新国立問題:下村文科相辞意も慰留 内閣改造まで続投へ
毎日新聞 2015年09月25日 11時23分(最終更新 09月25日 12時42分)
新国立競技場の旧整備計画の白紙撤回をめぐる問題で、下村博文文部科学相は25日の閣議後の記者会見で、24日夜に安倍晋三首相に辞任を申し出たことを明らかにした。しかし安倍首相から10月予定の内閣改造まで続けるよう慰留されたとして辞任はしない。また、下村文科相は自身の議員歳費分を除く給与(賞与を含む)6カ月分約90万円を、前文科省事務次官の山中伸一・同省顧問と日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長は給与月額10分の1を2カ月分、それぞれ自主返納すると発表した。
24日に検証委員会がまとめた報告書が3人の責任に言及したことを受けた措置。
下村文科相によると、安倍首相には24日午後9時半ごろに電話で辞任を申し出たが「今までの経緯の中で辞任に値しない。近々内閣改造をするので改造までは引き続き務めてほしい」と慰留されたという。下村文科相は辞任を申し出た理由について「多くの国民の皆さまに心配と迷惑をかけた。政治的責任がある」と述べた。
下村文科相は給与の返納を半年分とした理由について、新国立競技場の総工費が高騰する見通しだとの報告を初めて受けた今年4月を起点にしたという。山中前次官、河野理事長は過去の官僚らの対応を参考に決めたという。
下村文科相の自主返納額は、月額給与約170万円から議員歳費を引いた約47万円が対象。ただ、閣僚は東日本大震災を受けて一部返納しているため、対象月額は約12万円で、6カ月分は計約72万円。夏の賞与(約90万円)についても震災で返納しているため対象額は約17万円になり、返納額は計約90万円になる。
報告書は、新国立競技場の整備という難度の高い事業に求められる適切な組織体制をとらなかったことを問題視した。事業主体のJSCの理事長と、JSCを所管する文科省の下村文科相、当時の事務次官だった山中氏に責任があったとした。【三木陽介、佐々木洋】