モスクワ=駒木明義、イスタンブール=春日芳晃 ワシントン=梅原季哉、峯村健司、テヘラン=神田大介
2015年11月26日09時19分
トルコのF16戦闘機がロシアのSu24戦闘爆撃機を撃墜した事件を巡り、両国の主張は対立し、国境地帯の緊迫は高まっている。欧米などは、双方に自制を呼びかける以外に打つ手がない。パリ同時多発テロ以降、各国協調の兆しが生まれたかに見えた過激派組織「イスラム国」(IS)掃討の包囲網は、ほころびつつある。
「事件が繰り返される可能性は排除されない」
25日、ロシアのプーチン大統領はこう語り、シリア領内で空爆しているロシア軍機の安全確保策を進める考えを表明した。
ショイグ国防相は、ロシア空軍が拠点とするシリア北部ラタキア近郊の基地に最新鋭の地対空ミサイルシステムS400を配備する方針を明らかにした。ロシア軍は24日、トルコ軍との連絡を断つ方針を発表。緊張が高まっている。
トルコのチャブシュオール外相は25日、ロシアのラブロフ外相に電話した。ロシア側の発表によると、ラブロフ氏は撃墜されたロシア機は領空侵犯していなかったと改めて強調。さらに「トルコ政府は事実上ISの側に立った」「(撃墜は)事前に準備された計画的なものだった」とトルコ側を強く批判した。ラブロフ氏は、ISの資金源となっている石油密輸にトルコが関わり、ロシア機が撃墜された地域が密輸ルートになっていたとも指弾した。
両外相の電話協議を受けて、トルコ外務省は両国の外相が「近日中に会談する」と報道機関に連絡したが、ロシア外務省は否定。両国間の溝の深さが浮き彫りになった。
今回の撃墜では、搭乗していた2人のうち1人が死亡。行方不明になっていたもう1人は25日、生存が確認された。ロシアメディアに対して「攻撃前、無線による警告も目に見える形での警告も一切無かった」と述べ、「侵犯前の5分間に10回警告した」というトルコ側の主張を否定した。
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朝日新聞国際報道部
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