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2015-09-18 Dogs Of War このエントリーを含むブックマーク

千葉県警:人襲った犬に拳銃13発射殺…「使用は適正」 - 毎日新聞 千葉県警:人襲った犬に拳銃13発射殺…「使用は適正」 - 毎日新聞

何日か前に、松戸市で犬が人を襲い、警察官に射殺される事件がありましたが、それに関してこんなエントリが。


暴れ犬を制圧するために警官が拳銃を13発撃ったのを当然と思うのは「アニメ論理」 - Togetterまとめ 暴れ犬を制圧するために警官が拳銃を13発撃ったのを当然と思うのは「アニメ論理」 - Togetterまとめ

この事件に対するネットの反応について、作家松井計氏が違和感を表明するものです。


この件に限らず、最近警察官が発砲したニュースが流れると、ものすごい勢いで賞賛する反応が少なくないので、ちょっと違和感は覚えるところであります。そりゃたしかに一律に批判できるものではないけど、やたらと「よくやった!」みたいな書き込みがあふれるのも、それはそれで銃というもの性質を軽んじている気がするんですよね。


あと、やたらと犬の戦闘能力を強調する人が多いのも、松井氏は「アニメなのかな?」と言っていますが、明らかに『MASTERキートン』の影響でしょうね。

MASTERキートン (4) (ビッグコミックス)

MASTERキートン (4) (ビッグコミックス)

でも、あの漫画で出てきたのは「訓練された大型の軍用犬」であって、「中型でしつけのなってない犬」ではありませんからね。


紀州犬大型犬だ」と勘違いしている人もいるようだけど、紀州犬中型犬です

猟犬として使役される犬種なので、壮健ではあるけど別にそこまで大きくはありません。もちろん、それでも人間をかみ殺す力は持っていますが、決して猛獣と同一視できるレベルではありません。


だけど、警察の発表では、射殺された犬は「体長122センチ、体高58センチ」とのことだったので、超大型の犬と勘違いしているような反応もけっこう見られました。

伝えられている飼育環境はたしかに悪いし、犬が何かしたとき全面的に飼い主が責任を負うものだけど、でも、この画像の犬だってどう見ても体長120センチもないです。


というのも、犬の「体長」というのは人間身長とは測り方が違っていて、「四本足で立ったときの、胸の先から尻の先までの長さ」をいうんですね。

この画像では、頭の先から後足の先までを見るとたしかに120cmぐらいはありそうですが、言葉本来意味でいう「体長」はもっと短いです。


「体高」というのも、頭の高さは含めないで「四本足で立ったときの、地面から背中までの高さ」を指します

一般的には、犬の体格は体高で示されることが多く、体長はあまり使われない傾向です。


で、標準的日本犬の体型からいうと、だいたい「体高:体長」の比率は100:110ぐらいです。体長が体高の2倍もあったら、ダックスフントみたいな体型になるでしょう。



まあ、その辺で「あれ? おかしいな?」と思う知識があるのはよほどの愛犬家だけでしょう。

たぶん警察の人も間違ってるだろうし。犬の死体を横たえて、鼻の先から後足の先まで測った数字でしょうね、これ。


から、気づかなくてもそれを責めるつもりはありません。でも、そこに違和感も持たずに「犬の戦闘力を知らないのか」とかドヤ顔で人に絡むのは、控えめに言ってみっともないよね。

野望の王国 完全版 1

野望の王国 完全版 1

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野望の王国』には、愛犬家の疋矢さんを仲間に引き込むエサとして犬が出てくるんだけど、疋矢さんが

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と評した、このチャウチャウの体高はたぶん、征五郎身長をざっくり180センチ前後と見込むと、70センチ以上はあるでしょう。チャウチャウ標準的な体高はおよそ50センチ前後ですから、超大型であることはたしかです。これに襲われたらひとたまりもないだろうけど、元の飼い主だった征一郎兄さんはちゃんとしつけをしていたので、そんな事態にはならないでしょうし、この犬を殺したら疋矢さんが激怒するでしょうなぁ。



(ここまで書いてから、ほぼ同じツッコミがすでにあることに気づいたのであった→http://togetter.com/li/874045

RASRAS 2015/09/19 06:49 昔の反動が来てるのかもしれないですね。
十年以上前の話ですが、例を挙げると
・牛刀みたいなデカい刃物を持って路上を彷徨いている男がいるという通報を受けて、現場に出動した警察官が男に刺殺された事件があった際、翌日の新聞見出しが「警察官が発砲」で「警察官が刺殺される」ではなかった。(もちろん全紙ではなかったでしょうが。)
・駅のホームで無差別に刃物で切りつけた事件を伝える中で、犯人の「誰でもよかった」という供述を紹介した後に「誰でもいいなら警察官を狙えばいいのに」とアナウンサーがコメントした。(これは、テレビ朝日『やじうまワイド』の吉澤というアナウンサーだったと記憶しています。)
という空気があったので、警察官に対するシンパシーを抱いてる人や、家族や友、恋人が警察官という立場の人の中で鬱憤が蓄積されていたのかもしれません。
まあ、だからといって警察官や組織に対して全く批判を許さないとか、何でも礼賛するのも困るし、マスコミを批判するために警察を持ち上げる必要もないんですけど。方向と力の大きさが適切なベクトルで物事や人・組織の評価を行うというのはなかなか難しいですね。
テレビで昔は『ココがヘンだよ日本人』をやっていたのが、最近は『日本スゴいですね』をやっているのにも似てる気がします。

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