納税者は警察から治安維持というサービスを受ける権利と、警察が税を効率的に使っているかを監視する義務の双方を同時に担っている。税金で運営される警察が犯罪行為を取り締まることができず、週末の都心で治安を維持できなくなり、その結果、韓国社会全体が何らかの損害や被害を受けた場合、国民は予算を提供する立場から警察に警告する。その役割を実際に担っているのは国会議員だ。そのため税金で購入された機動隊バスが破壊され、税金から給与を受け取る警察官が負傷し、仕事ができなくなれば、それは納税者としては絶対に容認できないはずだ。納税者という立場から考えれば、治安維持に必要なバスも警棒も最終的には民衆を押さえ付け抑圧するためのものではなく、社会全体が管理と監視を行うべき国民の財産だ。
2015年12月、一部の活動家たちは暴力的なデモの先頭に立ち、大統領府にまでデモ行進して政府を打倒したいと考えている。しかし納税者の中で「今の政府には失望した」と考える人がいた場合でも、その多くは警察官や機動隊員に暴力を振るって都心を混乱させるような行為には共感も同意もせず、選挙で政府を審判しようと考える。5年ごとに行われる大統領選挙では政府に対する支持、あるいは不支持を時には怒りの感情で表出できるし、その結果、政権が交代することもあり得る。また4年ごとに行われる国会議員選挙では、政府の独走や暴走をけん制する国会議員を選ぶための票を投じる。
破壊された機動隊バスを新たに購入し、次の暴力デモに備えて放水車の台数を増やすのに必要な費用は、全て納税者が支払った税金からの負担になる。実際に警察は今回、暴力デモによって発生した追加の費用を国の予算から支払うよう求めている。これはいわば国民に請求書を突き付けるようなものだ。こう考えると脱税犯だけが税金泥棒ではない。警察官を目にするたびに竹やりや鉄パイプで襲い掛かり、機動隊バスにロープを掛けて破壊する税金泥棒たちを、われわれはいつまで放置しなければならないのだろうか。