インターネットを使った有料動画配信で世界最大手のネットフリックス。日本参入に当たり、ソフトバンクとタッグを組んだ。携帯電話販売店や家電量販店で手軽に申し込めるようにして、効率的に市場開拓を図る。一方のソフトバンクがもくろむのは、店頭販売の独占により、携帯や光回線の利用者を自社サービスに囲い込むことだ。かつて国内独占販売によって新規契約増の強い武器となった米アップル製スマートフォン「アイフォーン」のように、NTTドコモやKDDIとの差別化につながる“2匹目のドジョウ”へと育てられるかが注目される。
「革新的で、不確実性をいとわないパートナーが必要だ。ソフトバンクは、まさにそうした存在だ」
8月24日の発表会見で、ネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長は提携するソフトバンクをそう持ち上げた。有料放送の利用者が9割に上る米国などと異なり、「テレビは無料で視聴するもの」という意識が日本では根強い。その市場攻略を目指すには、米国のようなネットでの直接契約だけでなく、店頭を通じた営業力が欠かせない。スマホや光回線を申し込みに来た来店者たちに動画配信サービスも売り込んでもらえば、加入者を早期に伸ばせる−というのが、携帯大手をパートナーに選んだ理由だ。
ソフトバンクの宮内謙社長は「両社の関係がウィン−ウィンになることを目指した。たくさん売れば当然、僕らがウィンになる」と強調。全国数千カ所の携帯販売網をネットフリックスの加入促進に活用する。ネット手続きの場合は誰でも申し込めるが、対面で手続きができるのはソフトバンクのユーザーだけだ。さらに利便性を高めるため、毎月の視聴料を携帯の料金と合わせて支払えるようにした。
ソフトバンクは契約者の獲得数に応じてマージンを得るが、狙いは当然そこではない。
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