韓国の昨年の貿易収支黒字が過去最高の904億ドルを記録した。世界的な景気低迷で昨年の韓国の貿易規模は9640億ドルとなり、2011年から4年続いた1兆ドル台を下回ったが、それでも貿易黒字が増えたことになる。原因は原油価格が半分になる中、輸出を上回るペースで輸入が減少したからだ。昨年は輸出が前年比7.9%減に対し、輸入が16.9%も減少した。
過剰な貿易黒字は貿易相手国を刺激する可能性があり、決して喜ばしいことではない。米国は毎年議会に提出する財務省報告書で韓国政府が外国為替市場に行き過ぎた介入を行っているとの指摘を繰り返している。為替レートを操作し、利益を上げているとの指摘だ。韓国が議長国を務めた2010年の主要20カ国・地域(G20)サミットでは「行き過ぎた貿易黒字を自粛する」という共同宣言まで発表した。韓国の貿易黒字は国内総生産(GDP)の6%に達しており、主要国の批判を受けても反論に筋が通らない。
韓国政府は過去に例がない貿易黒字で市場開放圧力が強まることに備え、先手先手で動くべきだ。自由貿易協定(FTA)交渉で開放を約束した点は必ず履行するのがよい。韓国は自動車、農畜産物、医薬品分野で米国が協議を求めた韓米FTA履行措置に対し、煮え切らない対応を取ったため、「FTAで韓国だけが利益を上げている」という批判を招いた。
為替政策も賢明な運営が求められる。ウォン切り下げは輸出企業の競争力にはプラスだが、貿易紛争を招くリスクをはらんでいる。中国と日本が量的緩和で自国通貨を切り下げている状況で、為替当局は為替相場の市場決定メカニズムを守りながら、過度の為替変動は防ぐ政策を取るべきだ。