし、なにより川原の露天風呂よりも気軽に入れるのは男女ともに嬉しいポイントだ。
温泉で温まった後は〆に下呂牛乳とか飲むと美味しい。
喫茶店のモーニングを食する
ホテルや旅館でも朝食は何度行ってもテンションが上がる。
御膳に並んだ焼き魚、お味噌汁、その他小鉢のTHE・日本食も良いし、ビュッフェ形式の洋食スタイルも良い。
ただ、関東・関西方面から来られたら下呂と言うより東海地方独特の「モーニング文化」に触れて頂きたい。
早朝にコーヒーを頼むと軽食が出てくるアレだ。
コメダ珈琲のイメージだけど地元の喫茶店によっては軽食と言うにはへヴィな食事が出てくる。
コメダ珈琲のモーニングはへヴィじゃないけど、別の意味でへヴィな寄食が提供される場合があるので注意が必要だ。
好みが別れる小倉トーストに飽き足らず、最近は小豆入り珈琲を新商品として投入したりする愛すべき東海地方発の珈琲チェーンだ。
シアトル発のスターバックスには真似できまい。
ちなみに、両方ともちゃんと美味しかったりするのでコメダ珈琲は侮れない。
過去に行った喫茶店で一番へヴィなのは珈琲+おにぎり+豚汁+デザートのコンボだ。
珈琲一杯の値段で提供して良いのか、正直こちらが心配になる。
カフェって言うよりも田舎なので「喫茶店」が多いけど温泉街に比較的近い場所でおすすめなのが「緑の館」である。
アンティークな調度品が店内に並び、目につくのは沢山の振り子時計だ。
それぞれ色んな形があって壁一面に掛けてある時計は見ていて飽きない。
天皇陛下がいらっしゃった時も珈琲を提供した事がある「皇室御用達」の店でもある。
駅から歩て行くことは距離的と地理的に不可能と思われるので車での来店が推奨されている。
田舎の一駅間の間隔をなめてはいけない。
地元って面白い
地元を離れて10年以上経つけどやっぱり生まれ育った場所が好きだ。
東京に住んで都内の好きな場所も増えたけど、やっぱり地元で飲み会の前に露天風呂入ったり、昼飯に鮎の塩焼きがたんまり出てうんざりしたり、朝から小倉トーストと小倉珈琲のコンボにやられたりするのは下呂じゃないとできない。
とれいCさんの記事は旅先での事だったけど、見方を変えれば地元を改めて見つめ直す事になったのが面白い。
旅先は誰かの地元であり、地元は誰かの旅先なのである。
ちなみに今回の記事作成にあたり、「下呂」と40回入力した。
おそらく現時点でこれほど下呂をプッシュしている公式以外のブログも無いだろう。