佐藤清孝
2015年11月26日00時00分
【2009年2月8日都内版】
往年の銀幕のスター原節子。彼女が人気をつかむきっかけになった戦前のヒット作の裏には、当時の日独接近をめぐる動きがあった――。原が1960年代半ばまで住んでいた東京都狛江市で7日、昭和史に詳しい同・日野市の元NHKプロデューサー中田整一さん(67)が講演した。原がヒロインを演じた日独合作映画「新しき土」(37年公開)を取り上げ、数々の「秘話」を紹介した。
「新しき土」で原は、ドイツに留学中の婚約者のため、花嫁修業に励む娘として登場する。ドイツ人女性を連れて帰国した婚約者との感情のもつれから自殺を図るが、やがて満州(中国東北部)とみられる土地へ。映画は、我が子を抱いて「新しき土」を開拓する原のりりしい姿で幕を下ろす。
中田さんはNHKの歴史ドキュメンタリー部門で活躍、2・26事件で反乱軍の電話を盗聴した録音を基に制作した番組などを手がけた。退職後も日本近現代史の裏面を追い続け、07年には「満州国皇帝の秘録」(幻戯書房)で毎日出版文化賞などを受けた。
この日は、中田さんが講師を務めた公民館講座「昭和史の真実に迫る」の3回目で、テーマは「ヒトラーの密使と日独接近」。NHK時代にドイツで取材した内容などをもとに、地元ゆかりのスターにまつわる話を披露した。
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