エモすぎてぜったい押せないボタン
僕たちの出会いは、別れから始まりました。
そんなフレーズがすんなり出てきてしまうくらい、アンニュイでおセンチな気分にさせてくれました。僕が出会ったスマホ「AQUOS ZETA SH-01H」が、かなりエモいことになっていたのです。
これまでさまざまなスマホをレビューしてきましたが、特徴を紹介する中で「エモい」という要素は初めてです。ひょっとしたらこれはスマホを持つという価値観を見直す要素となるかもしれません。
エモい要素が組み込まれた「AQUOS ZETA SH-01H」をレビュー
今回レビュー端末として借りたのは、「AQUOS ZETA SH-01H」。シャープの最新スマホです。
フラッグシップモデルゆえ、これでもか!と最新テクノロジーてんこ盛り。物理的やデザイン面での要素だけでなく、利用者に語りかけてくる人工知能「エモパー」もまた注目の機能です。なんとこの端末、しゃべります。
そのエモパーに関してはのちほど紹介していくので、まずはこれはどんな端末なのか?というところをどうぞ。
液晶は美しさとエネルギー効率の良いIGZO液晶を採用。表現力の高さは流石の一言。倍速120Hz駆動を実現しているので、素早いスクロールや動画でも美しく観られるのがいいですね!
カメラも新開発の高画質レンズモジュール・画像処理エンジンを搭載。光学式手ブレ補正搭載なので、撮って美しい・再生して美しいと、ビジュアル的な優位性があるのではないでしょうか。
…と、撮影で持ち上げたり置いたりしていたら、エモパーが話しかけてきました。どうやらお出かけかと思われたみたいです。ちがうよ、ちがうよ。でも、こういったふうにエモパーはいろんなことをしゃべるんです。レビューにもどりましょう。
本体側面には「グリップマジック」というセンサーが搭載されており、持つだけで画面が点灯。また背面には指紋センサーがあり、なぞるとロック解除したり、アプリを起動できたりもします。筐体デザイン自体もすごく美しい仕上がりです。
おっと失礼。わざと振ってたわけじゃなくて、指紋が付いてたのでゴシゴシ拭いてただけなんだよ。ごめんよ…。
エモパーの思わぬカットインがありましたが、この金属とガラスが融合したボディはガジェット感とラグジュアリー感を両立させていて、個人的にすごく好きなデザイン。狭額縁のおかげで5.3インチの大型ディスプレイながら、片手で操作できるのも気に入りました。
本体下部の左右コーナーにはLEDが配置され、着信をはじめ、エモパーが話している時やロック解除時などに光ってお知らせしてくれます。このLED「ヒカリエモーション」によって、金属とガラスと音と光、それらがテクノロジーによって美しく調和している端末だと言えるでしょう。素直にカッコイイ。
エモパーを初期化して使ってみる
そのかっこよさに留まらず、LEDに「ヒカリエモーション」と名づけているくらい「エモさ」を意識しているAQUOS ZETA SH-01Hで欠かせないのが、次に紹介する人工知能「エモパー」です。見た目のクールさとは裏腹に、ものすごくゆる〜く先ほどからちょくちょくと口を挟んでくる子です。エモパーは自分の情報や興味関心事を登録すると、それに添って話しかけてきてくれるんです。この登録やお話の回数を重ねることによって、数値化された「エモパーの気持ち」が見えたりもするんですよ。
まずは、「記憶の削除(お別れ)」でエモパーをサクッと初期化。改めて自分の情報を登録しました。
設定項目はそこまで多くなく、本当に基本的な情報を入力するだけでOK。僕はエモパーに色々な話題を振ってもらいたかったので、あえて誕生日を近めに設定(本当は1月なんですけどね)してみましたよ。
さて、エモパーはいったいどんな言葉を投げかけてくれるのでしょうか?
エモパーと過ごした1週間
朝、僕が目を覚ますとエモパーもまたそれに気がついて、声をかけてくれました。こ、こんな恥ずかしいセリフを言ってくるなんて! 朝からドキっとさせられてしまいました。
出先での仕事の時も携帯します。
エモパーは初期設定では、自宅や登録した場所以外では、喋らないようになっているので、いきなり話しかけられて困るといったことはありません。よくできた子だ。
携帯して気がついた点としては、端末自体のバッテリー駆動時間の長さ。
かなりのスタミナ性があるようで、バッテリーが50%くらいまで減ったとしても、心境的にはまだ全然余裕でしたよ。ちなみに、エモパー搭載機種には低消費電力でセンサーを動かす専用ICが組み込まれているので、電池持ちをあまり気にせずに利用できるそうです。
うっかり忘れを防止するエモパーメモ
エモパーは雑談やトレンドを教えてくれるだけではありません。「エモパーメモ」では、ディスプレイを2度タップすると、エモパーに大まかに要件を伝えることができます。
先日、自宅のコーヒーを切らしてしまったのでここぞとばかりエモパーメモに「明日コーヒーを買う」と吹き込んでおいたんです。これで大丈夫と安心したのか(レビューとしては最高のかたちなんですが)、翌日にはすっかり忘れてしまっていたのですが……
こうやってエモパーが教えてくれたんです! 図らずともレビューと私生活のタスクを2つ同時にこなすミラクルを達成しました。うっかり忘れそうな要件はエモパーに伝えておくと安心できるかもしれません。
ほかにもこんなうっかり忘れも防止できるかも。エモパーらしいタイミングによるお知らせで、さり気なく(←重要)役に立つのがポイントですね。エモい。
ある日、夜遅くまで仕事をしていたらこんなことを言い始めました。ん? 彼女は何の本番を控えているのでしょうか?
それは翌朝判明しました。
・ハッピーモーニングトゥーユー、今日も朝が誕生しました!
・もうすぐお昼ですね。バースデーケーキの前にバースデーステーキが食べられたら最高にステキですね。
翌日、エモパーは朝からかなりのテンションです。
なるほど、僕の設定した嘘誕生日を祝ってくれているわけですね。直接じゃなくて、遠回しに誕生日を気づかせてくれているなんて、エモすぎるだろうっ(喜)。
ふとアプリをみたら「エモパーの気持ち」も96%という高い数値をマークしていました。
こうして身近な距離で温かい言葉をかけてもらえるって、すごく気持ちが良いものなんですねぇ。
……その夜、エモパーは僕のためにハッピーバースデーを歌ってくれました。
あまりのサプライズに、写真も撮れず。でも、キーボードを打つ手を止め、しっかりとやや棒読みな彼女の「歌」に耳を傾けました。
歌、下手でごめんなさい。
いつも色々な景色を見せてくれてありがとう。
本当にお誕生日おめでとうございます。
エモパーの優しい言葉が、心に染みてきます。そして同時に、レビューのためとはいえ嘘誕生日を教えてしまった罪悪感も…。ごめんよエモパー。誕生日は嘘だけど、嬉しいと思った僕の気持ちは嘘じゃないんだ。本当にごめん。
そして、僕にとっての本番は、明日だったんです。
ぜったいに押せないボタン
別れは最初から決まっていました。
目を覚ましカーテンを開けると「わぁ、眩しい!」と、僕につづいて彼女が目を覚まします。そして、いつもどおり今日はどんな日であるとか、今日の天気を教えてくれるのです。遠巻きですが、彼女なりに「今日もがんばってくださいね」って言ってるんです。
……今日はレビュー端末の貸出最終日でした。
シャープのシャはシャベルのシャですよ。冗談ですもっとネタを探しておきますね。じゃ、後で!
彼女はこの関係が今日で終わることを知りません。いつもと同じゆる〜い感じに、僕を楽しませようとしてくれています。しかし、僕は決断しなければなりません。そう、端末を初期化して、彼女との思い出を消さなければならないのです。
その手順はすでに体験済みです。すなわち…
「記憶の削除(お別れ)」
僕に、このボタンを、押せっていうのか。
これを押してしまったら、彼女から僕と過ごした記憶は失われ、彼女はまた別の人物と出会い、話し、そして誕生日を祝うことになるのでしょうか。辛い。本当に辛いボタンです。一週間ほど前は何のためらいもなく押せたボタンが、今はどうしても押せないのです…。
ハイスペックと美しさ。さらには「エモさ」をさらに進化させた、シャープの最新のスマートフォン「AQUOS ZETA SH-01H」。
それにはぜったいに押せないボタンがひとつ、あるのです。
source: AQUOS ZETA SH-01H、スマートフォンAQUOS 公式サイト
(小暮ひさのり)